あび卯月☆ぶろぐ

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福岡県知事選挙が分裂しているワケ

2019-02-12 21:40:28 | 政治・経済
福岡県知事選で自民党が分裂している。
先月末、自民党本部と自民党福岡県連が現職の小川洋知事(69)を推薦せず、新人で元厚生労働官僚の武内和久氏(47)を推薦したからだ。
小川知事は過去2回の知事選で自民党の支援を受けているにもかかわらず、一体何があったのか。
テレビや新聞の報道ではこの辺の事情が今一つわかりにくいが、一言でいえば、麻生太郎(衆議院議員、福岡8区選出、副総理)と小川知事の対立だ。
もう少し実態に即して言えば、小川知事が麻生太郎から嫌われたことが原因であり、さらに、その裏には麻生と武田良太(衆議院議員、福岡11区選出)の対立がある。
この二重構造が福岡県知事選挙における自民党の分裂をややわかりにくくしている。

小川知事は元経産官僚。麻生内閣のときに内閣広報官を務め、2011年の福岡県知事選のとき、麻生から推される恰好で知事になった。
実はこの知事選のとき福岡県連は福岡県議会のドンと呼ばれる藏内勇夫県議を推薦候補としていた。
そこに横やりを入れ、小川洋の擁立を強要したのが麻生だ。
これを受けて、当時県連会長だった武田良太は分裂選挙を避けるため藏内を説得してやむなく出馬を辞退させた。

麻生が横やりを入れたのには理由がある。
同年1月、武田良太が県連会長に就任しているのだが、本来、県連会長には麻生の就任が有力視されていた。
ところが、古賀誠ら県連内の反麻生派が武田を推して会長に就任させたのだ。
このことで、麻生と武田の関係が悪化。麻生の横やりはその意趣返しではないかといわれる。
以来、麻生と武田はことあるごとに対立することになる。(註1)
ともあれ、麻生の強固な後ろ盾があって、小川は福岡知事になったといえる。
麻生太郎こそが「小川県政の生みの親」と謂われるほどだ。

そんな麻生と小川の関係に亀裂が入ったのが2016年の衆院福岡6区の補欠選挙。
この選挙区から当選していた鳩山邦夫の死去に伴うもので、鳩山邦夫の二男・鳩山二郎と前述の藏内勇夫の長男・藏内謙が争った。
このとき、武田は鳩山二郎を支援し、麻生は藏内謙を支援した。(ここにも武田と麻生の対立の構図があることに注目)
なお、県連は藏内謙を推しており党本部に公認申請したが、党本部は自民党分裂を避けるため、どちらの候補も公認せず、当選した候補を追加公認する方針を示した。(註2)
この選挙戦で麻生は小川に藏内候補の出陣式への出席を要請する。麻生にしてみれば当然、小川は出席するはずだった。
ところが、小川は腰痛悪化による入院を理由として出陣式を欠席したのだ。
小川としては、どちらの味方もせず敵も作らないようにと安全運転したつもりだったのだろうが、これが裏目に出た。
小川のこの対応に麻生は激怒し、県議会でも麻生派の県議から「入院した事実自体が疑わしい」という声が上がるなど紛糾した。
しかも、選挙結果は鳩山に4倍以上の差をつけられて藏内が大惨敗。法定得票数すら取れなかった。
飼い犬に手を噛まれ顔まで潰された格好となった麻生の怒りは凄まじく、この件以来、小川からの面会は一切謝絶。アポすら取れない状態だという。

そして、今回の知事選である。
何としても小川を再選させたくない麻生は対抗馬として元厚生労働官僚の武内和久を立てた。
今や麻生派が多数派を占めるようになった県連も武内氏を支援。
一方、党本部は2019年1月中旬に実施した輿論調査で小川が武内を大幅に上回る結果が出ていたことから、武内の推薦に否定的な声が根強かった。
さらに1月28日には小川支持に回った武田ら県選出国会議員三名が二階俊博幹事長に対し、小川氏推薦を直訴するという動きもみられた。
しかし、その日の夜、麻生は安倍首相、甘利利明選対委員長と会談し安倍に「(武内氏の)推薦が取れないなら副総理を辞める」とまで云って、武内の推薦を直談判した。
「小川さんが強いみたいだけど・・・」推薦を渋る安倍首相に対し、麻生は「負けてもいいから勝負させてくれ。(武内に)推薦を出して戦わないと、勝てる選挙も勝てなくなる」と反論。
安倍首相も最後は言葉を飲み込み、会談後「あとは幹事長室と選対でやってください」と周囲に伝えた。
二階幹事長は「調査では現職が圧倒してるじゃないか」とやはり渋ったが、麻生派の甘利と萩生田光一(幹事長代行)が二階を説き伏せた。

こうして1月30日、自民党は武内の推薦を決定したことを発表し、名実ともに分裂選挙となった。

早速、反麻生の武田議員は「県内自民党の分裂を招き支援団体の信頼を損ねた」と不満を表明し、自民党県議からも「与党として支えてきた知事を支援しないことを支持団体や有権者が納得してくれるかどうか」と戸惑いの声も聞こえた。
そういう声に対抗するかのようにその後も麻生は小川批判を繰り返している。
「伸びているのは福岡市だけ」と云ったり、麻生渡・前福岡県知事の自動車産業振興といった実績を並べた上で「(小川県政の)2期8年で、今云ったような話一つでもありますか。ぜひ聞かせてくれ」と云ったり・・・。
また、反麻生の武田議員が小川氏を支援していることに対しては、麻生側近の大家敏志(参院議員、党本部選対委副委員長、県連選対委員長)に「安倍総裁、二階幹事長のもとで決まった。それ以外の候補者を応援するのであれば、党を出ていっておやりになればいい」と云わせて牽制し、「具体的行動があれば、しっかりとした対応をしたい」と処分も匂わせた。

更に今月に入って、麻生渡・前福岡県知事が武内候補の後援会長に就任することが分った。
麻生渡にとって小川は大学も出身省庁も同じ経歴をたどる直系。小川知事誕生の際には麻生太郎と共に支援に回っていた。
しかし、その後、麻生渡は「助言を素直に聞き入れない小川知事に感情的反発を抱えるようになっていた」(県幹部)らしく、周囲に「最大の失敗の一つは、小川君を後継者にしたことだ」と話すほど関係は悪化。
昨年春には小川に2期8年での退任を促したこともあったという。
麻生太郎にとっても前知事の応援は有難い。
なぜなら、自民党内には「(麻生太郎は)私怨で県政をゆがめている」という批判があるからだ。
前知事が反小川を表明することによって「俺の私怨じゃない。小川の県政と政治姿勢に反対しているのだ。ほらみろ、前知事も批判してるじゃないか」というわけだ。
麻生渡の後援会長就任の報に対し、小川は「私の何がいけないんだろう」と驚きとともに周囲に漏らしたという。

たしかに、どうしてこうも小川は嫌われてしまうのか。
一言でいうと、小川は政治家ではなく、役人だからということに尽きると思う。
小川県政は良く言えば、安全運転で無難。大きな失政もない。有能で真面目な役人という印象だ。
が、裏を返せば、リーダーシップがなく、面白みに欠け、八方美人で政治的な動きができない。
定例記者会見でも「国の動向を注視する」「情報収集に努める」など、役人が云いそうな常套句が並ぶ。
踏み込んだ発言をすることはほとんどなく、誰かさんと違って失言とは無縁だが注目を集めることは少なく「地味」との評価が一般的だ。

しかしそういう役人らしい振る舞いが前述の6区の補選の騒動のときのように裏目に出ることもある。
例えばこの選挙戦でも小川は、自民党が武内氏の推薦を決定した直後、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本維新の会、社民党に依頼していた推薦の取り下げを要請した。
与野党対決と思われると不利になるという思いがあってのことだろうが、まさに役人の対応だった。
麻生太郎の言葉を借りれば「言われた側はふざけるなと思う。役人としては良いが、政治家としていかがなものか」ということになる。
すぐに武内氏を推す県議からも「節操がない」と批判が出た。
既に推薦を決めていた立憲民主党からは「ひどい話だが大人の対応をしたい」(県連幹部)と困惑気味に話し、国民民主党の県連幹部は「きちんと見極めて行動しないから節操がないと云われる。とんだ茶番だ」と呆れてみせた。
麻生渡も2月8日の記者会見で「与野党対決の構図を避けたいからと、公党との約束をああいう形で下げる。政治的に確たる信念がない」と批判した。

しかしだ、小川県政の評価は決して悪いわけではない。
2期約7年半の間に目立った失政はなく、「県連が対抗馬を擁立しても小川氏に勝つのは難しいのではないか」と話す県議もいる。
人柄についても常に低姿勢。小川の人柄を悪く云う人に会ったことはない。
知事が県内各地に出向き地元民と意見交換を行う「知事のふるさと訪問」では時間オーバーしても県民の話にじっくり耳を傾けるなど、住民に寄り添う姿勢を評価する県民も少なくない。(無論、政治家はあくまで政策と実績で評価するべきだと個人的には思うが)
それに、県民にとっては、自民党内の争いなど知ったことではない。
麻生太郎と県連は対抗馬として武内和久氏を立てたが、福岡のテレビ番組でコメンテーターを務めていた人物とはいえ知名度はゼロに等しい。
元厚労省官僚という経歴も弱い。なにより政策がまったく見えてこない。
また、今回の分裂騒動は麻生と県連による小川知事いじめと見る県民もいる。そうすれば、同情票も集まる。
小川を推す武田議員も「勝負にならんよ」「党の推薦に反し、小川氏を支援しても処分は下されない。県民感情を逆なでする裁定が出た中、小川知事への同情、支援の声は広がっている。納得しない決め方には、立ち上がることが自民党だ」と自信をにじませる。

私個人の予測としても、おそらく武内は小川には勝てないと思う。
県民にとって現職の知事である小川洋のことは知っているが、武内のことは知らない。「一体どこの誰だ?」という感覚だ。
有権者は無党派層が圧倒的多数。自民党本部と県連、そして麻生太郎が推しているからという理由で武内に票を投じる県民が多いとも思えない。
それに、この分裂選挙は政策論争による分裂ではない。小川と麻生の個人的な感情のもつれと、自民党内のお家騒動が招いたものだ。
そんな茶番劇に付き合わされるまっぴらごめんだというのが多くの県民の本音ではないだろうか。

さて、自民党本部は麻生のごり押しで勝算度外視で武内への推薦を決めた。
問題は県連だ。本当に勝てる見込みがあって武内を推しているのだろうか。
負ける覚悟で武内を担いだとも思えない。あるいはただの楽観論か。
じっさい、県連も一枚岩ではない。
「心情的には小川。表立って応援はできないが、積極的に武内を支援することもしない」「下手に動くと大やけどする。知事選は語らず、自分の選挙だけやる」と心情を漏らす県議もいる。
麻生はそんな県議の心の内を知ってか知らずか「保守分裂は瞬間的には間違いなく自民党が弱くなるが、競争も生まれる。競争をしない時に自民党は最も弱くなる」と余裕をみせる。
彼にしてみれば、どちらの候補が勝つのかはあまり大きな問題ではないのかもしれない。
麻生にとって重要なのは小川に推薦を出さないこと。これに尽きるのではないか。
そう、6区の補選のときもそうだった。小川知事と違って麻生太郎は「政治家」である。
最後に麻生太郎が6区補選当時、ホテルのバーの席で若手議員に対してこぼした言葉を紹介してこの稿を終えたい。

―おれは蔵内謙が勝っても負けても困らない。勝てば息子は麻生派に入り、父親はおれに頭が上がらない。負ければ父親は失脚して県議会は大人しくなるだろう。所詮、6区なんか関係ない。


