あび卯月☆ぶろぐ

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映画『風立ちぬ』感想

2013-07-31 22:25:20 | 映画・ドラマ
宮崎駿監督の最新作『風立ちぬ』を観た。
何度も泣きそうになった。ここまで感動するとは思わなかった。
個人的にジブリ作品で一番好きになったかもしれない。
期待していなかっただけに余計に。
宮崎駿はこんな純愛作品も作ることができたのか。
近年の駿はあまり評価していなかたのだけども、いやはや恐れ入りました。

この映画を見終えた直後、ツイッターで私はこうつぶやいた。
私の感想はこれに集約されている。
これ以上、ぐだぐだ述べれば、野暮になる。
が、野暮を承知で少しばかり書いてみたい。

×××××××

映画公開の一か月前から、零戦の設計者・堀越二郎の半生を描く内容ときいていた。
私はミリタリーにもヒコーキにもさして興味はないが、零戦には少しばかり思い入れがある。
その設計者・堀越二郎の半生―。ならば、見てみたい。そう思っていた。
ところがその後、試写会に参加した人が「駄作だ」「つまらなかった」などと酷評しているのを目にしていた。零戦がほとんど出てこないことも知った。
これは、あまり期待しては駄目だなと思った。

と同時に、宮崎駿自身が「初めて自分の映画を観て泣いた」と言っていたことも知っていたので、その理由を知りたいとも思っていた。

果たして、私も泣いたのだった。(正確には泣きそうになっただが、周囲に人が居なかったら泣いていたので、泣いたことにしておいてください)

なぜ私は感動したのだろうか。
端的にいうと、美しかったからだ。
美しいのは作中に描かれた自然や風景、その中を飛び回る飛行機。そして、主人公・二郎と菜穂子の愛だ。

いま、「愛」などと書いていささか恥づかしく思っている。
もともと、恋愛モノの映画はあまり好きではない。ラブストーリーと銘打った映画はそれだけで観る気を無くす。
特に村上春樹的な恋愛観を全面に押し出されようものなら、毒の一つでも口から出てしまうのだが、この作品は違った。
ほんものの純愛ストーリーだった。
宮崎駿が恐らく初めて素直に作った純愛物語ではないか。

作品を観て思ったことは、宮崎駿は本当に作りたいものを作ったのだなということだ。
美しい自然と飛行機。どちらも駿が大好きなものだ。
そして純愛。
純愛なんて、恥づかしくてとても口に出せないし、自分の作品に全面に押し出すことも恥づかしい。
・・・と私なんかは思う。多分、駿自身もそう思っていたのではないか。
でも、七十二歳にして駿はふっきれた。
もう、残りの人生は長くない。ならば、本当に自分の描きたいものを描こう。
子供向けとかエンターテイメントは二の次にした。
周囲がなんといおうと、作りたいものを作った。そう、堀越二郎のように。

そして傑作『風立ちぬ』は出来た。

×××××××

主人公の堀越二郎をみて確信したことが一つある。
これは宮崎駿自身だということだ。
宮崎駿は堀越二郎に自分の姿を重ね映している。

寡黙で不器用で真面目で職人肌で藝術家で、周囲がなんと言おうと美しいものを追求する天才―。
これまったく宮崎駿じゃないか。

二郎が菜穂子と初めて会ったのが菜穂子が13歳くらいのとき。
のちに二郎は菜穂子「初めて会った時から好きでした」というが、それってロリコンじゃあ・・・?
こういうところも駿とそっくりだ。

と、これは半分冗談にしても、後に述べるように何かを犠牲にしても自分の作りたいものを追求する姿や矛盾を抱えながら生きていく姿など、二郎と宮崎駿はやはり似ている。

そう考えると、二郎の声優を庵野秀明がつとめたのも少し理解できるような気がする。
自分と同じ職業で、自分と一番似ている(つまり、二郎とも似ている)のは誰かと駿自身が考えたときに庵野秀明はしっくりきたのだろう。
実際はジブリの鈴木プロデューサーが提案したらしいが、それを呑んだ理由はこういうところにあるのではないか。
(なお、宮崎駿と庵野秀明は似ていないと私は思う)

