あび卯月☆ぶろぐ

あび卯月のブログです。政治ネタ多し。
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偽装献金の何が悪い

2009-12-31 01:35:06 | 政治・経済
鳩山首相の支持率が落ちている。
選挙前後あれほど鳩山に好意的だった一部マスコミも掌を返したように連日批判の側に回っている。
私がマスコミが転向した一因に国債の発行を過去最大にしたことを挙げたいが、実質的に叩かれているのは首相の偽装献金問題だ。

偽装献金問題の詳細はめんどいのでまとめサイト等に譲るが、この問題の本質は虚偽記載や献金の不正処理とりうより脱税のようだ。
母親から九億にのぼる資金提供を受けていたが、それなら、贈与税がかかる。
それを払っていなかったのだから一番の問題は脱税だ、というわけだ。

鳩山嫌いの右派はここぞとばかりに叩いている。
ほらみろ、だから鳩山はダメなんだと。
そして、鳩山好きだったマスコミも叩きに回った。
金にダーティーな政治家はダメだと。
マスコミが反鳩山をやり始めた途端、支持率が急落していまは47%くらい。
つくづく、世論はマスコミがつくるものだと実感させられて哀しい。

私はどんな悪い事をしても有能な政治家がいい政治家だと思っている。
だから、政治の記事を書いてきた中で金にまつわるスキャンダルで政治家を叩いたことは一度もないし、今回の偽装献金問題で鳩山首相を批判する気も毛頭ない。
むしろ、問いたいのは野党時代の自身の発言との整合性だ。

鳩山は野党時代に
「金庫番だった人の不祥事は(議員本人も)共同正犯だ。即議員辞職すべきだ」(平成十四年三月 記者団に対して)
「会計責任者の逮捕は議員本人の責任であり、改めて(鈴木議員の議員辞職を)強く求める」(平成十四年五月二日附 夕刊フジコラム)
「政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしばあれは秘書がやったこととうそぶいて、自らの責任を逃れようとしますが、とんでもないことです。秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです」(平成十五年七月二十三日 鳩山メールマガジン)
などと発言している。

先の記者会見でもそのことを記者から追及されていたが、歯切れは悪かった。
自分の発言が自分自身の首を締める好例だ。

民主党議員は鳩山擁護にまわり、自民党議員は鳩山を糾弾している。
このまえは、自民党が国会審議をボイコットしてそれを民主党が批判していた。
配役が入れ替わっただけで、やっていることは昔と同じ。
これを茶番と言わずしてなんといおう。
いま、野党の自民党議員もここで調子に乗って威勢のいいことを言わない方がいい。
きっと、自分自身に返ってくる。

繰り返すが、どんな悪い事をしても国家、国民の為に働く政治家がいい政治家に決まっている。
鳩山が献金を偽装していようが、脱税していようがどうでもいい。
鳩山を叩くなら政策のみを叩くべし。
そうしないと、また茶番を繰り返すことになる。

阿久根市長の恥

2009-12-29 22:22:31 | 歴史・人物
歴史にまつわるトンデモ説は多々ある。
例えば、日本とユダヤ人はもともと同じ民族だとする日ユ同祖論とか、キリストの墓は日本にあるとか、源義経は生き延びてチンギスハンになったとか。
これらは聞くからにトンデモとわかるから害は少ないが、近代のものになるとあの戦争はフリーメーソンが裏で操っていたとか、コミュンテルンが・・・とか、いかにもそれらしいものがあるから困る。
その一つが明治天皇は即位前に暗殺され、大室寅之祐という人物にすり返られたというものだ。

これを信じてしまった一人が阿久根市長の竹原信一だ。
竹原市長がはじめて世間を騒がせたのは市職員人件費を書いた張り紙を剥がした職員を解雇したときだったか。
このときは、賛否両論が渦巻いた。
公務員や自治労の風当たりが強くなる中で、特に反公務員の立場からは市長を支持する声が多く聞かれた。
私も、いくら市長の方針に反対だからと言って、張り紙を剥がすという行動に出るのはおかしい、解雇は厳しすぎるが、相当の処分があってしかるべきだと思い、市長の行動に一定の理解はしていた。