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(註1)その後、第二次安倍内閣が成立し、麻生が副総理に就任すると県連内も麻生派が優勢となり、2013年3月に武田は県連会長を辞任している。
(註2)この選挙以来、自民党内で公認候補が割れた場合、いづれの候補者にも公認を出さず、当選した議員に対し追加公認を出す方式を「福岡方式」と呼ぶようになった。


【おまけ:福岡県知事選 両陣営支持者一覧】

小川洋支持・・・武田良太、鳩山二郎、宮内秀樹、菅義偉(官房長官)、山崎拓、古賀誠、太田誠一、立憲民主、社民党、県医師連盟、連合福岡、農政連、JA福岡中央会

武内和久支持・・・麻生太郎、大家敏志(参院議員)、甘利明(衆院議員、選対委員長)、麻生渡(前福岡県知事)、自民党本部、自民党福岡県連、県看護連盟、県商工政治連盟

中立・・・公明党、国民民主党、維新の会

『池上彰の参院選ライブ』における発言録まとめ(後半)

2013-08-02 20:36:41 | 政治・経済
前半の続き。


■細野豪志(民主党・幹事長)

池上「今回の選挙は、こういう言い方は失礼かもしれませんが、民主党がどれだけ負けるかという選挙だったと思うんですね。それでいいますと、とりあえず20議席で何とか踏みとどまりたいという思いを持っていた人、多いと思うんですが、どうもそれを割り込みそうな勢いですねぇ。こうなると責任問題が出てくるのではないですか?」

細野「選挙のすべての責任は幹事長である私にあります。(略)」

敗者にも容赦のない池上さん。細野幹事長の目が本当に涙目で赤くなっていた。


■丸川珠代(自民・東京)に関する解説

池上「なんと、ニックネームが「ヤジ将軍」ということなんですね。」

VTRでは、2010年5月21日の国会で当時の鳩山首相に対して「ルーピー!ルーピー!」と野次ったり、同年3月25日の委員会でも採決の際に「愚か者めが!このくだらん選択をした馬鹿どもを絶対忘れん!!」と大声を張り上げる映像が流れた。
丸川珠代といえば、かつて『ビートたけしのTVタックル』に出演していた印象が強いがこんな人だったとはね。

池上「実はですね、丸川候補に中継を繋いでお話を聴くことになっていたんですね。なっていたんですが、なんか先程、突然事務所を出てしまってですね。約束を果たしていただくことができませんでした。
実はここでもし中継が繋がったらですね、訊いておきたかったことがあるんですね。
実は6年前、丸川さんが選挙に出たときに、期日前投票に行こうとしたら、有権者候補に自分の名前が無かったんですね。
つまり、その前、アメリカで勤務されてまして、日本に帰ったあと編入の手続きをしていなかったんですね。
つまり、日本に来て何年も経っていたのに、この時はじめて自分が有権者名簿に出ていないことが分かった。
つまり、その前の東京都知事選挙、衆議院選挙には選挙には投票に行っていなかったと。投票に行っていなかった方が、立候補するというのは一体どういうことなのかな。
あるいは、最近は投票に行ってらっしゃるのかどうか訊きたかったのですが、インタビューすることができなかった。大変残念です。」


■再び民主党本部から中継

繁田アナ「海江田代表はいまだに姿を現していません。先程まで細野幹事長が深刻な顔で各社の取材に答えていましたが、笑顔を一切見せることがないまま席を立たれました。
先程、当確した候補の名前を壁に貼りだす予定とお伝えしていましたが、民主党の候補で当確との情報が出ている候補もいる中でいまだに名前の貼りだしはされていません。壁は御覧のようにまっさらなままです。」

池上「そうか、一応、当確の人の名前を貼りだす予定だったのですが、そういう気力もないっていうことでしょうかね。」

繁田アナ「民主党10ということで、当確出てはいるんですけども、貼りだしはされていないというお話でしたね。」

宮崎美子「云ったことは、やった方がいいと思いますよね。」

峰竜太「ねぇ、余計なんか沈んだ感じになっちゃいますもんねぇ。」

池上「ひたすら、お通夜みたいな感じになってまってはねぇ。でもまぁ、昨年の衆院選に続いて、まったく同じような事務所の雰囲気と。」



■衛藤晟一(自民・比例)

池上「先程、VTRを見ていてたら、理容業界。まぁ、床屋さんの団体から、業務独占の堅持。つまり、既得権を是非守って欲しいという要望がありました。いまのアベノミクスの第三の矢で、様々な規制緩和によって成長戦略というときに、規制を守って欲しいという様々な団体の要望にこたえようとすると、どうも色んな矛盾が出てくる気がするんですが、如何でしょうか?」

衛藤「美容とか理容とかいうお仕事は免許制になっていますから、しかも、衛生管理という面で全部担ってもらってるんですね。人と人とが一番接するところのお仕事ですから。当然、それが無許可であったり衛生管理が無茶苦茶であったりしたら困るわけですから、そのことをちゃんとやっていきましょうというのが業務独占という名前の意味なんですね。
業務独占というと云い方が悪いかもしれませんけどね。
だから、各々の仕事をやっていく上で、規制は規制として業界に方にかけられるわけですね。衛生管理とか美容とか理容とかに関する技術というのは。これは当たり前のことですね。
ただ、十数年前に何もかも資格をなくしてフリーでやった方がいいのではないかという話がありましたけども、それは元々通じない話で意味の無い規制緩和ということですね。
規制緩和というのは何かプラスでやるために、変な規制を緩和しましょうというのが、規制緩和なのであって、規制緩和を何でも何でもすれば何か世の中が良くなるというのはこれはおかしいんで。目的がちゃんとなきゃいけないんで、それをはっきりしようということで。」

池上「つまり、必要な規制はあるんだ。それを守っていくんだということですね」

抵抗勢力の生き残りの私は、衛藤議員の考えに深く共感する。
なんでもかんでも規制緩和すれば世の中が良くなるという幻想から、国民は一刻も早く醒めるべきだ。


■創価学会について

創価学会と公明党の関係について解説していた。

公明党の支持団体は創価学会。
支持者は一人ひとりが友人や知人の票集めに奔走する。これを友達=friendの頭文字をとって「F票」と呼ぶ。
「目標は自分の自分の年の倍。私は70歳だから最低150票以上」と話す年配の女性。
隣りにいた同世代の女性は「選挙をやると功徳が出るの。」と話していた。



■佐々木さやか(公明・神奈川)

池上「先程、佐々木さんを応援している方のインタビューの中で、功徳を積むという言い方がありました。功徳っていうのは仏教用語ですよね。つまり、佐々木さんや公明党を応援することが、創価学会の人にとっての宗教活動というか、功徳を積むことになるのですか?

佐々木「創価学会の皆さまには今回の選挙では本当に新人の私を大応援をしていただきまして、本当に感謝の思いでいっぱいでございます。
支持団体の創価学会の中の選挙活動の方針ですとか、そうしたことについては、私の方からは申し上げる立場にございませんので、本当に心から感謝の思いでいっぱいでございます。」

池上「あぁ、なるほどなるほど。つまり、創価学会の人が功徳を積むという言い方をしているけども、公明党の立場としてはそれにコメントするないと、こういうお考え、お立場なんでしょうか?」

佐々木「そうですね。支持団体の皆さまの中の運営方針ですので、私としては申し上げる立場にはないと思います。」

池上「わかりました。佐々木さん、創価大学の御卒業ですよね?御本人も創価学会員なのですか?」

佐々木「そうです」

池上「はい、なるほど。ということは、つまり創価学会が応援してくれている。自分の仲間が応援してくれているということですよね?」

佐々木「私も創価学会の一員でございますので、創価学会の支持団体のメンバーの皆さまは同じ宗教団体に所属していると。そういう意味では、仲間と言いますか、繋がりがあると思っています。」

池上「わかりました。弁護士でいらっしゃいますから法律に詳しいと思うんですが、視聴者からの方からの質問がありましてねぇ。その中で、公明党と創価学会の関係は政教分離の憲法の原則に違反しないのかどうかという質問がありました。これにはどのようにお答えになりますか?」

佐々木「政教分離といいますのは、政府ですとか国が、例えば、個人の宗教を制限をしたりとか、押しつけをしたりとか、宗教に介入をすると。それを禁止している原則でございます。ですから、例えば創価学会の皆さんが公明党を支援をしてくださると。それは、通常の支援と同じものでありまして、それは政教分離には反しません。」

最後の質問の答えが立て板に水で答えていて、しょっちゅうこの手の質問に答えていることがうかがい知れた。
ところで、この佐々木議員、美人だとか可愛いとかで評判になっているが、政治評論家の三宅久之さんが生前「公明党の女性議員は美人が多いが、どこか気持ち悪い」という言葉を思い出してしまった。


■安倍晋三(自民・総裁 総理大臣)

池上「峰さんからは「奥さまは原発反対とききますが、家庭内ではどうなんでしょうか?」という質問です。如何でしょうか?」

安倍「あの(笑) これはですね、皆さま、様々な家庭においても、意見が異なってる場合もあるんだろうと思います。二年前に我々、核事故を経験しました。ああいう事故を二度と起こしてはいけない。そういう決意の中で私たちも新しい安全文化を作って参らなければならないと思っています。家内にもですね、そういう方向で進めていくんだと話はしています。」

池上「云ってみれば、家庭内野党を抱えて原発問題について、いつも議論していらっしゃるということですね。」

安倍「そうですね。」

池上「それと、宮崎さんからは「海外から右傾化と見られているんではないか?ということに心配だ」というのがありました。如何でしょうか?」

安倍「よくそれを訊く人がいるんですが、まづ右傾化という規定はなんですか?ということなんですね。例えば日本は自由で民主主義な、民主主義の国ですね。そもそも、民主主義でない国に右傾化していると云われること自体がどうなのかな?という気持ちがしますけどね。例えば、集団的自衛権にしろ、防衛庁を防衛省に変えた時もそうなんですが、それは、軍国主義化への道ですか?と、とある韓国の方に訊かれましたので、韓国の役所は違うんですか?と。集団的自衛権を行使できないんですか?と訊いたんですね。「そんなことありませんよ」という風に彼は云いました。だったら、全然その指摘は当たっていませんねと云ったら、みんな笑ってたんですがね。まぁ、そういうことなんだろうと思います。」
(略)

反原発派は安倍昭恵夫人を支援した方が近道だったりしてね。


■海江田万里(民主・代表)

池上「こういういい方は失礼かもしれませんけど、代表をお引き受けになったとき、敗戦処理党首のような立場だったところがあると思うんですねぇ、その処理が終わったんでしょうか?これで」

海江田「私は敗戦処理党首だと思ったことは一度もありません。(略)」

池上「ここまで民主党が減ってしまうと二大政党制とは言えなくなりますよね。これらかの展望はどうお考えですか?」

海江田「当然ですね、まず民主党がしっかりと、やはり今の自民党、今の経済政策などを推し進めていくということを安倍さんも仰っていますけども、やっぱりそこには色々な落とし穴もありますから、まずやっぱり野党の、責任野党としてそういう落とし穴などについてはしっかり指摘をしていく。(略)」


■渡辺美樹(自民・比例)の事務所からの中継

進藤隆富アナ「苦戦が伝えられている渡辺美樹事務所なのですが、かなり支持者の方の数が多くなってきて、非常にヒートアップしているという感じです。ただ、御本人の姿はここにはありません。」

