権藤博(1)

昭和36年から39年迄、その後43年に投手として働きました。本当に最も評価の難しい投手かと思います。入団の年35勝を挙げ、翌年も30勝を挙げた時点では、紛れもなく超一流の投手なのでしょうが、その翌年10勝を挙げたものの球威の衰えは隠せず、更にその翌39年も成績を落とし、6勝に終わり一旦投手としては引退しています。入団後2年間の印象で言えば、人並み外れたバネを活かし、踵を浮かした投球フォームからの快速球と大きく割れるカーブを武器とし、本当に打ち崩す事の難しい投手と言えたと思います。しかし権藤博のデビュー時から見ていますが、球速に関しては、彼より速い投手はかなりいたと思います。彼の投球を見て、その球の伸びの素晴らしさや、切れ味の鋭さを感じた事は多くありましたが、その球の速さに驚きを感じた事はありませんでした。しかしあの史上最高クラスの豪速球を投げた尾崎行雄投手は、権藤博の球速をもの凄く高く評価しています。球速に於いては、当然自身尾崎行雄と権藤博を筆頭に挙げていました。あの球速自慢の尾崎行雄が評価する位なのだから、私の見る目が本当はなかったのかも知れませんが、残念な事に私には彼のもの凄く速かった速球を見た記憶はありませんでした。