水道橋、講道館の資料館を後にし神田、神保町の古本町へ。
その夜、ベットで眠りについたのは、好奇心で買った六冊の古書を机の上に置き、
水を飲んだ午後七時二十分。
八王子のネオンがカーテンの隙間からわずか、部屋の中で、おぼろに見えた。
乾いた咳で目が覚め、寝返りして、眠りにつく。
その繰り返し、
空腹で目が覚めたのは、九時。
眠ってから一時間半あまり、
電話が鳴った。知人のから。
「なんか、ありましたか心配しましたよ」
「うん?・・・・・」
同人から七回の呼び出しの記録が記憶を益々曖昧にしトイレに行くまでの足どりが定まらなかった。
九時は、二十四時間後の九時。
新聞の日付を見て、ようやく事態を飲み込んだ。
風邪、熱と咳。
知人には、健康を取り戻してからと、約束を伸ばしていただき、
時間を見ていた夢の中に戻した。
「松姫、追っ手を気にしながらの道中は、大変だったでしょう」
「いいえ、四歳ゃ五歳の子供でさえ、歩いてきたのですよ、大変なことなど、ちっとも・・・」
「夜は、千人同心が街道に松明を焚き、寝るときは、秋田の拭きを切って蓑替わりにして・・・
そう、節三さんは、造船所で働いていました。
訳の、わからない夢の中の出来事。