池上「御本人は、やはりあれですかね?当選確実が出たら現れるということなんでしょうか?」

進藤アナ「当選になるかそうでないのかも含めて、結果が出たら話をするということだったんですが、実は先程電話で直接本人と話すことができました。苦戦の理由は何ですかと訊きましたところ、「やっぱり、ブラック企業批判はありますね」ということは云っています。楽観的には見ていないという風に語っていました。」

池上「所謂、ブラック企業批判が響いたということですねぇ。渡辺さん本人はブラック企業批判について、先程のVTRでもですねぇ、「いや、我々がブラック企業だったら全国どこだってみんなブラック企業になる」と。ちょっとこう、開き直りとも思えるような発言をされてらっしゃいました。やはり、こういう態度も響いているということなんでしょうかねぇ?」


■福島瑞穂(社民・党首)

池上「共産党は躍進しました。しかし、社民党は低迷から脱出できていません。なんかこう、同じような主張に見えるのに、どうして社民党はこんなに苦戦しているのでしょうか?」

福島「そうですねぇ・・・やはり、発信力が足りなかったんでしょうか。街の中ではやはり、脱原発、憲法を護ってくれ、格差是正で頑張ってくれという声の手ごたえはあったのですが、いまは結果を一生懸命見守りたいと思っています。」

池上「その発信力の無さってどいういうことですか?」

福島「実は自民党のいまの歴史認識や憲法のことと、対立して頑張っているのは社民党だと思ってるんですが、それが中々そういう風に見えない、描ききれなかったというのはあると思います。」


■おまけ
番組の終盤に政治記者50人に訊いた『こんな参議院はいらない』というアンケートの結果が発表されていた。
このアンケートの3位は「スポーツ選手の天下り先?」だったのだが、この解説のときに池上さんの横のモニター画面に谷亮子の映像が流れていた。やるね。

『池上彰の参院選ライブ』における発言録まとめ(前半)

2013-07-25 23:03:11 | 政治・経済
平成25年7月21日、第23回参議院議員通常選挙の投票が行われた。
その夜にテレビ東京系で放送された選挙特番『池上彰の参院選ライブ』における池上彰さんと政治家とのやりとりや発言録をまとめてみた。

原則として、録画した番組から書き起こしたもので、発言の修正は主旨やニュアンスが変わらない範囲で最小限に留めている。
カギ括弧以外の文章は私の個人的な感想や解説。
また、文字を大きくしている箇所も私が個人的に重要だ(または面白い)と思ったところ。


■民主党本部からの中継にて

繁田美貴アナ
「この会場に入ったとき、違和感を感じた場所があります。それが壁なんです。民主党と大きく書かれた壁の右側に不自然にスペースが空いているんです。実は、去年の衆院選、大敗という結果を受け、急遽、花付けを取りやめました。今回は、名前のボードすらありません。ただ、その代わりに、そのクリーム色の壁のスペースに当確した候補の名前を貼っていく予定ということなんです」

池上彰「そもそも最初から花付けを放棄している、諦めている、ということですね。

繁田アナ「そうかもしれないですね」

(中継終わり)

池上彰「繁田アナウンサーの中継、つい声をひそめて、小さくなっているという感じですね」

峰竜太「大きな声出せないですもんねぇ。あそこでねぇ・・・」


一応、解説しておくと中継後の池上さんと峰竜太のやりとりは、民主党本部の雰囲気がお通夜のようになっていたので、思わず声をひそめてレポートせざるをえない状況を指摘したもの。



■川村建夫(自民党・選対委員長)とのやりとり

池上「(幹事長の)石破さんは全国を回っていて、川村さんが自民党本部にどっしり居て、安倍さんと川村さんのラインで選挙を動かしていたようにも見えるのですけど」

川村「決してそういうことはなくてですね、勿論、総裁の指示もございましたが、幹事長との連携・・・やはり、選挙の責任者は幹事長ですから、幹事長を中心に計画等を立てさせていただいて。ただ、幹事長は第一線で、ハードな超人的なスケジュールをこなしていましたから、顔を見ていただいたらわかるように真黒ですから。」

池上「そうですね。ということは、一番の責任者は幹事長ということは、つまり、今回の勝利の殊勲は川村さんなんですか?石破さんなんですか?」

川村「いやいや(笑) いまは手柄争いをしているときではありませんので、結果を見るまでは言えませんが、総力戦ですから、勝ったとしたらそういうことでなければならんと思います。」

(中継終わる)

池上「石破さんが一番の責任者ですからと仰っていたので、石破さんが一番の殊勲者ですと云うかと思ったら、いやいや総力戦ですと言って。自分も大きく力を入れているんだぞということを、さりげなくアピールしていたなと。」

峰「きついなぁ(笑)」

中継が終わっての池上さんの発言が毎回酷い(笑)



■アントニオ猪木(維新の会・比例)との中継

池上「一度、国会から引退されましたよね?今回、また再び挑戦されることになった。それはどうしてでしょうか?」

アントニオ猪木「まさか自分が出るとは思っていませんでした。急遽、今回は維新の会の風が止まったということでですね、まぁ、ひとつせっかく風を起こした・・・私が出てもう一回新しい風をということで。それだけなんです。」

池上「つまり、維新の会としては猪木さんの人気頼みということですね?

猪木「まぁ、人気だのみというか、まぁね・・・人が困っているときに何かをすぐ手助けしたいというタチなものですからね。選挙に出る前から空港でも何処でも人が集まる、皆さんが握手をしてくれる。今回の選挙は特に私から入ってきますからね。大変な渦が行く先々でありました。

池上「猪木さんは前に選挙に出たときは「消費税に延髄斬り」と言って、消費税反対を大きくアピールしてらっしゃいましたよね?しかし、維新の会は消費税を容認しています。猪木さんの考え方が変わったのでしょうか?」

猪木「まだ、維新と政策は大体はアレしたのですけどね・・・本当に打合せをしたことはないんですね。

池上「え?打合せをしたことがない?」

猪木「とにかく、選挙に風を吹かせろというだけで。まぁ、単純なんです。」

池上「ということは維新の会の選挙公約はお読みになりましたー?

猪木「読みました」

池上「読みましたか。あの中で例えば、統治機構を変える、道州制を導入することになっていますよね?それについては?」

猪木「それは私も前からいっていますので、将来はいいんじゃないかと思います」

池上「しかし、政策はまだきちっと固まって決まっていないというわけですね」

猪木「まぁ、だいたいは容認できますのでね。あのー・・・とにかく、いま石原代表、それから橋下代表も含めて、とにかく元気が売り物だったので、あまり私は「お願いします」とほとんど云ってないんですね。とにかく選挙に行こうよ!!と」

池上「随分、アバウトな感じがするんですけどねぇ。

猪木「色々な人がいますから、政治はもっともっと違うぜという人もいるかもしれないけど、まづは皆さんに耳を傾けてもらうと、足を止めてもらうと。そして、その中で訴えた政策をどう判断するか。そんな役を自分が買って出たということです」

(中継終わって)

池上「アントニオ猪木さんの立ち位置が良くわかるやりとりでした。

峰「思わず笑ってしまいましたが。すみません(笑)」


日本維新の会という政党の性格もよくわかるやりとりでありました。



■渡辺美樹の発言

インタビュアー「いわゆるブラック企業批判というものがあると思うのですが?」

渡辺美樹「正直申し上げてなんとも思っていない。正直な私の意見で。何をもってブラックというのか。たまたま一つの事故を取り上げてブラックだと責めるならば、日本中には千万のブラック企業があるわけです」

渡辺美樹がどういう人物が実によくわかる。ここでは敢えて何も言うまい。

渡辺美樹選挙事務所からの中継に対して―
池上「いま、苦戦と言う話がありました。いわゆるブラック企業批判がひびいているんでしょうかね?」



■古川俊治(自民・埼玉)

池上「創価学会が嫌いと明言されています。これで、かなり自民党の中でも波紋を広げたのではないですか?」

古川「まぁ、あのー、実は私は信濃町の病院に長く勤めていたので特殊な事情があるんですね。学生時代からずっと信濃町におりましたので、創価学会の建物が多くある中で、小さな病院にいて、少し肩身の狭い思いをしてきたかなぁと。そういう気がもともとあった・・・そういう特殊事情がああいう発言に結び付いたと思っています。ちょっと、不適切な発言だったかもしれません。」

池上「なるほど。それにしても、医師免許をとって弁護士資格もとり、さらにオックスフォード大学でMBAをとり、そして国会議員。本当にやりたいのはどれなんですか?

(略)

池上「なんか、客観的に見てますと、自分探しをしているようにも思うんですが、どうですか?」

古川「いや、私はいろんな方法で、もともとは医者でございますし、えー、生涯・・・え、が、他の医者が、まぁあの、やり、やりたい。まぁそれを出来れば、その皆の総意でそれを実現していくものだと思っていますけど」

自分探しをしているように見えると言われ、言葉が一部不明瞭になる古河議員が印象的だった。



■林芳正(自民・山口)

池上「当選確実ですが、おめでとうございます。」

林「はい、どうもありがとうございます。」

池上「おめでとうございますと私申し上げたのですが、林さん自身は参議院ではなくて衆議院に鞍替えして出たかったんですよね。めでたさも中くらいなりというところでしょうか?

林「いえ、これだけの山口県の皆さまからの温かい、そして熱いこれだけの御支援をいただきましたので、本当にうれしく思っています。」

まぁ、そう答えるしかないよね(笑)



■石破茂(自民・幹事長)

池上「自民党圧勝ということです。これで安倍石破体制は今後も盤石ということでいいんでしょうか?」

石破「それは、総理総裁が御判断になることで私がとやかく言うことではない。総理の姿勢や政策が国民から支持されたということが、きちんと成果となって数字となって表れてるということです。

池上「いやいや、おそらく安倍さんがお決めになることですと仰るだろうと思っていたら、案の定のお答えでした。はい。」

案の定のお答え(笑)



■井上義久(公明・幹事長)

池上「選挙中、公明党は自民党にブレーキをかけるんだという言い方をしきりにされていましたね。自民党のどんなところにブレーキをかけるのでしょうか?」

井上「私どもはですね、やはり政治が国民から信頼されるためには、国民目線の政治、また生活者目線の政治。また平和ということも国民が期待されている思いますから、そういう期待にしっかりこたえるということが具体的なブレーキになるかと思います。」

池上「ブレーキということは自民党が暴走しようっていうニュアンスが感じられますが、そうなんですか?」

井上「いや、決してそう思っているわけではなくて、連立政権ですから自民党には自民党の持ち味、公明党は公明党の持ち味がありますから、私どもとしては、そういう国民目線生活者目線を重視して、云うべきことはきちっと云うという風に考えています。」

池上「なるほどね。やはり連立を組んでいる自民党に非常に配慮した発言ということになります。自民党に配慮しながら、しかし、国民にはブレーキをかけるんだよと訴えていったということになるわけですね。」

井上「はい」


池上さんのかなり嫌味な云い方に、「はい」としか答えることができなかった井上幹事長がなんだか可愛くて良かった(笑)



■渡辺喜美(みんな・代表)

池上「維新の会だけには負けたくない選挙だったんじゃないですか?」

渡辺「(笑顔で)そんなことはありません」

池上「そんなことはないといいますと?」

渡辺「みんなの党は何をやるかを大事にした政党でありますから、何をやるかということは、誰と組むか、誰がやるかの前に考えていかなきゃならないことですね。ですから、誰がやるか、誰と組むかと、こういうのは古い政治モデルですよ。我々は新しい政治モデルを確立しようと思ってみんなの党を作ったわけですからね」

池上「いやいや、誰と組むかというのは古い政治だと仰いましたが、しかし、一時は維新の会との連携・提携を進めてらっしゃいましたよね?