次の騒ぎがブログで
「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果、養護施設に行く子供が増えてしまった」
と発言したとき。
これは多くの人が批判に回ったが、新自由主義者は手を叩いた。
このあたりで、私はこの人の考えに首を捻り始める。

そして、最新の話題が同じくブログに「天皇家はどこの馬の骨とも分からない家系」と記していたことだ。
こちらは少し以前の記述で、現在は右翼の攻撃を恐れてか削除されている。
記載は市議時代の2007年6月7日付で明治天皇は伊藤博文が手下とすり替えたとし、
「今の天皇家はまさしくどこの馬の骨とも分からない家系。昭和天皇が終戦時に国民を配慮した気配は全くない。ひたすら私財の保全にだけ心血を注いだ」
とある。

ここに来てやっと、この市長がどんな人物なのか理解できた。
モノゴトを深く考えずに感覚で行動してしまう人なのだと。
だから、トンデモ説も簡単に信じてしまう。
この人に『ムー』でも渡したら明日から「アメリカは宇宙人と取り引きしている」とか言い出すんじゃないか。

だいたい、明治天皇=大室寅之祐説を信じるなら、大室が南朝の末裔であるということも一緒に信じて欲しかった。
それなら、どこの馬の骨とも知れないとはいえない。
この人、トンデモ説を信じるにしても信じ方が中途半端だ。
それにしても気になるのはむしろ「昭和天皇が終戦時に国民を配慮した気配は全くない」という方。
全くないとは随分ないいぶりだ。
昭和天皇が終戦時にどれほど苦悩されたか、国民のことを考えておられたか当時の史料をあたればいくらでもわかる。

ここではその中の一つを掲載しよう。


私は世界の現状と国内の事情とを十分検討した結果、これ以上戦争を続けることは無理だと考える。
・・・陸海軍の将兵にとって武装の解除なり保障占領というようなことはまことに堪え
難いことで、その心持は私にはよくわかる。しかし自分はいかになろうとも、万民の生命を助けたい。
この上戦争を続けては結局我が邦がまったく焦土となり、万民にこれ以上苦悩を嘗めさせることは私としてじつに忍び難い。祖宗の霊にお応えできない。
和平の手段によるとしても素より先方のやり方に全幅の信頼をおき難いのは当然であるが、日本がまったく無くなるという結果にくらべて、少しでも種子が残りさえすればさらにまた復興という光明も考えられる。
今日まで戦場に在って陣没し、或は殉職して非命に斃れた者、またその遺族を思うときは悲嘆に堪えぬ次第である。また戦傷を負い戦災をこうむり、家業を失いたる者の生活に至りては私の深く心配する所である。
この際私としてなすべきことがあれば何でもいとわない。国民に呼びかけることがよければ私はいつでもマイクの前にも立つ。

(下村宏『終戦秘話』講談社 125-126頁より)



以上、昭和二十年八月十四日に開かれた御前会議での昭和天皇の発言だ。

自分の考えを好き勝手にブログに書くのは自由だが、書くならもう少し調べて書いた方がいい。
そうすれば、右翼から攻撃されることもなかったし、恥をかくこともなかった。

M-1グランプリ2009

2009-12-23 22:43:34 | テレビ・芸能
今年も無事、M-1グランプリが終了した。
年を経るにつれ、M-1がお笑いの祭典としてあらぬ高さにまで祭り上げられているきらいがないでもないが、今年も例の如く感想などを。


▼ナイツ
紳助は去年よりも巧くなったと褒めていたが、私は去年より笑えなくなっていた。
今年一年の内に随分見て、見慣れてしまったからか。
やっていることは延々と言葉を間違っているだけだし。
決して嫌いではないのだが、特に笑った箇所がない。
つくづくお笑いは好みに左右されると感じる。
ツッコミの仕方がもっとマニアックだったら私向けだろう。
80点。