それにしても、庵野の演技は下手ですね。
映画館で二郎の第一声を聴いたとき、思わず吹き出しそうになった。
一瞬、誰が発した声かわからなかった。天の声かと思った。
映画館でなければ、散々悪口を云ったところだ。

ところが、私の贔屓目なのかもしれないが(別に庵野を贔屓しているわけでもないが)、だんだんとしっくりくるような気もしてくるのだ。
朴訥で不器用な感じの話し方が案外、堀越二郎に近いのかも?と思えてくる。不思議だ。

そういうわけで、庵野秀明を主人公の声優に起用したことについて、皆失敗だと言っているが、私は敢えて成功だと言いたい。
・・・いや、やはり「必ずしも失敗とは云えない」くらいにしておくか(笑)

×××××××

この作品は大正時代から昭和十年代までを舞台にしている。
大正時代の農村の風景、都市の風景をみていて、私の祖父母ですら、その風景を観たことがないはずなのに、限りなく懐かしく思えるのはなぜだろう。
一日でもいいから、この時代にタイムスリップしてみたいと強く思った。

テレビもエアコンもパソコンもない。電話や車も普及していない。
現代を生きる我々にとって不便なことこの上ないはずなのに、魅力的に映る。

しかも、菜穂子を襲ったような結核が不治の病だった時代である。
その他、数多くの病があり、戦争もあり、劣悪な生活環境があり、生まれた子供が二十歳になるまでに半分くらいが死んでいた時代である。
様々な不幸が多くあった時代なのに、魅力的に映る。

単に私が懐古趣味なだけだろか。

少なくとも、大正時代のまだ近代化途中の日本の風景が駿も好きなのだろうなと思った。
日本の原風景を描かせて宮崎駿の右に出る者はいない。

そういえば、この作品、やたらと煙草を呑む(無粋な云い方でいうと喫煙)シーンが出てくる。
二郎も同僚の本庄も軽井沢で出会ったスカルトプもやたらと煙草を呑む。
禁煙ファッショが吹き荒れる現代社会への当てつけとも思えるほどに。
いや、きっと当てつけなんだろうけど。

×××××××

二郎について「薄情者だ」という感想を目にした。

『風立ちぬ』を見て驚いたこと
http://blog.goo.ne.jp/sombrero-records/e/fc082b472586d1994a96b6b975fdcece

詳細は上記URLに譲る。
この視点は実に面白いと思うが、私に言わせると誤解であると言わざるを得ない。
まづ、確認しておきたいのが二郎は寡黙な藝術家だ。
こんな人間が愛情表現が得意なはずがない。
いや、藝術家に限らない。明治生まれの日本男児はそもそも愛情表現が下手なのだ。
(私が明治の魂魄を持って生まれた男だからよくわかる)
それでいて、藝術家。ついでに言うと最近はやりの言葉で云う理系男子だ。
愛情表現が得意だと思わせる要素が皆無に近い。
そう考えると、むしろ、菜穂子の父親の前で「付き合うことを認めてください」と云ったり、黒川家で「いまから結婚します」と云ったりと、かなり大胆な行動とストレートな物言いをしている。
普通でないという意味で、やはり、恋愛は下手なのかもしれないが。

でも繰り返し云うが、二郎は決して薄情な男ではない。
それは、菜穂子が喀血したという報せを聞くや、涙を流しながらそのまま夜行列車に飛び乗り、名古屋から東京へ駆けつけるという行動からも見てとれる。
名古屋から東京へ移動中、二郎は涙を流しながら設計図を作成している。
これだけでも万感迫るものがある。

少年時代のエピソードでもいじめられていた下級生を助けに入って、いじめていた上級生を背負い投げしている。
なかなかできることじゃない。
関東大震災の時も汽車の中で足首の骨を折った菜穂子の侍女を背負って安全な所まで批難させた。
一体どこが薄情者なのだろう。