渡辺「そうですね。例えば、地域集権型道州制とかね、公務員制度改革とか、我々が結党以来掲げてきた政策を維新八策の中でも掲げておられましたのでね、そういう点では協力出来ると思った時期もございました」

池上「現在のみんなの党の獲得の予測の数ですが、どうですか?正直言って、ちょっと物足りなくないですか?

渡辺「(略)まだ最終的な結論が出たわけではありませんので、まだあきらめてはおりません」



■山本一太(自民・群馬)

池上「色々な担当大臣、なんと7つの担当大臣。ちょっとこれ例がないですよね?」

山本「実際は10くらいあるのですが、担当の中でも特に科学技術とか宇宙とか海洋とかITは成長戦略に凄く結び付いている分野なので、大変、責任重大だと思っています」

池上「いま、4つ名前を挙げられました。7つ全部言えますか?お願いできますか?」

山本「その他に、沖縄振興、北方領土対策、領土問題、知財戦略。あと2つくらいあるんですけども、主に云うとそんな感じです」

池上「んんん???あと2つくらいがちょっと省略されてしまいましたけども」

山本「はい」

池上「これだけのことを一人でというのも、とても無理なんじゃないですか?」

山本「そこは、内閣府特命担当大臣というのは御存知かと思いますけども、各省の色んな縦割りを超えて総合戦略を作るという役目ですから、総理のバックアップをいただいてですね、国家戦略を作って進めるという点でいうと、安倍総理にしっかり後押ししていただければ、きちっりとした仕事が出来ると思っています」

池上「なるほど。安倍総理の後押しがあれば出来るということですね

山本「はい。実際にずっと後押ししていただいております」


このやりとり少し解説を要す。
ネット上では専ら「山本一太は自分の担当している7つ大臣名を答えられなかった」と理解されているからだ。
やりとりを御覧になると分かるようにこの理解は少し間違っている。
まづ、スタジオ内のボードには「科学技術政策担当、沖縄政策担当、北方領土対策担当、宇宙政策担当、IT政策担当、海洋政策担当、領土問題担当」の7つが明記されていた。
つまり、池上さんが問いたかった担当大臣はこの7つだが、山本一太は「科学技術とか宇宙とか海洋とかIT」と初めに4つ答えている。
そのあと、池上さんが7つ全部言えますか?と質問し、山本一太は加えて「沖縄振興、北方領土対策、領土問題、知財戦略」の4つを答えた。
この時点でボードに掲げられた7つはすべて答えており、ボードになかった「知財戦略」も答え、合計で8つ答えている。
ただし、山本一太は「実際は10くらいある」と言ってしまったので、8つ答えた時点で「あと2つくらいある」と言った。

まとめると、山本一太は最初に4つ答えて、加えて4つ答えたので、8つは答えることができ、そのうち、スタジオのボードで明記されていた7つはすべて答えた。
ただし、自分で10くらいあるといって、その残りの2つが答えられなかったが正しい。

10あるとか、あと2つくらいあるとか余計なことを言わなければ、7つの担当大臣を答えられなかったと勘違いされずに済んだのに、これが本当の蛇足というものだろう。
しかし、10ある内の2つを答えられなかったのもまた事実。
残りの2つは一体何でしょう?



■池上彰と行く参院選バスツアー

毎回恒例のこのコーナー。
今回は池上さんが女子アナ三人(繁田美貴、相内優香、鷲見玲奈)と各政党の本部を訪れるというもの。

まづは、自民党本部へ。

7階を訪れると「自民トゥルースチーム」という看板があった。
これは、インターネットに流れる様々な情報をチェックして反論しなければならないことに対しては、ただちに反論するチーム。
自民党本部では職員30人が24時間体制で誹謗中傷などを監視している。
正面の大きなモニターにはツイッターのタイムラインが映しだされていた。

さらっと、解説していたが、自民党本部職員がツイッターを監視しているとは知らなかった。
ツイッターでちょくちょく自民党の悪口を云っている私もマークされているかもしれない(笑)
(こんな小物相手にする程、自民党も暇ではないだろうが)


次に民主党本部を訪れ、政権与党だった時と比べ、警備が減ったことを指摘する池上さん。
私も何度かここを通ったことがあるが、たしかに、民主党政権時の警備は厳重だった。

東京選挙区のポスター掲示場では、民主党の鈴木寛のポスターを見て、「民主党」との表記が小さいことを指摘。
その文字を相内アナが虫眼鏡で大きくして「やっと大きくなりました」と言って、軽い民主党いじめをやった後に「なんで、これはこんなに小さいんですか?」と池上さんに質問。
池上さんは「民主党隠しですね」と一言。神隠しじゃないんだから。

池上「民主党ってだけでマイナスのイメージがあると考えている人はこうやって小さくなるわけです


お次は、公明党の本部がある信濃町へ。

池上「もともと信濃町に創価学会があって、創価学会が政治に進出しようとして公明政治連盟というのを作り、それがやがて公明党になっていったわけですね。なので、創価学会の本部がある信濃町の近くに公明党(本部)があるというわけです」

わかりやすい解説ですね。
公明党の本部の入り口には金属探知機が。
「これは先程の自民党本部にはなかったですね」と少し驚く女子アナ三名でありました。


バスは共産党本部がある代々木へ。

共産本部ビルを見て―
池上「見てください。ほら、赤く日本共産党と書いて、赤旗が翻っているでしょ?

共産党の収入は約234億円(2011年)。
共産党は国から貰う政党交付金を一切受け取っていない。
機関紙誌収入(しんぶん赤旗購読料など)が約199億円、とナレーションが解説。

共産党の選挙対策本部は「参議院選挙闘争本部」という名称になっている。

池上「選挙というのは闘いであると。闘いを勝ち取ろうというわけですよ。」
女子アナ三人「へぇー。」
やり取りがだんたんと教育テレビ(ETV)っぽくなってきた(笑)

続いて、一行はしんぶん赤旗編集局へ。

池上「一般の大手の新聞とそっくりですね。それがちょっとコンパクトになった感じですね。」

赤旗をめくる一行
見出しをみて「「共産党だけは一貫しているよ」を大々的に(笑)」とちょっと笑う相内アナ。

池上「でもほら、普通の新聞と同じような事件や事故の記事もでてます」

編集局長に話を伺う。
小木曽陽司(しんぶん赤旗編集局長)「全国紙はほとんど広告料で、(収入の)半分くらいは広告料ですが、私どもの新聞は購読料。読者の。それで賄っています」

頷く女子アナたちに、「そりゃあ大企業の広告ははいりませんよ」と池上さん。

小木曽「それは、入りません」

なにやら愉快なやりとりだった。


―後半に続く!―

愛国心のすゝめ

2013-07-20 02:27:10 | 政治・経済
愛国という言葉を遣うだけでこの国の民は過剰に反応する。
国を愛することがそんなに悪いことだろうか。また、特異なことだろうか。

しかし、愛国という言葉に過剰反応する人の気持ちも実はわからなくもない。
というのも、かつて、このブログでも指摘したが、どの国の愛国心にも根本には同質の要素を持っていて、 それは、多民族に対する嫉妬、憎悪、恨み、不信などで本来、愛国心とは実に排他的なものだということだ。
そして、それはしばしばそれは強力な国家を維持してゆく為の装置として使われる。
しかも、グローバルの視点ではこれを否定的に捉えてはならず、他国への憎悪が国家サバイバルのエネルギー源となりうる以上、この“排他的な愛国心”は持っていた方が良いのである。
私が反グローバリズムを掲げる理由がこのことからもお分かりいただけようか。

しかし、近代以前に日本人がもっていた愛国心はそうではなかった。
いや、近代以前には国家の概念がなかった以上、愛郷心と言った方が適切かもしれないが、ここでは、敢えて愛国心で通したい。

日本人の愛国心は

 
大和には 群山(むらやま)あれど
とりよろふ 天の香具山
登り立ち 国見をすれば
国原は 煙立ちたつ
海原は 鴎立ちたつ
うまし国ぞ あきつしま 大和の国は



と 『萬葉集』で舒明天皇がうたったように、情緒的で他国との比較もなく、排他的でもなく、せいぜい「わたしの国はいい国です」と表明するに過ぎなかった。

ところが、明治以降、日本は近代化の道を歩み、欧米並みの排他的な愛国心が必要となった。
だが、日本人は欧米並みの愛国心を持ちえたのだろうか。
私は今を以ても、日本人は欧米並みの愛国心を持っていないと思う。
大東亜戦中に過剰に愛国心が鼓舞されたが、これは、本来、排他的な愛国心を持ち得なかった日本人が無理やり愛国心を呑みこんで消化不良を起こした結果ではなかったか。
戦後、この消化不良による過剰な胃もたれに懲りて、愛国心自体を否定してしまった。
しかし、もっとよく咀嚼すればよかったのだ。近代化を急ぎ過ぎてあまりにも時間が足りなかったのだろうが。

戦後六十八年がたった。いま一度、愛国心をゆっくり咀嚼する時がきた。
では、いま日本人に必要な愛国心とはなんだろうか。
情緒だけでもなく、排他的でもない。しかし、情緒に根差した我が国の郷土、自然、文化、伝統、それによってはぐくまれた国柄や精神を含めた国を愛する心である。
いうまでもなく、ここでの「国」とは、政府や統治機構、いわんや政権与党のことではない。

悪く言えば、ドメスティックな愛国心であるが、それすらも持ち得ていないことが我が国の不幸であるに違いない。

すでにお気づきのように、このドメスティックな愛国心は右翼の専売特許ではない。
この愛国心は左右の別なく持ち得るもので、誤解を恐れずに書けば、よく反日勢力呼ばわりされる左翼や共産党や反原発派の人にも愛国者は大勢いると思う。(と同時に、これらの党派性をもった人々に反日的な人が多いことも否定しないが)
反対に普段、愛国者を気取っている者が実は一番、我が国の郷土と自然と文化と伝統と国柄と精神とを破壊していることが往々にしてある。
このように愛国者面をして平気で国を売るようなことをする人物もまたこの国は多い。
愛国という言葉が否定的に捉えられる要因の一つだ。

そういう事情もあってか、我が国では愛国心は否定的に捉えられがちだが、ドメスティックな愛国心と民主主義とは矛盾しない。
むしろ、民主主義が健全に運営されるには愛国心が必要であって、我が国の民主主義が健全に機能していないとするならば、国民の愛国心が稀薄であることと無関係でないのではないか。
自分の住んでいる国を愛することができなくて、どうして政治が民主主義がうまくいくだろう。

参議院選挙を明日に控えた。
目下のところ、真に愛国的な政党は皆無と言わざるを得ない。
どうせ、グローバル化と市場主義、新自由主義が善と考えるとりわけ愛国心の無いあの党が圧勝する。
嘆きたくなるが、その後からでも遅くない。まづは国民が愛国者となることだ。
そうすれば、日本の民主主義も少しはマシになる。

第46回衆議院議員選挙雑感

2012-12-19 21:50:31 | 政治・経済
平成24年12月14日。
この日、衆院第一委員室で党首討論が行われていた。

「一日も早く国民に信を問い、新しい政権が経済、外交を立て直していくべきだ」と解散を迫る安倍自民党総裁。
論戦が続く中、自民党議員の野次に対し、「聞いてください」と制止し、野田首相は云った。

「・・・定数削減は来年の通常国会でやり遂げる。この御判断をいただけるならば、私は今週末の16日に解散をしてもいいと思っています」

場内は一瞬静まり返り、すぐに「うおー」と声が響いた。
樽床総務大臣は驚いた顔で野田首相を見据えた。

メディアは、このとき安倍総裁は「狼狽した」と伝えるところもあったが、実際の映像や写真をみるととてもそういう風には見えない。
終了後も明らかにニヤケけた顔をしている。

