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とりがら時事放談『コラム新喜劇』



「進駐軍の兵隊さんは優しくて、ガムやチョコレートをくれました」

というのは第二次大戦終戦後の一部の事実を切り取っただけに過ぎなくて、実際は婦女暴行や代金踏み倒し、暴力事件が少なくなかった。
それでも報道されなかったのは敗戦国の悲しさで全ての国内メディアがGHQによる「検閲」を受けていたからで、このときの検閲の苦しさが快感になってしまったのか、我がマスメディアは今ではすっかりマゾヒスト(=自虐史観)になった。

実際、アメリカの兵隊は全てが全て優しかったのではなく女であれば誰でも追いかけたようだ。

「急にジープが止まって乗ってた黒人が追っかけてきてんよ。もう、夢中で逃げたし」

と語ってくれたのは私の母だった。
終戦時、母は13歳。
友達と連れ立って堺市内(大阪)を歩いていたら黒人兵士がジープを止めて追いかけてきたという。
友達と必死で逃げたときの恐ろしさは60年経過した今も忘れることはできないようだ。

このようにアメリカ兵がいつも倫理統制がとれている「やさしいへいたいさん」であることは決してない。

そのアメリカ兵の究極の狂気を描いたのが「タイガーフォース 人間と戦争の記録」だ。

ベトナム戦争時のアメリカ軍による民間人への凄絶な殺戮行為を30年ぶりに掘り出したノンフィクション。
綿密な調査に対してピューリッツア賞が授与されている。

イラク戦争の問題が高まってくる中でのベトナム戦争時の悲惨な事実を掘り出すことは、アメリカにとっては痛手でもあり、必要なことでもあったのだろう。
ベトナム戦争時の戦慄すべき虐殺事件はソンミ事件だけではなかったわけで、調べてゆくとまだまだ知られていない事実が吹き出してくるのかもわからない。

無抵抗の納付をM16で撃ち殺す。
縦断で破壊された老人の頭蓋骨の破片が脳漿とともに飛散して自分の軍服に降り注ぐ。
泣いている赤ん坊の首を切り落とす。

タイガーフォースは「もしかしたらイラクでも」と疑いたくなるような恐ろしさを持っているのだ。

なお、ベトナムではベトナム戦争のことを「アメリカ戦争」と呼ぶ。
本書を読み、ベトナム人の立場になったつもりで考えてみると、確かにアメリカ戦争だと何得できるものがある。

~「タイガーホース 人間と戦争の記録」マイケル・サラ&ミッチ・ウェイス著 伊藤延司役 WAVE出版刊~

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