▼南海キャンディーズ
既に売れっ子になっているからか、一種の余裕が感じられた。
その余裕が良い効果をもたらす場合と悪い効果をもたらす場合とがあるか、今回は後者だったか。
私は山ちゃんのマニアックな突っ込みが好きで、例えば今回の「そのナルホドは進研ゼミの漫画でしか見れないよ」など結構笑えたのだが、全体的に突っ込みの勢いや漫才自体のスピード感がやや弱めだった感じがする。
85点。


▼東京ダイナマイト
こういう芸人が出られることはM-1の良さともいえる。
東京ダイナマイトは爆笑ではなく、押さえた笑いを提供してくれる。
じわじわ、じわじわくる笑いだ。
リーダー(松田大輔)のくどめのボケをハチミツ二郎さんの冷静突っ込みによって中和される。
このコントラストがいい。
個人的には好き。
87点。


▼ハリセンボン
上沼恵美子から「恋をすると漫才が面白くなくなる」と云われたことについて、はるかは「上沼さんには悪いですがますます面白くなっています」と云ってた。
が、ますます面白くなったとは感じなかった。
下手するとパワーダウン。
いや、それははるかの方ではなく春菜の突っ込みの方が空回りしたせいか。
声を張り上げすぎだったように思う。
彼女ら、コント番組ではピカイチに光るのだが、漫才となるとイマイチ。
逆にいうと、漫才以外では面白いのだから今回の評価が低かったからといって気を落とすことはない。
81点。


▼笑い飯
私は笑い飯のラヂヲを聴いていたくらいの笑い飯びいきなので毎年どうしても甘い目で見てしまう。
が、今年は私だけでなく、みな本当に面白かったという。
嬉しい。
実際、私も今年の芸人の中で一番笑った。
二本目のネタも一本目のようなクオリティがあれば優勝だったろうに。
それにしても、M-1でチンポジ連呼(笑)
今年は笑い飯にとってラストイヤーになった。
優勝できなかった彼らだが、八年連続決勝戦出場という輝かしい記録を打ち立てた。
そしてその記録以上に彼らの功績は伝説になるだろう。
95点。(一本目)
90点。(二本目)


▼ハライチ
たぶん、はじめて見た。
一種の危なさがあって良かった。
とにかく、左の人はあまり動かず、右の人が動き回り喋りまくり。
どちらかというと若い人向けの笑いなのかもしれない。
彼ら自身私より若いし。
これが平成世代のお笑いか。
普通に面白い。
86点。


▼モンスターエンジン
彼らは芸達者だね。
神々コントや西森さんの鉄工所ラップ、ゴッドハンド洋一。
そして、今回見せてくれた漫才。
それは、しゃべくり漫才という正統派。
若干昭和の香りもして良かった。
大笑いというより感心という感じ。
完全に余談だが、「鉄工所ラップ」は本当に感動する。CDも買った。
84点。


▼パンクブーブー
パンクブーブーというとパッとしない、地味、華がない・・・。
これが、いままでの彼らのイメージだった。
そういった印象を一気に吹き飛ばしてくれたのが今回の漫才だった。
漫才の形態はアンタッチャブルに似る。
ボケがとにかくボケ倒し、突っ込みは喉が枯れるほど強烈に突っ込む。
どちらが先か知らないが、この形態は安定感がある。
無論、その安定感を出すためには実力がないと無理だ。
面白かったのはその実力が彼らに伴っていたからだろう。
独特の悪口は特に良かった。
94点。(一本目)
96点。(二本目)


▼NON STYLE
はっきりいって、ノンスタイルは嫌いな芸人だった。
去年のM-1で彼らが優勝したことは不可解で、実力に相応しない評価をされた芸人と思っていた。
明らかにオードリーの方が面白かったからだ。
それを証明するかのようにM-1優勝者にもかかわらず、その後の活躍もパッとしなかった。
毎年、M-1のCMには前年優勝芸人が起用されるものだが、それも無し。(これは少し可哀想だと思った)
が、一本目のネタは前回優勝者の名に恥ぢないものだったと思う。
「日本がやられました」のセリフとか、ケーキを運んできて切り分けるくだりなんかツボだった。
苦渋を舐めたことが彼らを成長させたのだろうか。
88点(一本目)。
84点(二本目)。


