とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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人生 気のせい、人のせい

2008年07月15日 06時24分40秒 | 書評
哲学者と精神科医。
この2つの職業の組み合わせは常軌を逸しているというか、アホらしいというか。

週刊文春のコラム「棚からエッセイ」の著者であるツチヤ教授と、私はまったく知らない人だったが代々木駅前で精神クリニックを営んでいる杏林大学名誉教授の三浦精神科医の対談で、正直言って最近の若手の漫才よりも面白かった。

お互いのケナシ合で展開される人生論はなかなかだ。
とりわけ人は自分の子供に欠点を見せることが必要だとか、いい加減さも必要だということについては笑いながらも大きく同意。
完璧を目指すがための潔癖症は現代日本人の大いなる欠点と私自身も感じていたので救われる思いがした。

ちょっと話は逸れるが、昨日、うちの会社(大阪難波)の近所にあるホテルで硫化水素による自殺騒ぎがあった。
大阪府警やら大阪市消防局のパトカー、消防車、救急車が10台以上も出動。
周辺は黄色いテープでシャットアウトされ、ホテルに隣接したソニーのサービスセンターやヤマハ音楽教室の入っているビルは集団で避難。
テレビが取材に着ているわ、大変な騒ぎになった。
硫化水素の自殺さわぎになんで消防車が必要なのか不明だが、ともかく「自殺」という日本人にとっては交通事故死よりも多い死因がこれほど身近なものであるとは、私もついぞ思わなかったのであった。

こういう「死んでやろう」などという近所迷惑な人に是非読んでもらいたいのが本書。
人はあるていどいい加減になったほうが幸せなんだと思えるところが本書の魅力だ。

笑い楽しみながら哲学的なお話の出来るそんな一冊。
対談集で短いから3時間もあれば読み切ってしまえるところも、面倒くさくなくてかなり良い。

~「人生 気のせい、人のせい ツチヤ教授、代々木駅前の精神科医と語る」土屋賢二、三浦勇夫著 PHP刊