ひらのかおるタウン通信

ひらのかおるの日々の暮らしや市民活動の中で、みなさんにお伝えしたい情報や雑感などを綴っています。

清掃工場長期包括民営化

2014-04-03 | Weblog
2014年度一般会計予算に反対する理由の一つが、清掃工場の長期包括民営化に係わる予算です。長期包括民営化導入に他の議員からは異論のある意見はありませんでしたので、討論で述べた内容を少し長いのですが掲載します。
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  1点目は、清掃工場の長期包括民営化について。
 清掃工場は、ごみ処理という住民生活に密接に関わり、衛生、持続可能社会、そして環境保全及び公害の発生の抑制という点でも、住民に関心の高い施設です。その施設の運営方式が、公設公営から公設民営の長期包括民営化に大きく変わることについて、現場職員及び住民の意見を一切聞かないで進めようとしていることが問題です。本来は、本年度に予定している「一般廃棄物処理基本計画」策定の中で、事業及び運営方式のあり方について、環境保全審議会などで十分、住民参加で議論する機会を持ち、さらにパブリックコメントを経て、その方向を決める手続きがなければなりません。

  ところが、すでに本予算には島本町清掃工場包括運営検討委員会の委員報酬、清掃工場包括運営検討業務の委託料が含まれています。2016年度長期包括民営化導入に向け、2014年度中に稼働目標期間を10年間とし、長期包括民営化のための委託予算を計上、2015年度にわたり委託契約手続きが行われ、2016年度からスタートというスケジュールも示されているところです。

  清掃工場の長期包括民営化とは、施設の維持管理にかかる業務委託の範囲を、運転管理業務、清掃業務、設備点検業務、物品管理業務、設備消耗品・薬品・燃料等の調達や補修まで拡大した、複数年度にわたる性能発注に基づく施設管理運営委託です。「導入時は計算上安上がりのように見えても、突発的な事故の可能性や安全面を考慮すると、結果としてライフ・サイクルコストが割高になる」ということも指摘されています。

  また、「高額な委託金額だけの支出が表記されるだけで、会計報告や精算がない分、細かい使途が明瞭ではない。」「施設の運転管理については、性能を満たしていれば、自治体が要求してきた運営レベル・基準・要件でなくてもよいが、住民サービス面で欠ける部分が出ることも考えられる。」「また物品選定、修理整備事業選定等について、自治体が行う場合はできる限り地元企業を選定しているが、これらを包括契約受託業者が行うことから、地元中小企業者の利用依頼が減少することも考えられ、特定の業者選定に偏ることも考えられる。」「特定部品、特許等を有するもの等に対して、メーカーとの交渉・協議が不調になることも考えられる。」「事故があった場合など、委託に対する管理責任について不明瞭であり、また大規模改修直後の場合、コストの比較は難しい。」「自治体職員のモニタリングが必要であり、人件費削減には繋がらない」など、一般的にデメリットも指摘されています。

  少し古い資料ですが、2002年12月に日本総合研究所が長期包括民営化をした水道、下水道、廃棄物処理事業について、614自治体にアンケートをしており、約4割の自治体が「民間委託のコストが高い」、もしくは「コストの妥当性を評価できない」と回答しています。長期包括民営化すれば、必ずコスト削減に繋がるとは言えません。府内自治体でも、焼却施設で採用しているところは忠岡町しかないと理解しております。事例が少なく、メリット、デメリットを調査・研究するには乏しいというふうに判断せざるを得ません。

  2013年7月より、庁内組織の島本町清掃工場包括民営検討会が全7回開催されて、検討会の結果、今後の方向性としては包括運営委託を行うことが望ましいという結論が出ています。しかし、予算審査に提出された検討会資料を見ますと、包括民営化のメリット・デメリットが議論されている中で、プラントメーカー作成の検討資料では、公設民営方式(長期包括民営化)での経費削減率が、公設公営で事業を行うより何%経費が下がったかという試算がありません。また、本町においては運転は委託しているため人件費の縮減はできない、という意見も出されており、数十億円もの契約金額で、かつ10年間もの長期契約となるにも関わらず、事業費削減は現状では示されず、長期包括民営化をしたほうがよいという根拠は不明確です。

  また公設公営であれば、毎年、補修工事請負契約の議案が提出され、議案チェックのため、現場調査、議会での質疑をすることもできますし、きちんと契約議案として議決することができます。しかし、長期包括運営委託の場合は、委託料ということでしかチェックできません。その点についても、議会の監視が低下するという可能性もあります。さらに長期の契約をすることによって、広域化の協議が停滞することが考えられますし、交渉の不利になる不安要素でもあります。
  ごみ処理事業の安全性と安定性の確保については行政が責任を持ち、経済性も十分に反映する方策を努力することが原則であると考えます。災害時には迅速に対処しなければならない施設を安易に全面民間委託していいのか、慎重に決定すべきことではないかと考えます。
  機構改革で唯一評価できる環境課の創設独立により、環境業務に専念できる課となり、期待できると思っていた矢先でした。十分な検討がなされないままで行政の責任を放棄されかねない長期包括民営化導入のための予算には反対します。