二郎が薄情男に映るなら、それは、百言尽くして愛を表現しないと愛されているという実感を持つことができない現代人の病理がそうさせているのだ。
少なくとも私は巧言令色で愛情表現の上手い男よりも、朴訥で愛情表現の下手な男の方が好きだ。
でも、そういう男は薄情者だと言われる。
とかく現代は生きにくい。

×××××××

もう一つ、二郎は残酷な男だという意見に対しても、一言述べたい。
二郎が残酷だというのは、美しさにしか興味が無く、そのほかのことを犠牲にしている。また、自分の作った戦闘機が戦争の道具として使われるものだという意識が無い、というような理由による。

この意見については、実は半分そのとおりだと思っている。

美しさを追求することは本質的に犠牲がいるものだ。

二郎は戦争を望んでいなかっただろう。いわんや人を殺すことなど・・・。
しかし、美しい飛行機を作りたかった。
天才や藝術家はしばしばこういう矛盾を抱えて生きていくものなのだ。

それは、宮崎駿にも云える。
彼は反戦平和主義者でありながらミリタリーオタクで戦闘機や戦車が大好きだ。
ジブリのプロデューサーの鈴木敏夫も同様の指摘をしている。
また、自然の大切さを訴えながらも、自分はアニメを作っている。
「原発の問題を言われても、映画なんて電力そのもの。電力会社の宣伝によると電気の四分の一が原発だそうだし、アニメのセル画なんて石油の固まりだし」と、宮崎駿自身が述べている。
宮崎監督自身も矛盾を抱えて生きているのだ。
そして、宮崎駿はこうも云っている。

「確かに僕は矛盾に満ちているかもしれない。でも仕方がない。矛盾のない人間はたぶんつまらない人だ」と。

×××××××

最後に国語のお勉強。

本作のタイトル『風立ちぬ』はどういう意味だろう?
小学生や中学生に訊くと「ぬ」を打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」と勘違いして、「風が立たない」という意味だと答えるかもしれない。(大人でも勘違いする人は多いように思う)

正解を先に書くと、「風立ちぬ」の「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終止形なので、直訳すれば「風が立った」「風が立ってしまう」「風が立ってしまった」というような意味になる。
(「風が吹き出した」等にすれば綺麗な訳になりますね)

「ぬ」を打消の助動詞か完了の助動詞かを見分けるには未然形についているか、連体形についているかで判別できる。

つまり、打消しの助動詞は未然形につくので、「風が立たない」という意味にするならば、タ行四段活用動詞「立つ」の未然形が「立た」なので、「風立たぬ」となる。
一方、「立つ」の連体形は「立ち」なので、それにつく「ぬ」は完了の助動詞となる。

本作では、「風立ちぬ」というセリフは出てこない。

その代わりに、カプローニが云う。
「日本の少年よ!まだ風は吹いているか?」
「吹いています!」
「なら生きねばならん!」

風立ちぬ、生きねば!

なんと感動的な言葉だろう。
我々は、野に風が吹き続ける限り生きなければならない。

颯爽と駆け抜ける清々しい風。
この作品はそういう作品だ。

『池上彰の参院選ライブ』における発言録まとめ(前半)

2013-07-25 23:03:11 | 政治・経済
平成25年7月21日、第23回参議院議員通常選挙の投票が行われた。
その夜にテレビ東京系で放送された選挙特番『池上彰の参院選ライブ』における池上彰さんと政治家とのやりとりや発言録をまとめてみた。

原則として、録画した番組から書き起こしたもので、発言の修正は主旨やニュアンスが変わらない範囲で最小限に留めている。
カギ括弧以外の文章は私の個人的な感想や解説。
また、文字を大きくしている箇所も私が個人的に重要だ(または面白い)と思ったところ。


■民主党本部からの中継にて

繁田美貴アナ
「この会場に入ったとき、違和感を感じた場所があります。それが壁なんです。民主党と大きく書かれた壁の右側に不自然にスペースが空いているんです。実は、去年の衆院選、大敗という結果を受け、急遽、花付けを取りやめました。今回は、名前のボードすらありません。ただ、その代わりに、そのクリーム色の壁のスペースに当確した候補の名前を貼っていく予定ということなんです」