以上、お笑いファンの方々から「お前は何様だ」とお叱りを受けそうな辛口のことも書いた。
が、私はM-1に出場した芸人さんに心から敬意を抱いております。
厳しめのコメントは芸人さんたちに対する激励とお考え下さい。
って、誰に言い訳してるんだ(笑)
今年のM-1は昨年よりも全体的に良くなっていたと思う。
昨年よりも平均レヴェルが高かった。
私は笑い飯に優勝をあげたかったが、パンクブーブーが優勝を勝ち取った。
文句はない。
まだまだ華の無い彼らだが、なにそんなものはあとからついてくる。
これからも頑張ってください。

鳩山由紀夫と近衛文麿

2009-12-19 21:16:55 | 政治・経済
世界においてかくの如き幼稚愚昧な指導者が国家の重大時機に、国家を率いたることありや―
僕は毎日、こうした嘆声を洩らすのを常とする。
帝大の某教授曰く、「首相というのは中学生ぐらいの頭脳ですね。あれぐらいのものは中学生の中に沢山ありますよ」


実は上の文章、私のものではない。
清沢洌『闇黒日記』昭和十九年三月十日の段からの引用だ。
つまり、ここでの首相は東條英機を指す。(原文にあった「東條」を伏せて載せた)
東條英機はいまでこそ極悪人のように言われているが、当時はあれで結構人気があった。
国民も歓迎したし、マスコミも「我らが東條さん」と煽った。
六十年以上前の清沢の嘆きが今の鳩山首相にも符合するのが哀しい。

いや、鳩山由紀夫は中学生ぐらいの頭脳じゃない。
海外の一流大学を出ている秀才だ、と反論が聴こえてきそうだ。
だが、それなら東條英機だって陸大を首席で卒業した秀才だ。

つまり、勉強ができる人物が必ずしも有能な政治家になるとは限らないことを歴史が証明しているわけだが、では東條と鳩山が似ているかというとそうでもない。
東條は強権的な人物で自分に楯突く人間は憲兵その他を使って全て潰しにかかった。
反対意見を全部潰してでも自分の意見を通そうとする我の強さがあった。
幸か不幸か鳩山にはそういう強権性、よく言えばリーダシップがない。
その意味では、東條よりは近衛文麿の方に似ている。

近衛は鳩山とは比べものにならないエリート。
なにしろ近衛家は貴族の筆頭で皇室と最も違い家柄。
大学も京都帝国大を出た秀才になる。
それでいて、人当たりもよく、社会主義に傾倒していた。
このあたりも鳩山に似る。

鳩山由紀夫は資産報告漏れを指摘され「恵まれた家庭に育ったので・・・」と言い訳したが、近衛も同じ。
大学時代には大卒初任給五十円の時代に百五十円の仕送りを貰うというまさに「恵まれた家庭」に育った。
それで、近衛の首相就任当初のスローガンは社会正義と国際正義。
これも鳩山の云う友愛に似てないか。

指導力がないのもそっくり。
近衛は支那事変が起こっても軍部に押し切られて事態の収拾に失敗した。
打開の為にと大見得を切って「国民政府を対手にせず」声明まで出したがこれがまた大失敗。
いまなら、さしずめ小沢一郎が軍部か。
小沢の恫喝で民主党マニフェストにあった子供手当ては所得制限を、暫定税率廃止は見送りとなった。
ついでにいうと、小沢は天皇を自分たちの都合のいいように利用する姿勢も軍部と被る。

支那事変の拡大は米国との関係を悪化させ、挙げ句、日米開戦。
最後に笑ったのは中共の毛沢東とスターリンだったが、鳩山内閣の誕生を心から喜んでいるのは六十年前と同じく中国共産党なのかもしれない。


******
余談だが、本表題とまったく同じタイトルの文章を大月隆寛が『正論』十一月号に書いていた。
が、彼特有の悪文のせいかいつものように何が言いたいのか良く解らなかった。

亀井、菅、鳩山、そして事業仕分け

2009-12-09 21:17:44 | 政治・経済
亀井大臣と菅副総理が喧嘩している。
元々、思想のまったく違う党同士がくっついている呉越同舟政権だからこのイザコザは当たりまえ。
よりによって亀井静香という名前と違ってちっとも静かじゃない人を入閣したのだから尚のこと。
閣内不一致で政権運営が迷走するというのは、細川政権の再演か。