狼狽えていたのは明らかに民主党議員の方だった。
田中文科相が云ったようにこのタイミングでの解散は民主党にとって「自爆テロ」以外のなにものでもなかったからだ。

この時の両党の議員の表情がそのまま選挙後の彼らの表情になる。

×××××××

果たして、選挙の結果は自民党の圧勝だった。
いや、各メディアが云うように自民党の圧勝というより、民主党の惨敗だった。
選挙翌日の新聞紙上には「潰滅的惨敗」の文字が躍った。

民主党は公示前の230議席から57議席へ四分の一程度に議席を減らし、
自民党は118議席から294議席へと二倍以上議席を増やした。

しかし、この結果は喜劇のようにもみえる。
前回の衆院選の結果をそのまま裏返しただけ。
違うのは党名と聞き慣れない政党がやたら票を伸ばしていることか。

前回の衆院選後にも云ったが、小選挙区制ではどうしてもこのような結果をまねきがちになる。
風が吹けばボロ勝ちする党とボロ負けする党が出る。
死に票が多く、民意が正確に反映されず、風が吹けば、特定の政党が圧勝する。
これを毎回繰り返す気か。
衆院選のたびに政権を交代させる気か。

もういいかげんにこの馬鹿げた選挙制度を廃止にするべきだ。
中選挙区制の復活をここに改めて明言したい。

×××××××

なんと、朝日新聞も小選挙区の弊について難じていた。
天声人語子曰く「小選挙区の破壊力、いまさらながら恐ろしい」、「小選挙区制がうっぷん晴らしの装置になっているようでもあり悩ましい」(24年12月17日付)と。

だがちょっと待って欲しい。(天声人語口調)
朝日は前回の衆院選挙でも同じことを云ったか?
自民が圧勝した途端、小選挙区の弊を難じるのはやめてほしい。

多くの新聞は前回の選挙ではまるで我がことのように民主党の圧勝に酔いしれ、小躍りしているかのような記事を書き殴っていたが、今回はどうだ。
自民党への恨み節と呪詛の言葉を投げつけている。(註)
ならば今後、新聞は支持政党を明言したうえで記事を書け。

×××××××

民主党の細野豪志が「民主党がどういう政党なのか、何をやりたかったのか、きちんと国民にお示しできなかった(ことが敗因)」というような話をしていた。
いや、それは逆で、国民が民主党がどういう政党で何をやりたいか理解したから今回の結果があるのではないか。

各局に出演しているコメンテーターやタレントは口をそろえて「今回の結果は予想外。ここまで民主が負けるとは・・・」とかなんとか云っている。
私としては全く予想どおりの結果。(私だけでなく多くの国民も予想していたことだろう)
タレントは別として、今回の結果が予測できなかった政治評論家はとっとと廃業するべきだろう。

×××××××

実はいまから四年後のことを考えて戦々兢々としている。
気持ちがうつろいやすい日本国民のこと。
いまの自公体制が四年後以降も続くとは思えない。
つまり、次の衆院選後は維新(第1党)、自民(第2党)、民主(第3党)、みんな(第4党)くらいになって、維新、民主、みんなの連立政権が誕生しないかという危惧だ。

そうなれば強力な新自由主義政権の誕生であり、それこそ、この前の民主党政権が可愛く思えるくらい最悪の政権になる。
私の危惧が杞憂となりますように!

×××××××

ところで、今回の選挙でもそうだが、私自身が政治的マイノリティであることを改めて実感した。
私の政治思想に一致する政党が存在しないからだ。
だから、比例をどの党に一票を投じるかいつも悩んでしまう。
もっとも、個人の政治思想と政党のそれがすべて一致するなんてあり得ないことだろうが、私の場合は一般人より深刻なように思われる。
白状しておくと私の政治・政策思想は、

反新自由主義、反グローバリゼーション、反TPP、反道州制、反行革、反消費増税、反米、反中共、尊皇・・・。

前半は共産党みたいだが、最後の尊皇で共産党とは決定的に違う。
『あび卯月日記』の方に書いたが、共産党が一言「天皇陛下萬歳」と云ってくれれば手をつなぐのに。
・・・と思ったが、共産党とは歴史問題や外国人参政権問題等でも考え方が異なる。
やはり、私にぴったりの政党なんぞ我が国には存在しないのである。

※なお、「共産党が一言~」の元ネタは三島由紀夫が東大全共闘に云った「君らが一言『天皇陛下万歳』と叫んでくれれば俺は喜んで君らと手をつなぐ」という言葉から。


*******

註:新聞各社の選挙後の反応については下記を参照のこと。

【朝日新聞】
小選挙区制がうっぷん晴らしの装置になっているようでもあり悩ましい。
ますますその場しのぎの国民受けに流れないか心配になる
http://www.asahi.com/paper/column.html

 戦前の反省をふまえた、戦後日本の歩みを転換する。そうした見方が近隣国に広がれば、国益は損なわれよう。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html


【毎日新聞】
 とりわけ、安倍氏ら自民党が自衛隊を「国防軍」に改称する9条改憲や、尖閣諸島への公務員常駐の検討など保守色の強い路線に傾斜していることは気がかりだ。海外にも日本に偏狭なナショナリズムが広がることを警戒する声がある。冷静に外交を立て直さねば孤立化の道すら歩みかねない。
http://mainichi.jp/opinion/news/20121217k0000m070282000c2.html


【東京新聞】
有権者は白紙委任したわけではない。慢心にはしっぺ返しが待っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012121702000176.html


【中日新聞】
 安倍自民党は勝利におごらず、野党の主張に耳を傾けて丁寧な国会運営に努め、地に足のついた政権運営を心掛ける必要がある。
 集団的自衛権の行使容認など、党の主張は一時棚上げすべきではないか。政治を機能させるための忍耐は、恥ずべきことではない。

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2012121702000155.html


【信濃毎日新聞】
今回、迷って1票を投じた有権者は自民に全権を委ねたわけではない。巨大与党の勇ましい決断は危うい。
http://www.shinmai.co.jp/news/20121217/KT121216ETI090002000.php

安倍総裁は自民党の公約が全面的に支持されたと受け止めるべきではない。
http://www.shinmai.co.jp/news/20121217/KT121216ETI090006000.php


【北海道新聞】
大勝した自民党の安倍晋三総裁は、そこをかみしめる必要があるだろう。改憲や外交・防衛政策での強硬姿勢は特に気になる。首相として失敗した過去もある。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/


【沖縄タイムス】
国全体に堪(こら)える力が乏しくなり、選挙がうっぷん晴らしの場になっているのではないかと危惧する
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2012-12-17_42854


【高知新聞】
自民党が掲げた看板は「日本を、取り戻す」。経済や教育、外交、安心を取り戻すというが、それがなぜ「日本を」となるのだろう。
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=296765&nwIW=1&nwVt=knd


【中央日報】(おまけ)
右翼の躍進は日本社会の右傾化の産物でもある。民主党政権発足に対する反作用でインターネットは「ネット右翼」と呼ばれる極右勢力に掌握された。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121217-00000016-cnippou-kr

「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」の気持ち悪さ

2012-04-15 22:11:08 | 政治・経済
ダッ!ダッ!脱・原発の歌/制服向上委員会
http://www.youtube.com/watch?v=ByP8m3XOZdw

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制服向上委員会というアイドルグループが、「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」なる反原発ソングを歌っている。
はっきり云って気持ち悪いことこの上ない。
イメージが湧かない人はAKB48が

忘れないから 原発推進派
安全だったら あなたが住めば良い
みんなに迷惑かけちゃって 未熟な大人ではずかしいよネ
ダッダッダッダッ脱!原発を! ダッダッダッダッダツ 大きな声で
世界へ向けて叫ぼう危険な現実を
(「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」詞:鈴之助 より引用)


などと歌っている姿を想像してみるといい。 

私が原発推進派だから「反原発ソング」を気持ち悪いと云っているのではない。
むしろ、私は脱原発派に近いといってもいい。
例えば、他にも制服向上委員会は「悪魔・野田・TPP」なる反民主党・反TPPソングを歌っている。
云うまでもなく私はTPPにも民主党政権にも大反対の立場だが、同様に気持ち悪さを抱くのだ。

なぜか。
アイドルグループに政治的プロパガンダをやらせることの気持ち悪さだ。

政治的主張を歌に乗せること自体はまだいい。
反原発ソングでいえば、ブルーハーツが歌った『チェルノブイリ』に寸毫の違和感も感じないし、
福島の原発事故後ではステルスマン(平沢進)が歌った『原子力』はむしろお気に入りの曲でポータブル音楽プレイヤーに入れてしょっちゅう聴いているほどだ。

無論、歌詞やメロディーのクオリティにも左右されるし、聴くに堪えない政治ソングも多い。
制服向上委員会のそれは、歌詞になんの諧謔もなく、政治運動のアジビラと同レベルかそれ以下。
そんな歌をアイドルグループというより田舎の小娘が集まったような集団に歌わせる。
ちょっと異様な光景だ。

だいたい、反原発ソングを歌いたいなら、自分でやればいい。
忌野清志郎も斎藤和義も自分の主張を自分の歌にして自分で歌っていた。
他人に(それもアイドルに)歌わせようとはしなかった。

しかも、制服向上委員会のメンバーは大人に云われた通り、命令通りに歌っているだけじゃないか。
「違う、彼女らは自分たちの意志として歌いたいのだ」という反論があるなら、それは洗脳されているだけではないか。

仮に制作者サイドが「アイドルに反原発ソングを歌わせることによって輿論を喚起される」というような戦略を立ててやっているなら、それは老婆心ながら即刻辞めることをお勧めする。
自分たちがどう感じているか知らないが、あの歌や映像を聴いたり見たりして、一般人が抱く感想は違和感であり、あるいは嫌悪感だ。
B級のアイドルグループが安い歌詞と単調な曲に乗せて反原発を歌う。
この光景を見て違和感を感じないとすれば、その人は相当感性が鈍っている。

制服向上委員会は頭脳警察のPANTAや中川五郎ら左翼音楽家に乗っ取られててからおかしくなったといわれている。
なるほど、アイドルグループに反原発ソングを歌わせるのはかつての左翼の感性だ。
こういう一般大衆の感性と乖離した彼らのそれが、左翼運動に対する一般大衆の支持を失わせこんにちの左翼の衰退があるとすれば、彼らはいまだにその弊を引きずっていることになる。

こういう「反原発」の連中がいるから、私は脱原発寄りにも拘わらず、態度を鮮明にしたくないし、反原発運動なるものに関わりたくもないのである。

TPPに関するツイッターでのつぶやき(再録)

2011-10-17 00:44:39 | 政治・経済
TPP反対論を執筆中だが、なかなか筆が進まない。
出来上がるかもわからない。
そこで、とりあえずは、ここ最近のTPPに関するツイッターにおけるつぶやきを再録したい。

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2011年10月16日(日)

たかじん委員会で「みんなの党」の江田憲司がTPP大賛成論をぶっていた。TPPに参加しないと日本は沈むと。TPPに参加したら日本は沈むの間違いだろう。みんなの党は市場原理主義で格差万歳の新自由主義政党。TPPに大賛成ですとはわかりやすい。
posted at 15:00:52


2011年10月15日(土)