池上彰「そもそも最初から花付けを放棄している、諦めている、ということですね。

繁田アナ「そうかもしれないですね」

(中継終わり)

池上彰「繁田アナウンサーの中継、つい声をひそめて、小さくなっているという感じですね」

峰竜太「大きな声出せないですもんねぇ。あそこでねぇ・・・」


一応、解説しておくと中継後の池上さんと峰竜太のやりとりは、民主党本部の雰囲気がお通夜のようになっていたので、思わず声をひそめてレポートせざるをえない状況を指摘したもの。



■川村建夫(自民党・選対委員長)とのやりとり

池上「(幹事長の)石破さんは全国を回っていて、川村さんが自民党本部にどっしり居て、安倍さんと川村さんのラインで選挙を動かしていたようにも見えるのですけど」

川村「決してそういうことはなくてですね、勿論、総裁の指示もございましたが、幹事長との連携・・・やはり、選挙の責任者は幹事長ですから、幹事長を中心に計画等を立てさせていただいて。ただ、幹事長は第一線で、ハードな超人的なスケジュールをこなしていましたから、顔を見ていただいたらわかるように真黒ですから。」

池上「そうですね。ということは、一番の責任者は幹事長ということは、つまり、今回の勝利の殊勲は川村さんなんですか?石破さんなんですか?」

川村「いやいや(笑) いまは手柄争いをしているときではありませんので、結果を見るまでは言えませんが、総力戦ですから、勝ったとしたらそういうことでなければならんと思います。」

(中継終わる)

池上「石破さんが一番の責任者ですからと仰っていたので、石破さんが一番の殊勲者ですと云うかと思ったら、いやいや総力戦ですと言って。自分も大きく力を入れているんだぞということを、さりげなくアピールしていたなと。」

峰「きついなぁ(笑)」

中継が終わっての池上さんの発言が毎回酷い(笑)



■アントニオ猪木(維新の会・比例)との中継

池上「一度、国会から引退されましたよね?今回、また再び挑戦されることになった。それはどうしてでしょうか?」

アントニオ猪木「まさか自分が出るとは思っていませんでした。急遽、今回は維新の会の風が止まったということでですね、まぁ、ひとつせっかく風を起こした・・・私が出てもう一回新しい風をということで。それだけなんです。」

池上「つまり、維新の会としては猪木さんの人気頼みということですね?

猪木「まぁ、人気だのみというか、まぁね・・・人が困っているときに何かをすぐ手助けしたいというタチなものですからね。選挙に出る前から空港でも何処でも人が集まる、皆さんが握手をしてくれる。今回の選挙は特に私から入ってきますからね。大変な渦が行く先々でありました。

池上「猪木さんは前に選挙に出たときは「消費税に延髄斬り」と言って、消費税反対を大きくアピールしてらっしゃいましたよね?しかし、維新の会は消費税を容認しています。猪木さんの考え方が変わったのでしょうか?」

猪木「まだ、維新と政策は大体はアレしたのですけどね・・・本当に打合せをしたことはないんですね。

池上「え?打合せをしたことがない?」

猪木「とにかく、選挙に風を吹かせろというだけで。まぁ、単純なんです。」

池上「ということは維新の会の選挙公約はお読みになりましたー?

猪木「読みました」

池上「読みましたか。あの中で例えば、統治機構を変える、道州制を導入することになっていますよね?それについては?」

猪木「それは私も前からいっていますので、将来はいいんじゃないかと思います」

池上「しかし、政策はまだきちっと固まって決まっていないというわけですね」

猪木「まぁ、だいたいは容認できますのでね。あのー・・・とにかく、いま石原代表、それから橋下代表も含めて、とにかく元気が売り物だったので、あまり私は「お願いします」とほとんど云ってないんですね。とにかく選挙に行こうよ!!と」

池上「随分、アバウトな感じがするんですけどねぇ。

猪木「色々な人がいますから、政治はもっともっと違うぜという人もいるかもしれないけど、まづは皆さんに耳を傾けてもらうと、足を止めてもらうと。そして、その中で訴えた政策をどう判断するか。そんな役を自分が買って出たということです」