*****

鳩山は国民の困窮を尻目にファッションショーやら歌舞伎やら。
若松孝二監督からも「なんかファッションショーかなんかでチャラチャラチャラチャラ。そんなところの騒ぎじゃないだろう、と思うけどね」と批判されていたよ。
左翼からも冷笑される鳩山になんの存在意義があろうか。

その鳩山がゴルバチョフに「(マスコミなどから)批判されている」と弱音を吐いた。
麻生太郎が首相だったときはやれ金持ちだ、やれ漢字を間違えた、ホテルのバーに行った、ほっけの煮つけを食べた、カップラーメンの値段を知らない・・・と政策とまったく関係のなことばかり批判された。

一方、鳩山は麻生以上の金持ちで個人献金を虚偽記載したり、母親から十一億貰っていたり。
政策も迷走していて叩く材料なら麻生の何倍もある。
なのに、マスコミさんは適当に報じるだけで本気で叩こうとしない。
それなのに「批判されている」だと。
あなたが麻生太郎なら精神を病んで入院か。

*****

事業仕分けが終わった。
この試みは自体はいい。
官僚の無駄遣いにメスを入れるまたとないチャンスだった。
仕分け人はさぞ気分が良かったろう。
仕分け人は正義の味方、官僚は悪党というわかりやすいエンターテイメント。
大衆はこういう単純な善悪の構図を作り上げると簡単に支持にまわる。

事業仕分けには人民裁判の如く当人と国民とを熱狂させる危険な香りが漂った。
それゆえか、勢い余って必要なものまで切ろうとした。
科学技術関連事業がそれだ。
蓮舫はスーパーコンピューターについて「世界一位を目指す理由は何ですか。二位じゃだめなんですか」とのたまい、科学技術についての無理解を露見した。
資源のない日本の財産は科学技術と文化だ。
それを削ってどうする。
理系のノーベル賞受賞者が名を連ね仕分け批判したのももっともだ。

ある女子高生の言葉。
「ダイエットしようとして脳みそから削ってる」
けだし至言。

農林振興関連事業も随分と削減された。
このことからも民主党が自民と同じく農林振興に本気でないことがわかる。

民主党政権で農政はどう変わるか

2009-12-03 22:58:17 | 政治・経済
民主党政権になって変わることと言えば、はっきりいってロクなことはない。
せいぜい、事務次官会議の廃止や事業仕分けの実施によって官僚退治に乗り出したことが唯一の功になろうか。
この事業仕分けに関してはメディアでも大々的に取り上げられ、鳩山の株を上げるいい材料になっているが、鳩山の頭にあるのは脱官僚ということよりも、仕分けで予算の削減を、ということらしい。
それは、事業仕分けのリストが財務省の作成したものであることからもわかる。
先日、事業仕分けを全事業にわたって実施するとの報道があったがさて、どうなるか。

変わるといえば、民主党政権は外国人地方参政権、人権擁護法と国家の屋台骨を危うくする転換政策が目白押しだが、実はそれ以上に大転換がなされようとしているのが農政だ。
こちらは、ネット上でもあまり取り上げられない。

民主党はマニュフェストで農家に対する戸別所得補償を高らかに謳い、早ければ来年度中に実施される勢いだ。
この戸別所得補償政策だが、これによって農政はどう変わるのか。

これまでの自民党農政の根幹は自民党支団体である農協とさらにその基盤母胎である兼業農家を保護する為に、米価を高値で維持することにあった。

日本は圧倒的に兼業農家が多い。
兼業農家は読んで字の如く兼業で農家をやっている人たち。
本職はサラリーマンだったり、役場の職員だったりで、週末だけ農業をやるという人たちが主。
あるいは、退職後の余生で農業をやっている人たちとか。
この兼業農家が割合でいうと八割くらいになる。

