あび卯月☆ぶろぐ

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今も昔も変わらない

2011-05-25 22:28:49 | 歴史・人物
九段下の駅を降りて坂道を下ると、九段会館が見えてくる。
嘗て軍人会館と呼ばれた歴史的な建造物で二・二六事件の折には戒厳司令部が置かれた。
戦後、九段会館と改称し、国が日本遺族会へ無償貸与する形で運営されてきた。
宿泊、レストラン、ホール、式場を備えた複合的施設だったが、今度の東日本大震災で天井が一部崩落して死者を出し、営業の休止が決定されてた。
非常に残念だが、歴史的にも値のある建物なので、是非なんらかの形で保存して欲しいと思う。

その九段会館の隣にあるのが昭和館だ。
戦没者遺族をはじめとする国民が経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦についての歴史的資料・情報を収集、保存、展示し、後世代の人々にその労苦を知る機会を提供する施設だ。(公式サイトより)
ここに先日初めて行ってきた。

戦地から家族に宛てた手紙や出征の際に寄せ書きされた日の丸や戦中の人々のくらしを伝えるものや、蓄音機やちゃぶ台、蝿取り機などの日常品、当時のポスターなど興味深いものが多く展示されていた。
なかでも興味深かったのは戦前のニュース映画の映像だ。
これはボタンを押すだけで自由に閲覧できるのだが、そのなかで昭和十四年の米不足を伝える映像があった。

昭和十四年当時、何十年来の米不足が襲った。
映像には「東京の米の玄関口」として秋葉原の映像が映される。
米俵を載せた汽車が秋葉原駅に到着する映像だ。
秋葉原がかつて米の玄関口だったとは初めて知った。
いまや、オタクの聖地のようになっている秋葉原がかつて米の聖地(?)だったと誰が想像できようか。

ともかく、この年の米不足は深刻だったようで、陸軍省では「米なしデー」を提唱した。
これも初耳のような気がする。
昭和史に少しでも詳しい人は「肉なしデー」や「酒なしデー」は知っているだろう。
だが、「米なしデー」と聞いてどれほどピンとくる人がいるか。
だいたい、米が主食の日本で、(しかも戦前は今よりずっと食事に対する米の比率が大きかったはずだ)米なしはいかにもナンセンスな感じがする。

しかし当時、実際に陸軍省では毎週水曜日を「米なしデー」と定めて大臣以下、昼食にうどんなんかを食べていたようだ。
カイザル髭を生やしたいかつい顔の将校級の帝国軍人が食堂で一斉にうどんをすすっている映像はどこかシュール感じられるが、大臣も含めみんなで一斉にやっています国民もこれに倣ってやりましょう、とニュースで流すこの光景自体が平成の日本とそれと一致する。
まるで、福島の野菜は安全ですと閣僚がいっせいに福島県産の野菜を食べるような。
なんだか、日本人のやることは今も昔も変わらないんだなという妙な可笑しさに襲われた。

この後の映像がまた良かった。
陸軍省は米無しデーがどれほど国民に浸透しているか都内を視察したところ、レストランで御婦人がしっかりライスを食べていた。
しかも、映像ではライスを四分の一程残していて、呑み終った煙草をその皿に押し付けるという行儀の悪い映像までしっかり流れていた。
視察した陸軍省の役人は一同苦い顔をしました、というナレーション(当時のアナウンサーの声)がかぶさる。

政府のキャンペーンは閣僚のパフォーマンスがつきものだが、それが国民に浸透するかは別問題ということらしい。
このあたりも今の日本と同じような気がする。

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