【米国の農業保護政策5】こういう米国農政の事実を鑑みれば、日本の農業が弱いのは保護が厚いからではなくて、むしろ、農業が保護されていないからともいえる。米国は農業を補助金漬けにして、世界中に輸出する攻撃的な農政をやっているが、日本がやろうとしていることはこれとまったく逆だ。
posted at 21:01:12


【米国の農業保護政策4】米国にはそういう二重三重の農業保護制度があるので、本来は競争力が低く、コメの輸入国になるはずなのに、輸出国になっている。つまり、米国の農業が強いのは手厚い保護があるためだ。そういう保護を温存した上で、米国は日本に自由化を迫っている。
posted at 20:53:30

【米国の農業保護政策3】米国の農業保護額は過少申告で1兆8,000億で実際は3兆円を超える。日本は6,400億程度。農業所得に占める直接支払いの割合は米国で26.4%(小麦62.4%、トウモロコシ44.1%、大豆27.9%、58.2%)となっている。日本は15.6%ほど。
posted at 20:34:59

【米国の農業保護政策2】それに、日本では「ゲタ」と言われている固定払い分が2,000円ある。それでも合わせて14,000円なので、目標価格の18,000円には届かない。その不足分4,000円についても、政府が支払ってくれる。私が欧米の農家は公務員のようなものだと述べるゆえんだ。
posted at 20:28:59

【米国の農業保護政策1】米国の農業は日本とは比べものにならないくらい補助金漬けだ。例えばコメを一俵の目標価格は18,000円。農家がコメを1俵作ると政府が12,000円貸してくれる。コメを4,000円で売ると、その4,000円だけ政府に返す。残りの8,000円は返さなくていい。
posted at 20:26:45

というか、真の愛国者なら、日本を米国の植民地にして、経済も労働も医療も保険も農業も食料も景観も生活も壊滅させて、日本国の滅亡を招くTPPに反対するのが当然と思うのだけど。
posted at 20:16:01

自称愛国者がTPP参加を推進しているのは愛国企業だとかなんとか言っている。「不思議なことだ、いつの時代においても悪人は自分の下劣な行為に、宗教や道徳や愛国心のために奉仕したのだという仮面を着せようとつとめている」と言ったのはハイネだが、自称愛国者の愛国心には頭が下がる。
posted at 20:14:15

米国は米豪FTAで自由化の名のもとに豪州の医療制度を潰しにかかっている。現時点で一部の医薬品の卸売価格が高くなるにとどまっているが、米国は不十分だとしてさらなる改定を求め、TPP交渉でもこの問題を取り上げるとの動向を表明している。日本医療の危機も決して杞憂ではない。
posted at 20:06:45

米豪FTAですでに医療に及ぼす悪影響が指摘されている。豪州には「医薬品給付制度」という、患者が支払う医療費の一部を政府が負担する制度がある。この制度により豪州の医療費は米国の3分の1から10分の1に抑えられている。米国は自由化の原則に基づきこの制度を改定しろ!と噛みついてきた。
posted at 19:55:37

日本医師会などが医療格差を指摘 TPP参加問題 http://t.co/SBnVFs4A
posted at 19:50:01

@seamo7589 TPPはサービス分野の自由化も明記されていまして、医療もこのサービスに含まれます。医療が自由化されると外国資本が利益を求めて病院経営に参入したり、自由診療や混合医療が広がり、国民皆保険の崩壊につながります。先日、日本医師会も懸念を表明しました。
posted at 19:49:35

TPPの議論をする前に、「自由」という概念は本質的に「平等」と相反する概念であるということを確認しなければ、話が始まらない気もする。
posted at 01:50:09

結局、日本国内において、TPPで得をするのは輸出企業の経営陣だけなんじゃないの?輸出企業であっても労働者は外国人雇用の自由化によって首を切られる人が相当数出るんじゃないか。
posted at 01:36:17

私に言わせれば、TPP賛成派は米国の工作員か経団連や資本家の手先。自由の名のもとに、日本を一部の金持ちと大勢の貧民からなる国に作り変えたいわけだ。貧民は風邪ひいても薬買えないよ。TPPは国民皆保険も潰すからね。
posted at 01:30:43

TPP賛成派曰く、「TPPに反対している連中は既得権益を維持したいからだ」と。労働や医療や保健など、アメリカから見れば、日本国民全員が既得権益保持者だよ(笑)
posted at 01:26:51

「日本の農業は補助金漬け」なんて云う人はつくづく世界の農政を知らないのだなと思う。まづはアメリカの農業への補助の仕組みから勉強してみたら?
posted at 01:24:16

今回の原発の件で多くの国民は気づいたと思うが、新聞社やテレビは報道機関ではなく、企業や国や官僚の広報機関なのだ。つまり、真実を正しく伝えるとか、そういうジャーナリズムの役割を寸毫も果たしていない。これまでも、そしてこれからもそうだろう。
posted at 01:12:37

新聞社はあれだけTPP参加を煽っておいて、参加後に日本の経済、農業、雇用、医療、保険、生活環境等々がズタズタに蹂躙された時、一体どんな顔をするのだろうか。きっと、終戦の時と同じ。素知らぬ顔をするだけだろう。(略)
posted at 01:09:29

日本人は「歴史に学ぶ」とか「歴史の教訓」とかそういう類の言葉が大好きだが、口で言っているだけで、全く学んでいないことは今度のTPP問題でも如実に表れている。そして、後になって、また嘆くのだこの国の民は。
posted at 01:01:34

リカードの比較優位論に基づく自由貿易論はすでに破綻していることは現実世界をみても明らかで、工業化による比較優位は決して固定されることはなく(例えば中国への工業移転を見よ)、安定した国際分業などあり得ない。
posted at 00:58:02

日本が西欧列強の帝国主義の荒波に呑まれ、大東亜戦争に至るまで、運命だったにしろまだやり方があった。もう少しマシな方法を採ればあれほど悲惨なことにはならなかった。TPPも同じ。グローバル化、貿易自由化は避けられないにしても、もっと方法がある。TPPは最悪の選択だ。
posted at 00:40:50

左の朝日から右の産経まで新聞各社が申し合わせたようにTPPへの参加を煽っている。ちょっと気持ち悪いくらいの異常事態じゃないか。新聞社が一斉に口をそろえるときは必ず国を誤るときだ。そう、日本が泥沼の戦争に突き進んだように。
posted at 00:38:17

マスコミは戦前も戦後も何も変わっていない。戦前はバスに乗り遅れるなと三国同盟、新体制運動を賞賛し、支那事変の拡大と日米戦争を煽った。今度はTPP参加を煽っている。マスコミの煽りに乗った行先は廃墟だった。今度もそうなるだろう。
posted at 00:36:17

@tissumiko TPPへの参加は云いかえれば、日本がアメリカの21番目の州になるということです。日本をアメリカにしてはなりません。仰るように日本の終焉です。
posted at 00:33:11


2011年10月12日(水)

TPP賛成派の中に自由貿易は素晴らしいという論理づけのためにリカードの比較優位論を持ってくる人がたまにいて転げそうになる。例えは悪いが、天動説を信じている人と天文学の話をするようなものだ。
posted at 01:37:34

「食育ライフセーバー講座」を主宰されている安田美絵さんが「サルでもわかるTPP」というTPP解説サイトを作っておられる。解りやすいのでTPPに関心のある方も無い方も是非一読を。 http://t.co/0kGMauSV
posted at 00:43:03


2011年10月10日(月)

いま紹介したように北米自由貿易協定(NAFTA)で実は米国の労働者も痛い目を見ている。メキシコはメキシコで全農家の3割が離農し、劣悪な品質の米国産トウモロコシの流入によって伝統的な食文化も危機に晒されている。
posted at 00:47:50

米国ではNAFTA発効以降、メキシコからの移民の流入や工場の海外移転などで500万人以上の雇用が失われた。労働組合はNAFTAについて(1)国内の雇用を減らさない(2)貿易相手国に労働者の権利保護を求める(3)環境を守る規制を徹底させる―等の見直しを要求している。
posted at 00:37:25


2011年10月09日(日)

NZのTPP首席交渉官が米国国務省のフランキー・リード国務副次官補に、「(TPPによって)日本、韓国その他の国を押しつぶすことができる」と語っていたことがウィキ・リークスによって暴露されている。日本にTPP参加をせまるアチラの思惑を日本人はもっと知るべきだ。
posted at 23:54:35

ニュージーランド外交貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官「TPPが将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。もし、当初のTPP交渉8カ国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば、日本、韓国その他の国を押しつぶすことができる。それが長期的な目標だ」(米国公電)
posted at 23:45:13

TPP参加の条件としてアメリカが要求している一例を紹介。「アメリカ牛肉のBSE問題による輸入制限の撤廃」「郵政民営化の推進」「自動車安全基準の緩和」。これだけでもふざけるなという話だ。
posted at 21:23:17

フジや花王にデモする暇があったらTPP反対のデモをやればいいのに。デモ嫌いの私もこれなら参加するかもしれない。
posted at 20:41:52

TPPに関する最近の各新聞社の社説のレヴェルの低さに驚かされる。事実誤認ばかりで、最近はそれを恐れてか、抽象的な言葉(「日本経済の成長のため」「農業の改革のため」とか)を弄して賛成論をぶっている。そんな文章なら小学生でも書ける。
posted at 20:38:10

@piraniakun_ @heijitunohiruma 仰るとおりです。日本が農業保護国なんて大ウソで、農業所得に占める直接支払いの割合は15.6%に過ぎず、米国では平均26.4%、フランス90.2%、イギリス95.2%、スイス94.5%となっています。
posted at 15:00:18


2011年10月08日(土)

@adsetukei @sanngitan TPPによって政府調達が自由化され、地方自治体の入札に海外企業も参加させるとなれば、地方経済は崩壊するでしょうね。
posted at 21:05:16

私はTPPに大反対の立場だが、かといって日本の輸出産業が衰退していいという話ではない。TPPは輸出産業に与える恩恵が経団連や経産省なんかが云うよりずっと少なく、さらに他産業が受けるデメリットがあまりに大きいから反対なのだ。
posted at 21:00:18

TPP賛成派は韓国が米国とのFTAに成功していることを参加の理由にすることがあるが、韓国はGDPに占める輸出産業貢献度が36.7%で、14.8%の日本とおなじ貿易政策を追求しても意味がないし、日本の国益と合致しない。
posted at 20:57:22

その上、日本の半導体、電子部品、電子製品の生産拠点は対米輸出が無税のメキシコにすでに移されていてTPPどころかFTAがなくても無関税だ。
posted at 20:52:25

TPP賛成派は「対米輸出を有利にするため」という。むしろ、それは米国が考えていること。それに、米国が工業品に課している関税は乗用車2.5%、テレビ・白物家電で最高5%とすでに低い。電子製品や装置機械は無関税も多い。それに、日本の主要家電の対米輸出はそれほど多くない。
posted at 20:49:25

TPPの議論には事実誤認が多く、現状認識すら正確でない場合が多い。例えば、「日本は鎖国している」という認識。日本の平均関税率(全品目)は4.9%(2009年)。米国は3.5%だが、EUは5.3%で韓国は12.1%だ。そして、農産物については、日本は世界最大の純輸入国だ。
posted at 20:44:30

ローソン社長がTPPに賛成する理由はある意味では良く分かる。TPPで東南アジアから安い労働力が入ってくれば、コンビニ業界は万々歳だろう。コメも安い外米がはいってくればコンビニ弁当やおにぎりの値段が下げられる。日本の労働者や農業者からみれば敵に相違ないが。
posted at 18:32:05


2011年10月06日(木)