(中継終わって)

池上「アントニオ猪木さんの立ち位置が良くわかるやりとりでした。

峰「思わず笑ってしまいましたが。すみません(笑)」


日本維新の会という政党の性格もよくわかるやりとりでありました。



■渡辺美樹の発言

インタビュアー「いわゆるブラック企業批判というものがあると思うのですが?」

渡辺美樹「正直申し上げてなんとも思っていない。正直な私の意見で。何をもってブラックというのか。たまたま一つの事故を取り上げてブラックだと責めるならば、日本中には千万のブラック企業があるわけです」

渡辺美樹がどういう人物が実によくわかる。ここでは敢えて何も言うまい。

渡辺美樹選挙事務所からの中継に対して―
池上「いま、苦戦と言う話がありました。いわゆるブラック企業批判がひびいているんでしょうかね?」



■古川俊治(自民・埼玉)

池上「創価学会が嫌いと明言されています。これで、かなり自民党の中でも波紋を広げたのではないですか?」

古川「まぁ、あのー、実は私は信濃町の病院に長く勤めていたので特殊な事情があるんですね。学生時代からずっと信濃町におりましたので、創価学会の建物が多くある中で、小さな病院にいて、少し肩身の狭い思いをしてきたかなぁと。そういう気がもともとあった・・・そういう特殊事情がああいう発言に結び付いたと思っています。ちょっと、不適切な発言だったかもしれません。」

池上「なるほど。それにしても、医師免許をとって弁護士資格もとり、さらにオックスフォード大学でMBAをとり、そして国会議員。本当にやりたいのはどれなんですか?

(略)

池上「なんか、客観的に見てますと、自分探しをしているようにも思うんですが、どうですか?」

古川「いや、私はいろんな方法で、もともとは医者でございますし、えー、生涯・・・え、が、他の医者が、まぁあの、やり、やりたい。まぁそれを出来れば、その皆の総意でそれを実現していくものだと思っていますけど」

自分探しをしているように見えると言われ、言葉が一部不明瞭になる古河議員が印象的だった。



■林芳正(自民・山口)

池上「当選確実ですが、おめでとうございます。」

林「はい、どうもありがとうございます。」

池上「おめでとうございますと私申し上げたのですが、林さん自身は参議院ではなくて衆議院に鞍替えして出たかったんですよね。めでたさも中くらいなりというところでしょうか?

林「いえ、これだけの山口県の皆さまからの温かい、そして熱いこれだけの御支援をいただきましたので、本当にうれしく思っています。」

まぁ、そう答えるしかないよね(笑)



■石破茂(自民・幹事長)

池上「自民党圧勝ということです。これで安倍石破体制は今後も盤石ということでいいんでしょうか?」

石破「それは、総理総裁が御判断になることで私がとやかく言うことではない。総理の姿勢や政策が国民から支持されたということが、きちんと成果となって数字となって表れてるということです。

池上「いやいや、おそらく安倍さんがお決めになることですと仰るだろうと思っていたら、案の定のお答えでした。はい。」

案の定のお答え(笑)



■井上義久(公明・幹事長)

池上「選挙中、公明党は自民党にブレーキをかけるんだという言い方をしきりにされていましたね。自民党のどんなところにブレーキをかけるのでしょうか?」

井上「私どもはですね、やはり政治が国民から信頼されるためには、国民目線の政治、また生活者目線の政治。また平和ということも国民が期待されている思いますから、そういう期待にしっかりこたえるということが具体的なブレーキになるかと思います。」

池上「ブレーキということは自民党が暴走しようっていうニュアンスが感じられますが、そうなんですか?」

井上「いや、決してそう思っているわけではなくて、連立政権ですから自民党には自民党の持ち味、公明党は公明党の持ち味がありますから、私どもとしては、そういう国民目線生活者目線を重視して、云うべきことはきちっと云うという風に考えています。」

