とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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ヤンゴン動物園の強制移転

2008年03月12日 06時25分41秒 | ミャンマー旅行記・集
またもやミャンマー軍政の横暴だ。
なんと、今度は私の大好きなヤンゴン動物園が新首都ネピドー(ピンマナ)に強制移転させられつつあるのだという。

ヤンゴン動物園といえばアジアでは我が日本の上野動物園次ぐ歴史ある動物園。
未だミャンマーが横暴極まれる英国の植民地であった時代に設立された生きた歴史の証人でもあるのだ。
その動物園が、今度は横暴極まれる自国の軍政によって300キロ以上も離れた片田舎の新首都に移転させられつつあるのだという。
これを怒らずしてなんという。
私は動物園のカバさんやゾウさん、風呂に入ってノンビリしていた熊さんたちを忘れることはできない。

私はここの「カバのエサやり」が大好きだった。

子供の頃、大阪の天王寺動物園のアシカのプールの前でエサのイワシを母に買ってもらい、それをアシカに与えるのを動物園訪問の楽しみにしていた。
二年前、ヤンゴン動物園を訪れると、カバにエサをあげることが出来ることを知り、これは面白いと思ったのだった。
なんという植物なのかは知らないがカバのエサとして売られていた緑の葉っぱを買い求めカバ舎に近づくと、それだけでカバが私の方に「ノッソ、ノッソ」と歩いてくるのだ。
それはまるで奈良の猿沢池の鯉のごとくなのであった。
ただ、カバの愛嬌のあるところは顔が「ニ~」っと笑った表情であることと、巨体短足に親しみがあり(私の体形と似ている、というわけではない)鯉よりも相手としてはるかに楽しい。
但し口を開けるとちょっとビビってしまうほど大きくてグロテスクなのが玉に瑕だが、そんなハンディキャップは慣れてしまえばなんでもないのであった。

このように、旭山動物園もビックリの日本でも体験できない様々な「エサやり」アトラクションのあるヤンゴン動物園が政府の横暴による強制移転によってなくなってしまうことに私は胸を痛める。
(ちなみに私が旭山動物園を訪問した時、日本最北のカバさんはマイナス18度の旭川市の極寒のなか、屋外で「ぷうぇ~」と鳴きながらたたずんでいた。ヤンゴンのカバさんのほうが幸せそうだ。)

エサ売りのオジサン、オバサンたちはどうなるのか?
サトウキビの大好きな愛嬌あるゾウさんたちはどうなるのか?
近づくと手を出してきて何かを貰おうとするマントヒヒさんたちはどうなるのか?
肝心のカバさんたちは、エサを貰うことが出来るのか?

ネピドーは無理やり作られた新首都だけに、住んでいるのはほとんど公務員。
公務員の月給12ドル。
カバたちはエサを買ってもらえるのだろうか?

ともかく、政府の我がままのために動物園を移転させられるなんて聞いたこともない。
体裁を重んじるタンシェ議長率いるミャンマー軍政。これを恥だとは感じないのか?