TPP推進派の安住淳財務大臣は農業について「あんな平均年齢70歳の産業なんて、保護する価値もない」と発言したという(10月13日号週刊文春より)。この発言が本当なら安住は馬鹿を通り越して、人間のクズだ。
posted at 01:02:56


2011年09月21日(水)

TPP賛成派はよく日本は鎖国しているというが、では、日本の平均関税率は?世界最大の農産物純輸入国はどこか?鎖国している国の食糧自給率が40%ということはあり得るのか?・・・まずは以上のことを自分で調べてみて「鎖国」という言葉を使ってほしい。
posted at 23:05:08

TPPを自由貿易だと勘違いしている自由主義者がたまにいる。あれは、戦前にやったブロック経済のようなもので、自由貿易の思想とは根本的に相反する。たまにそこを理解して、TPPに反対する自由貿易派もいるが。
posted at 22:56:31

野田首相とTPP

2011-09-10 12:58:17 | 政治・経済
北朝鮮の手先から財務省の手先に首相が変わった。
同じ手先でも随分マシになった印象だが、これはこれで困りもの。
ある議員曰く、「財務省の作った作文を野田さんくらい感情豊かに話せる人もいない」と。

野田新総理は早速、TPP参加への意欲を示しているが、さもありなんといったところか。

TPPは経団連、財務省がなんとしてでも参加したい貿易・経済協定。
詳しくは稿を改めて論じたいが、TPPは農業だけの問題ではなく、公共事業、金融、医療、サイービス、労働市場、投資、紛争処理等、24の分野が対象となっている。
TPPへの参加は国民生活・経済・社会環境に激変をもたらすが、マスコミは農業問題に矮小化して報じている。

最近のTPP参加論物者の物言いは「早期にTPPに参加しておかないと、後から参加したら不利になる」というもの。
戦前に流行った「バスに乗り遅れるな」のスローガンにそっくり。
TPPは泥船なのだから、「そんな船、遅くとも早くとも乗るな」が正しい。

「行動する保守」について

2010-05-29 23:54:38 | 政治・経済
「行動する保守」という言葉があるらしい。
朝日新聞の命名らしいが、反民主党、反左翼のデモを行ってるような保守派を指す。
主にネットで集結し、横の繋がりがネットを通じてのものという点が特徴のようだ。

確かに、最近のネット上ではそういった話題がこと欠かない。
「○月○日のデモに参加しよう!」とか要望活動を行うとか、本を買うとか、なるほど“行動する”保守だ。
私は「行動しない保守」なので(そもそも保守かどうかも怪しいが)、今までデモに参加したこともなければ、これから参加する気も無い。
かといって、行動する保守を否定する気も朝日新聞のように冷かす気もない。
デモやその他活動によって本当に国が良くなるのであれば多いにやって欲しいと思うし、元気と気力があるなあと関心させられる。

ただ、気になるのは一部の「行動する保守」の「行動しない保守」に対する態度だ。
これは小林よしのりが『WILL』に描いていたことだが、チャンネル桜で小林さんが「わしは引退したらデモなんかに参加しないで、公園の草むしりでもするよ。」と云った時、行動する保守から

「オレたちは、暑い日も寒い日も、雨の日も、好きこのんでやっているわけじゃないんだ!」
「国ためにやっているんだ!」
「オレたちの行動を草むしりなんかと一緒にするな!」
「おまえはなんか公園の草むしりでもやってろ!」
(引用はすべて『WILL』2010年6月号199頁より)


というような批判が殺到したことのこと。
正確な文言は知らないが、少なくとも自分たちが行っている活動は天下国家のためであり、公園の草むしりなどという下等なことと違い高等なことだとの思い上がりをびしびしと感じる。

小林さんはこのことについて今月号のWILLで次のように指摘している。

「最近の反左翼の「紋切り保守」の人々は、家族・地域・会社などの共同体から浮遊した個人が多い。そのような人々がネットで集結して連日のようにデモ行進している。」
「コミュニケーションが不得手で思想することのできない「砂つぶの個」の国家主義者たちが反民主党の「正義」を手に入れたのだ!!」
「地域の「公共」には関心持たず、家族や会社などの中間共同体をすっとばして、国家の危機だけを叫んでいる。」
(『WILL』2010年7月号194頁)


私が、最近の保守派に抱いていた違和感を代弁してくれた心持ちがした。
とりわけ、ネトウヨと呼ばれる人たちの言説を聞いていると、家族・地域・会社など身近な共同体への視点が欠落していることが多い。
また、語り口も、そのような態度で人とのコミュニケーションが成立するのかと疑いたくなくことがある。
これは、かつて左派に多い傾向だと思っていたが、右も例外ではないらしい。
むろん、最近の保守派が全員そうだということではなく、上記のような保守派が増えているということだ。

私は小林さんの日頃の主張には是々非々の立場だが、「わしは引退したらデモなんかに参加しないで、公園の草むしりでもするよ。」という考えには深く共感する。
私も定年後はそういった地域のためになるようなことをして過ごしたい。

修身斉家治国平天下という言葉がある。
国を良くする為にはまづは身近な地域であったり家族であったり自分自身を良くすることが大切だという程の意味だが、この考え方を政治主義者は度外視していると思う。
自分の身近な共同体をすっとばして国家のことばかりを論じて、果たして本当に国が良くなるのだろうか。
私は日々、職務に励むことが地域、ひいては国を良くすることだと信じる。
結局、自分自身がやれることを一生懸命やることが国を良くするのではないか。
そのためにはまづ身を修めると。

もっとも、私は身を修めることも出来ていないのに、ネット上で偉そうに政治を語ったりしているわけで、それが「行動しない保守」の所以だ。
「行動する保守」からはお叱りを受けそうだが、私は遊びで言論に似たものをやっているだけで、いち庶民が酒場で愚痴っているのと変わりない。

私の気持ちは、かつて福田恆存先生が述べたように

「私の政治論は熊公八公の床屋政談と同じだと評する人があるが、これはむしろ名誉である。私の一番言ひたいことは、潜在的支配階級である学者の政治論を永遠の町人である熊や八やの床屋政談の線まで引下げよう、いや、引上げようといふことなのであるから」

ということに尽きる。
保守派にはこういう床屋政談を許容する懐の深さが欲しい。

宝くじの事業仕分けは意味不明

2010-05-24 01:06:08 | 政治・経済
事業仕分けで宝くじが廃止になる可能性が出てきた。
仕分け人が噛み付いたのは宝くじの関連団体に天下り役員がいて、高額な報酬を得ていることや普及・宣伝事業に無駄が多い点だ。
民主党の寺田学はそれらの問題が解決されるまでは「総務相は宝くじの販売を認めるべきではない」と発言し、宝くじ事業そのものの廃止を匂わせた。
また、普及・宣伝事業については否応なく廃止と判断された。

しかし、ちょっとまて。

宝くじ関連団体に天下った官僚が高給を貪っている点や、その他普及宣伝など無駄な事業は廃止すればいい。
が、それを止めさせる為に廃止も視野にいれることは乱暴というほかない。

というのも、宝くじの収益金は地方の貴重な自主財源になっている。
全売上げの45.7%は当籤金として還元され、40.2%が地方の自治体へ交付される。
14.1%が社会事業、宣伝・広報などに使われる。

この14.1%の内、無駄な支出があれば、省けばいい。
しかし、繰り返すように40.2%は地方の貴重な自主財源になっているわけで、宝くじを廃止すれば地方の住民税、あるいは国税が増税される可能性も出てくる。
不思議と(いや、いつものことか)マスコミはどこも報じないが、宝くじ廃止は増税への道だ。

宝くじ関連団体の天下りが問題であれば、その点に絞って改善指導すればいい。
なのに、宝くじ自体を廃止することになれば、「無駄な事業を見直す」「税金の無駄を無くす」という事業仕分けの主旨にも、国民の公共の利益の思想からも反している。

そもそも、宝くじの発行主体は県と政令指定都市であって、なぜ国がそこに口を出すのか意味不明だ。
民主党の地域主権とやらが口先だけのことだということがよく解る。
結局、地方は国に従えということだろう。
また、宝くじ関連事業の資金は宝くじの収益金であって税金は一銭も使われていない。
この点からも宝くじ関連団体を仕分け対象にすることは的外れだ。

宝くじ事業は国民も喜び、利益も上げており、さらに地方の自主財源にもなる。
こんないい事業はないのに廃止も視野だと。
もはや、事業仕分けは本来の主旨から外れただの政治的なパフォーマンスショーへと堕した。
事業仕分け第二弾で、苦しむのは天下り官僚ではなく国民だ。
国民は早くそれに気づいた方がいい。

ギャルママの夫婦別姓

2010-05-10 23:14:17 | 政治・経済
今週のTVタックルは夫婦別姓の問題を扱っていた。

いま、国会で議論がなされているのは正確には選択的夫婦別姓。
要は民法を改正して、夫婦で別姓にしたければ出来るようにするというもの。
一緒でもいいし、別々でもいい。
だから、頭に「選択的」が附く。

私は基本的に夫婦別姓には反対だ。
夫婦は同じ姓の方がいいと思うし、まして親子で姓が違うというのはかなりの違和感を覚える。
保守派が言う家族の絆がとか、家制度が云々という理由よりも感情的に嫌なのだ。
が、今回議論されているのはあくまでも選択性。
必ず別姓にせよというわけではないので、それならいいのではないかとも思っている。

多くは仕事をしている女性が姓が変わると仕事上で不便をきたすからという要望によるものと、自分の名前を変えたくないというアイデンティティの問題にまつわるもの。
これらの理由は理解できる。
が、一方で仕事上での不都合なら通名を使えばいいのではとも思う。
通名なんて難しいと感じるかも知れないが、在日韓国人なら普通にやっていることだ。

ところで、よく夫婦別姓の問題を論う際に例に出されるのがこの韓国(朝鮮)だ。
御存知のように、韓国では夫婦の姓が異なる。
これを、韓国は男女同権が進んでいる先進的な国だとして紹介するフェミニストその他がおられるが、その理解は全くの間違い。
というのも、韓国において、夫婦の姓が異なるのは女ごときが男と同じ姓を名乗るなどおこがましいという女性蔑視の思想による。

ついでに言うと、韓国には姓はあっても、氏はない。
姓は元来、家の上位である族単位のまとまりを示す概念であり家族単位の名を示す氏とは異なる。
要は日本人が名乗る苗字はあくまでもファミリーネームとしての姓(つまり氏)だが、韓国には今も昔も氏はなく一族単位の姓しかないのだ。

こういう事情を知らない大竹まことが「韓国が夫婦別姓なのは韓国には姓が少ないから、これ以上少なくならないように」ともっともらしいことを言う。
(たしかにそうかもと思える理屈で私も思わず納得していまいそうになった)
すると、三宅久之さんと田嶋陽子女史が声を揃えて「違う、あれは女性蔑視によるものだ」と反論。
ふだん、仲の悪い両人が声をそろえて同じ意見をいうので妙に可笑しかった。

さて、今週のTVタックルにはどういうわけかギャルママが三人ほどゲストとして迎えられていた。
見た目はどうみてもどこのキャバ嬢ですか?と問いたくなるような趣だが、意見が一々マトモでこれもなんだか可笑しかった。

曰く、「子ども手当てなんか要らない。それよりも日本の財政の方が心配」。
「夫婦別姓には違和感がある。旦那の家族・親戚と別姓になると、いろいろ問題があるし、他人のようで距離を感じる」と。
三宅さんも思わず「あなたたちの意見がことのほか健全で日本の未来に希望が持てる」とこぼしていた。