池上「なるほどね。やはり連立を組んでいる自民党に非常に配慮した発言ということになります。自民党に配慮しながら、しかし、国民にはブレーキをかけるんだよと訴えていったということになるわけですね。」

井上「はい」


池上さんのかなり嫌味な云い方に、「はい」としか答えることができなかった井上幹事長がなんだか可愛くて良かった(笑)



■渡辺喜美(みんな・代表)

池上「維新の会だけには負けたくない選挙だったんじゃないですか?」

渡辺「(笑顔で)そんなことはありません」

池上「そんなことはないといいますと?」

渡辺「みんなの党は何をやるかを大事にした政党でありますから、何をやるかということは、誰と組むか、誰がやるかの前に考えていかなきゃならないことですね。ですから、誰がやるか、誰と組むかと、こういうのは古い政治モデルですよ。我々は新しい政治モデルを確立しようと思ってみんなの党を作ったわけですからね」

池上「いやいや、誰と組むかというのは古い政治だと仰いましたが、しかし、一時は維新の会との連携・提携を進めてらっしゃいましたよね?

渡辺「そうですね。例えば、地域集権型道州制とかね、公務員制度改革とか、我々が結党以来掲げてきた政策を維新八策の中でも掲げておられましたのでね、そういう点では協力出来ると思った時期もございました」

池上「現在のみんなの党の獲得の予測の数ですが、どうですか?正直言って、ちょっと物足りなくないですか?

渡辺「(略)まだ最終的な結論が出たわけではありませんので、まだあきらめてはおりません」



■山本一太(自民・群馬)

池上「色々な担当大臣、なんと7つの担当大臣。ちょっとこれ例がないですよね?」

山本「実際は10くらいあるのですが、担当の中でも特に科学技術とか宇宙とか海洋とかITは成長戦略に凄く結び付いている分野なので、大変、責任重大だと思っています」

池上「いま、4つ名前を挙げられました。7つ全部言えますか?お願いできますか?」

山本「その他に、沖縄振興、北方領土対策、領土問題、知財戦略。あと2つくらいあるんですけども、主に云うとそんな感じです」

池上「んんん???あと2つくらいがちょっと省略されてしまいましたけども」

山本「はい」

池上「これだけのことを一人でというのも、とても無理なんじゃないですか?」

山本「そこは、内閣府特命担当大臣というのは御存知かと思いますけども、各省の色んな縦割りを超えて総合戦略を作るという役目ですから、総理のバックアップをいただいてですね、国家戦略を作って進めるという点でいうと、安倍総理にしっかり後押ししていただければ、きちっりとした仕事が出来ると思っています」

池上「なるほど。安倍総理の後押しがあれば出来るということですね

山本「はい。実際にずっと後押ししていただいております」


このやりとり少し解説を要す。
ネット上では専ら「山本一太は自分の担当している7つ大臣名を答えられなかった」と理解されているからだ。
やりとりを御覧になると分かるようにこの理解は少し間違っている。
まづ、スタジオ内のボードには「科学技術政策担当、沖縄政策担当、北方領土対策担当、宇宙政策担当、IT政策担当、海洋政策担当、領土問題担当」の7つが明記されていた。
つまり、池上さんが問いたかった担当大臣はこの7つだが、山本一太は「科学技術とか宇宙とか海洋とかIT」と初めに4つ答えている。
そのあと、池上さんが7つ全部言えますか?と質問し、山本一太は加えて「沖縄振興、北方領土対策、領土問題、知財戦略」の4つを答えた。
この時点でボードに掲げられた7つはすべて答えており、ボードになかった「知財戦略」も答え、合計で8つ答えている。
ただし、山本一太は「実際は10くらいある」と言ってしまったので、8つ答えた時点で「あと2つくらいある」と言った。

まとめると、山本一太は最初に4つ答えて、加えて4つ答えたので、8つは答えることができ、そのうち、スタジオのボードで明記されていた7つはすべて答えた。
ただし、自分で10くらいあるといって、その残りの2つが答えられなかったが正しい。

10あるとか、あと2つくらいあるとか余計なことを言わなければ、7つの担当大臣を答えられなかったと勘違いされずに済んだのに、これが本当の蛇足というものだろう。
しかし、10ある内の2つを答えられなかったのもまた事実。
残りの2つは一体何でしょう?