農協は組織力、政治力を維持するため、この圧倒的多数の兼業農家を保護して、少数の専業農家には冷たかった。
農業振興の理念は本来、専業農家を保護し、好きなだけ農作物を作らせ、ひいては食糧安全保障上重要な自給率の向上を図ることにある。
ところが、農協は規模は小さいが圧倒的多数の専業農家を保護するため、自民党農林族と一体になって、農業振興や自給率維持を無視してひたすら米価の高値維持を農政の理念とした。

米価を高値で維持することで農協は高い販売手数料を取ることができ、零細の兼業農家も潤う。
高米価維持のためには米を作りすぎてはいけない。
そのためにやるのが減反という名の生産調整だ。
この割合は毎年変わるが、平均でだいたい四割。
つまり、水田の四割で米を作らせないというわけだ。

さらに800%近い高い関税を設け安い外国米の流入を阻止してきた。
この高い関税の代償がミニマムアクセス米の受け入れで、昨年日本中を騒がせた汚染米騒動の原因も元をたどればここに行き着く。

割を食うのは専業農家と消費者だ。
専業農家はもっと米を作りたいのに減反を強制され、農業規模の拡大もできなければそれによる労働コストの削減も行えない。
そして、消費者は高い米価を支払わされることになる。

米偏重と減反によって農地は1961年の609万ヘクタールから現在463万ヘクタールへと減少し、食糧自給率はカロリーベースで40%を切っている。
国家の食糧安全保障も危うい。

民主党が掲げた戸別所得補償はこれら農政の歪みを是正する可能性があった。
農家に作りたいだけ農作物を作らせ、生産量に応じて所得を保障する。
それにより、自給率も向上する。
これが本来の農政の姿だ。
ところが、よくよく調べてみると戸別所得補償は減反を実施した農家に対して補償を行うというのが実態だ。
私ははじめ、戸別補償制度は悪くないと思っていたが、これでは意味が無い。
減反維持なら自給率も上がらない。

ただ、米価はおそらく下がる。

というのも、農水省は「調整水田などの不作付け地を助成の対象外とする」(平成二十一年十一月二十八日、日本農業新聞)との方針を示したからだ。
どういうことかというと、これまで減反によって稲作を行わない四割の農地について、そのまま休耕地にするのも良し、麦や大豆などその他の作物を植えるのも良し、と自由にすれば良かった。
ところが、これからは、その四割の農地について米以外の何かを耕作しないと補償はしませんよ、となる。

いま大体半分くらいの農家が減反によって生じた非水田を休耕地としているが、それら半分の農家がこれからその休耕地で別の作物を作るようなるか。
専業農家はいいかもしれないが、兼業農家はそうはいかない。
小規模の農地で米以外の作物を作っても効率が悪いしなにより儲からない。
「それじゃあ、戸別補償はいらないから、減反をやめて米を作る」というのが多くの兼業農家の本音だ。
これから無理して麦や大豆を植えて所得補償をしてもらうより、これまで減反していた分に水稲を作付けして米をより多く売った方がラクだからだ。
それに、兼業農家だって本音をいえば減反なんてやりたくないのだ。

私の予測が正しければ、今後、減反を離脱する農家が相次ぎ、米の生産量が向上し、結果、米価は下がる。
いま一俵(約60kg)が一万四千くらいだが、九千円くらいになろうか。
消費者にとっては萬々歳だ。

一方、困るのは農協だ。
減反に参加しない農家は農協にではなく、そのまま業者に買い取ってもらうようになる。
(反対に戸別所得補償を受ける農家は必ず農協に卸さなければならない)
農協は米に関するマージンが入らなくなるし、なにより米価が下がるので販売手数料も下がることになる。
兼業農家が農協に頼らなくなれば組織力も政治力も落ちる。
戸別補償制度によっていま一番危機感を持っているのは農協だと思う。
じじつ、農協関係者からは「民主党の農政はデタラメだ!戸別補償で農協は外される」という声を聴く。

たしかに、米価が下がることは消費者にとっては嬉しいが、民主党農政は減反を維持する気だし、米偏重も改めようとしていない。
これでは自給率は大して変化しない。
ロクな政策がない民主党政権、せめて農政だけはマトモにやってほしい。