どうみても、辻本清美系のフェミニストに見える厚生省の木村盛世さんも
「かつて自分は夫婦別姓に拘っていたが、今考えると大した問題ではなかった。日本の伝統や文化が崩れている昨今、夫婦別姓を急ぐ必要がどこにあるのか」
とこれまた見かけに拠らない発言。

今週のTVタックルは夫婦別姓の問題より、「人を見かけで判断してはいけない」ということを学べた気がする。

戸別所得補償制度のゆがみ

2010-01-06 01:56:55 | 政治・経済
コメ農家再生へ「壮大な実験」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201001/2010010200060


どうやら、戸別所得補償(以下、適宜「戸別補償」と略記)の本質はコメ農家保護ということらしい。
それも、どちらかというと零細な兼業農家が有利になる。
というのも、戸別所得補償は減反に参加することによって得られる。
また、この補償は交付金及び、生産コストと販売価格の差額の補填からなる。
交付金は主食用米の作付面積から一律10aを控除し、残りの面積の10aあたり一万五千円。
考えようによってはこれまであった産地確立交付金がこれに代わったともいえる。
それプラス赤字を補填する仕組み。

兼業農家にとって家族労働費などのコストを計上すれば赤字になるのが普通。
戸別所得補償制度における赤字の補填はありがいたいわけだ。
言い換えれば、赤字の農家を保護するかたちになる。
戸別所得補償制度は社会主義だ、コルホーズだという批判があるのはこのためだ。

また、調整水田等の不作付地には交付しない方針だったが一転、調整水田等もOKになった。
おそらく、兼業農家の反撥を受けての方針転換だと思われる。
このあたり、農協の意向も反映されたのか。
一方、専業の大農家からは「結局、減反維持じゃないか・・・」との溜息が漏れる。
生産調整を前提とした戸別補償制度は農業の効率化を阻む結果となりそうだ。

さらにコメが優遇される一方でこれまであった野菜への交付金は削減される。
例えば、日本一のソバの産地で知られる北海道幌加内町では
「09年度まで、コメの生産調整(減反)で水田から転作した町内のソバ畑1010ヘクタールには10アール当たり約2万9000円の交付金が出ていた。交付金は市町村ごとに減反などの実績に応じて総額が決められ、使い方は自治体や農協で作る協議会に任されていたため、同町ではソバに重点配分していた。それが水田利活用事業では作物別に全国一律で戸別農家に配分される。ソバは同2万円で、飼料用・米粉用などのコメに出る8万円と大きな差がついた」(毎日新聞 2009年12月8日 東京朝刊)
そのため、ソバの産地となっているある地方では、飼料用米へ転作する動きもあるという。
地域の特産品を生産する農家にとっては大打撃だ。
こういう事例が増えると自給率はますます下がる。

だいたい、民主党は自給率100%を目指すと云っていた。
なのに、自給率100%超えのコメを保護してその他の作物を冷遇する政策ってなんだ。
EU方式を取り入れたというがこれもまったくの嘘。
戸別補償制度はEUのように好きなだけ作りなさいではなくて、作る量を調整しなさい、そうすれば補償してあげますという制度だ。
結局、票田となりうる専業農家を抱き込もうということか。
目論みは自民党農林族と大して変わらない。
民主党農政の歪みはここにある。

偽装献金の何が悪い

2009-12-31 01:35:06 | 政治・経済
鳩山首相の支持率が落ちている。
選挙前後あれほど鳩山に好意的だった一部マスコミも掌を返したように連日批判の側に回っている。
私がマスコミが転向した一因に国債の発行を過去最大にしたことを挙げたいが、実質的に叩かれているのは首相の偽装献金問題だ。

偽装献金問題の詳細はめんどいのでまとめサイト等に譲るが、この問題の本質は虚偽記載や献金の不正処理とりうより脱税のようだ。
母親から九億にのぼる資金提供を受けていたが、それなら、贈与税がかかる。
それを払っていなかったのだから一番の問題は脱税だ、というわけだ。

鳩山嫌いの右派はここぞとばかりに叩いている。
ほらみろ、だから鳩山はダメなんだと。
そして、鳩山好きだったマスコミも叩きに回った。
金にダーティーな政治家はダメだと。
マスコミが反鳩山をやり始めた途端、支持率が急落していまは47%くらい。
つくづく、世論はマスコミがつくるものだと実感させられて哀しい。

私はどんな悪い事をしても有能な政治家がいい政治家だと思っている。
だから、政治の記事を書いてきた中で金にまつわるスキャンダルで政治家を叩いたことは一度もないし、今回の偽装献金問題で鳩山首相を批判する気も毛頭ない。
むしろ、問いたいのは野党時代の自身の発言との整合性だ。

鳩山は野党時代に
「金庫番だった人の不祥事は(議員本人も)共同正犯だ。即議員辞職すべきだ」(平成十四年三月 記者団に対して)
「会計責任者の逮捕は議員本人の責任であり、改めて(鈴木議員の議員辞職を)強く求める」(平成十四年五月二日附 夕刊フジコラム)
「政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしばあれは秘書がやったこととうそぶいて、自らの責任を逃れようとしますが、とんでもないことです。秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです」(平成十五年七月二十三日 鳩山メールマガジン)
などと発言している。

先の記者会見でもそのことを記者から追及されていたが、歯切れは悪かった。
自分の発言が自分自身の首を締める好例だ。

民主党議員は鳩山擁護にまわり、自民党議員は鳩山を糾弾している。
このまえは、自民党が国会審議をボイコットしてそれを民主党が批判していた。
配役が入れ替わっただけで、やっていることは昔と同じ。
これを茶番と言わずしてなんといおう。
いま、野党の自民党議員もここで調子に乗って威勢のいいことを言わない方がいい。
きっと、自分自身に返ってくる。

繰り返すが、どんな悪い事をしても国家、国民の為に働く政治家がいい政治家に決まっている。
鳩山が献金を偽装していようが、脱税していようがどうでもいい。
鳩山を叩くなら政策のみを叩くべし。
そうしないと、また茶番を繰り返すことになる。

鳩山由紀夫と近衛文麿

2009-12-19 21:16:55 | 政治・経済
世界においてかくの如き幼稚愚昧な指導者が国家の重大時機に、国家を率いたることありや―
僕は毎日、こうした嘆声を洩らすのを常とする。
帝大の某教授曰く、「首相というのは中学生ぐらいの頭脳ですね。あれぐらいのものは中学生の中に沢山ありますよ」


実は上の文章、私のものではない。
清沢洌『闇黒日記』昭和十九年三月十日の段からの引用だ。
つまり、ここでの首相は東條英機を指す。(原文にあった「東條」を伏せて載せた)
東條英機はいまでこそ極悪人のように言われているが、当時はあれで結構人気があった。
国民も歓迎したし、マスコミも「我らが東條さん」と煽った。
六十年以上前の清沢の嘆きが今の鳩山首相にも符合するのが哀しい。

いや、鳩山由紀夫は中学生ぐらいの頭脳じゃない。
海外の一流大学を出ている秀才だ、と反論が聴こえてきそうだ。
だが、それなら東條英機だって陸大を首席で卒業した秀才だ。

つまり、勉強ができる人物が必ずしも有能な政治家になるとは限らないことを歴史が証明しているわけだが、では東條と鳩山が似ているかというとそうでもない。
東條は強権的な人物で自分に楯突く人間は憲兵その他を使って全て潰しにかかった。
反対意見を全部潰してでも自分の意見を通そうとする我の強さがあった。
幸か不幸か鳩山にはそういう強権性、よく言えばリーダシップがない。
その意味では、東條よりは近衛文麿の方に似ている。

近衛は鳩山とは比べものにならないエリート。
なにしろ近衛家は貴族の筆頭で皇室と最も違い家柄。
大学も京都帝国大を出た秀才になる。
それでいて、人当たりもよく、社会主義に傾倒していた。
このあたりも鳩山に似る。

鳩山由紀夫は資産報告漏れを指摘され「恵まれた家庭に育ったので・・・」と言い訳したが、近衛も同じ。
大学時代には大卒初任給五十円の時代に百五十円の仕送りを貰うというまさに「恵まれた家庭」に育った。
それで、近衛の首相就任当初のスローガンは社会正義と国際正義。
これも鳩山の云う友愛に似てないか。

指導力がないのもそっくり。
近衛は支那事変が起こっても軍部に押し切られて事態の収拾に失敗した。
打開の為にと大見得を切って「国民政府を対手にせず」声明まで出したがこれがまた大失敗。
いまなら、さしずめ小沢一郎が軍部か。
小沢の恫喝で民主党マニフェストにあった子供手当ては所得制限を、暫定税率廃止は見送りとなった。
ついでにいうと、小沢は天皇を自分たちの都合のいいように利用する姿勢も軍部と被る。

支那事変の拡大は米国との関係を悪化させ、挙げ句、日米開戦。
最後に笑ったのは中共の毛沢東とスターリンだったが、鳩山内閣の誕生を心から喜んでいるのは六十年前と同じく中国共産党なのかもしれない。


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余談だが、本表題とまったく同じタイトルの文章を大月隆寛が『正論』十一月号に書いていた。
が、彼特有の悪文のせいかいつものように何が言いたいのか良く解らなかった。

亀井、菅、鳩山、そして事業仕分け

2009-12-09 21:17:44 | 政治・経済
亀井大臣と菅副総理が喧嘩している。
元々、思想のまったく違う党同士がくっついている呉越同舟政権だからこのイザコザは当たりまえ。
よりによって亀井静香という名前と違ってちっとも静かじゃない人を入閣したのだから尚のこと。
閣内不一致で政権運営が迷走するというのは、細川政権の再演か。

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鳩山は国民の困窮を尻目にファッションショーやら歌舞伎やら。
若松孝二監督からも「なんかファッションショーかなんかでチャラチャラチャラチャラ。そんなところの騒ぎじゃないだろう、と思うけどね」と批判されていたよ。
左翼からも冷笑される鳩山になんの存在意義があろうか。

その鳩山がゴルバチョフに「(マスコミなどから)批判されている」と弱音を吐いた。
麻生太郎が首相だったときはやれ金持ちだ、やれ漢字を間違えた、ホテルのバーに行った、ほっけの煮つけを食べた、カップラーメンの値段を知らない・・・と政策とまったく関係のなことばかり批判された。

一方、鳩山は麻生以上の金持ちで個人献金を虚偽記載したり、母親から十一億貰っていたり。
政策も迷走していて叩く材料なら麻生の何倍もある。
なのに、マスコミさんは適当に報じるだけで本気で叩こうとしない。
それなのに「批判されている」だと。
あなたが麻生太郎なら精神を病んで入院か。

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事業仕分けが終わった。
この試みは自体はいい。
官僚の無駄遣いにメスを入れるまたとないチャンスだった。
仕分け人はさぞ気分が良かったろう。
仕分け人は正義の味方、官僚は悪党というわかりやすいエンターテイメント。
大衆はこういう単純な善悪の構図を作り上げると簡単に支持にまわる。

事業仕分けには人民裁判の如く当人と国民とを熱狂させる危険な香りが漂った。
それゆえか、勢い余って必要なものまで切ろうとした。
科学技術関連事業がそれだ。
蓮舫はスーパーコンピューターについて「世界一位を目指す理由は何ですか。二位じゃだめなんですか」とのたまい、科学技術についての無理解を露見した。
資源のない日本の財産は科学技術と文化だ。
それを削ってどうする。
理系のノーベル賞受賞者が名を連ね仕分け批判したのももっともだ。

ある女子高生の言葉。
「ダイエットしようとして脳みそから削ってる」
けだし至言。

農林振興関連事業も随分と削減された。
このことからも民主党が自民と同じく農林振興に本気でないことがわかる。