■池上彰と行く参院選バスツアー

毎回恒例のこのコーナー。
今回は池上さんが女子アナ三人(繁田美貴、相内優香、鷲見玲奈)と各政党の本部を訪れるというもの。

まづは、自民党本部へ。

7階を訪れると「自民トゥルースチーム」という看板があった。
これは、インターネットに流れる様々な情報をチェックして反論しなければならないことに対しては、ただちに反論するチーム。
自民党本部では職員30人が24時間体制で誹謗中傷などを監視している。
正面の大きなモニターにはツイッターのタイムラインが映しだされていた。

さらっと、解説していたが、自民党本部職員がツイッターを監視しているとは知らなかった。
ツイッターでちょくちょく自民党の悪口を云っている私もマークされているかもしれない(笑)
(こんな小物相手にする程、自民党も暇ではないだろうが)


次に民主党本部を訪れ、政権与党だった時と比べ、警備が減ったことを指摘する池上さん。
私も何度かここを通ったことがあるが、たしかに、民主党政権時の警備は厳重だった。

東京選挙区のポスター掲示場では、民主党の鈴木寛のポスターを見て、「民主党」との表記が小さいことを指摘。
その文字を相内アナが虫眼鏡で大きくして「やっと大きくなりました」と言って、軽い民主党いじめをやった後に「なんで、これはこんなに小さいんですか?」と池上さんに質問。
池上さんは「民主党隠しですね」と一言。神隠しじゃないんだから。

池上「民主党ってだけでマイナスのイメージがあると考えている人はこうやって小さくなるわけです


お次は、公明党の本部がある信濃町へ。

池上「もともと信濃町に創価学会があって、創価学会が政治に進出しようとして公明政治連盟というのを作り、それがやがて公明党になっていったわけですね。なので、創価学会の本部がある信濃町の近くに公明党(本部)があるというわけです」

わかりやすい解説ですね。
公明党の本部の入り口には金属探知機が。
「これは先程の自民党本部にはなかったですね」と少し驚く女子アナ三名でありました。


バスは共産党本部がある代々木へ。

共産本部ビルを見て―
池上「見てください。ほら、赤く日本共産党と書いて、赤旗が翻っているでしょ?

共産党の収入は約234億円(2011年)。
共産党は国から貰う政党交付金を一切受け取っていない。
機関紙誌収入(しんぶん赤旗購読料など)が約199億円、とナレーションが解説。

共産党の選挙対策本部は「参議院選挙闘争本部」という名称になっている。

池上「選挙というのは闘いであると。闘いを勝ち取ろうというわけですよ。」
女子アナ三人「へぇー。」
やり取りがだんたんと教育テレビ(ETV)っぽくなってきた(笑)

続いて、一行はしんぶん赤旗編集局へ。

池上「一般の大手の新聞とそっくりですね。それがちょっとコンパクトになった感じですね。」

赤旗をめくる一行
見出しをみて「「共産党だけは一貫しているよ」を大々的に(笑)」とちょっと笑う相内アナ。

池上「でもほら、普通の新聞と同じような事件や事故の記事もでてます」

編集局長に話を伺う。
小木曽陽司(しんぶん赤旗編集局長)「全国紙はほとんど広告料で、(収入の)半分くらいは広告料ですが、私どもの新聞は購読料。読者の。それで賄っています」

頷く女子アナたちに、「そりゃあ大企業の広告ははいりませんよ」と池上さん。

小木曽「それは、入りません」

なにやら愉快なやりとりだった。


―後半に続く!―

愛国心のすゝめ

2013-07-20 02:27:10 | 政治・経済
愛国という言葉を遣うだけでこの国の民は過剰に反応する。
国を愛することがそんなに悪いことだろうか。また、特異なことだろうか。

