とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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社長をだせ!

2004年12月05日 08時55分15秒 | エトセトラ
とりがら書評

私もメーカーの営業マンという仕事上、様々なクレームに遭遇します。
その多くは、大きなトラブルも無く解決できるのですが、数年に一度は、気難しいお客さんにぶつかって、苦労させられることがあります。
本書はカメラメーカーのサービスセンターに勤めていた筆者による実録集であり、また有る意味、立派なマーケティング・ビジネス書でもあります。

書名は「社長をだせ! 
    実録 クレームとの死闘」川田茂雄著(宝島社文庫)

もともと本書を書店で見つけたときから、とても気になっていたのですが、今回文庫本となったのを発見し、購入しました。
一個のクレームが会社の命運を左右する世の中になったことは三菱自動車や雪印の例を見ても明らかです。クレームは無いに限ります。
しかし、実際にクレームが発生した場合どうすればよいのか。
筆者は誠心誠意対応し「ウソは絶対つかない」「隠さない」ことが大切だと言っています。
本書の中でヤクザ問題と同和問題が重複した複雑なユーザーからのクレーム実例が紹介されていますが、まさにこういう方々には誠意を尽すしか方法がないことを本書は述べています。
私も以前勤めていた会社で京都の有名なヤクザ屋さんにからんだ仕事でクレームが発生し、何度か打ち合わせした経験があります。このヤクザ屋さんも同和問題とからんでおりましたが、誠心誠意対応すると、先方は一般のお客さんよりも丁寧に接してくれ、クレーム処理に当たらせてくれました。
しかし、その「一般の人より」というのがキーポイントで、もし誠意が通じなかったら、どうなっていたものやらと、今思い出しても恐ろしいものがあります。

現在、ヤクザ屋さんより恐ろしいものにインターネットがあります。
本書はインターネット時代のクレーム対応についても述べられています。
インターネットの恐ろしさは、その匿名性とだれもがその情報を共有できるという公共性にあります。
数年前に東芝が「あんたみたいな人のことをクレーマーって言うんだよ」と言ったのを録音されてしまい、インターネットで世界中に発信させれてしまい大騒ぎになったことがありました。
それだけにインターネットの便利さの裏側には、企業として、流される情報にどう対応すればよいのか真剣に考えねばならない難しい課題が存在しています。

今後仕事に携わったいく我々にとって非常に勉強になる一冊でした。


※会社経営者もいらっしゃる「とりがら」のメンツには必読の書です。ん? 私はI氏を知っているから読まんでエエて?