しかし、愛国という言葉に過剰反応する人の気持ちも実はわからなくもない。
というのも、かつて、このブログでも指摘したが、どの国の愛国心にも根本には同質の要素を持っていて、 それは、多民族に対する嫉妬、憎悪、恨み、不信などで本来、愛国心とは実に排他的なものだということだ。
そして、それはしばしばそれは強力な国家を維持してゆく為の装置として使われる。
しかも、グローバルの視点ではこれを否定的に捉えてはならず、他国への憎悪が国家サバイバルのエネルギー源となりうる以上、この“排他的な愛国心”は持っていた方が良いのである。
私が反グローバリズムを掲げる理由がこのことからもお分かりいただけようか。

しかし、近代以前に日本人がもっていた愛国心はそうではなかった。
いや、近代以前には国家の概念がなかった以上、愛郷心と言った方が適切かもしれないが、ここでは、敢えて愛国心で通したい。

日本人の愛国心は

 
大和には 群山(むらやま)あれど
とりよろふ 天の香具山
登り立ち 国見をすれば
国原は 煙立ちたつ
海原は 鴎立ちたつ
うまし国ぞ あきつしま 大和の国は



と 『萬葉集』で舒明天皇がうたったように、情緒的で他国との比較もなく、排他的でもなく、せいぜい「わたしの国はいい国です」と表明するに過ぎなかった。

ところが、明治以降、日本は近代化の道を歩み、欧米並みの排他的な愛国心が必要となった。
だが、日本人は欧米並みの愛国心を持ちえたのだろうか。
私は今を以ても、日本人は欧米並みの愛国心を持っていないと思う。
大東亜戦中に過剰に愛国心が鼓舞されたが、これは、本来、排他的な愛国心を持ち得なかった日本人が無理やり愛国心を呑みこんで消化不良を起こした結果ではなかったか。
戦後、この消化不良による過剰な胃もたれに懲りて、愛国心自体を否定してしまった。
しかし、もっとよく咀嚼すればよかったのだ。近代化を急ぎ過ぎてあまりにも時間が足りなかったのだろうが。

戦後六十八年がたった。いま一度、愛国心をゆっくり咀嚼する時がきた。
では、いま日本人に必要な愛国心とはなんだろうか。
情緒だけでもなく、排他的でもない。しかし、情緒に根差した我が国の郷土、自然、文化、伝統、それによってはぐくまれた国柄や精神を含めた国を愛する心である。
いうまでもなく、ここでの「国」とは、政府や統治機構、いわんや政権与党のことではない。

悪く言えば、ドメスティックな愛国心であるが、それすらも持ち得ていないことが我が国の不幸であるに違いない。

すでにお気づきのように、このドメスティックな愛国心は右翼の専売特許ではない。
この愛国心は左右の別なく持ち得るもので、誤解を恐れずに書けば、よく反日勢力呼ばわりされる左翼や共産党や反原発派の人にも愛国者は大勢いると思う。(と同時に、これらの党派性をもった人々に反日的な人が多いことも否定しないが)
反対に普段、愛国者を気取っている者が実は一番、我が国の郷土と自然と文化と伝統と国柄と精神とを破壊していることが往々にしてある。
このように愛国者面をして平気で国を売るようなことをする人物もまたこの国は多い。
愛国という言葉が否定的に捉えられる要因の一つだ。

そういう事情もあってか、我が国では愛国心は否定的に捉えられがちだが、ドメスティックな愛国心と民主主義とは矛盾しない。
むしろ、民主主義が健全に運営されるには愛国心が必要であって、我が国の民主主義が健全に機能していないとするならば、国民の愛国心が稀薄であることと無関係でないのではないか。
自分の住んでいる国を愛することができなくて、どうして政治が民主主義がうまくいくだろう。

参議院選挙を明日に控えた。
目下のところ、真に愛国的な政党は皆無と言わざるを得ない。
どうせ、グローバル化と市場主義、新自由主義が善と考えるとりわけ愛国心の無いあの党が圧勝する。
嘆きたくなるが、その後からでも遅くない。まづは国民が愛国者となることだ。
そうすれば、日本の民主主義も少しはマシになる。