人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

MINAMI ✕ 横坂源 ✕ 田村響でベートーヴェン & ブラームス「ピアノ三重奏曲第3番」、 ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番」を聴く ~ 2024都民芸術フェスティバル

2024年02月09日 00時01分05秒 | 日記

9日(金)。わが家に来てから今日で3313日目を迎え、バイデン米大統領は7日、東部ニューヨークで11月の大統領選に向けた資金集めの集会で演説した際、ドイツのメルケル前首相のことを、「コール首相(2017年に死去)」と言い間違えたことから、再選に向けた懸念材料になっている「高齢不安」に拍車がかかりそうだ  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そのうちナースコールが必要になるかと心配だ その時は大統領をあきらメルケル?

 

         

 

昨日、夕食に「タラのアクアパッツァ」と「ワカメの味噌汁」を作りました 洗い物を少なくするため野菜類はワンプレートに載せました 和食は良いですね

 

     

 

         

 

昨日は14時から豊島区立舞台芸術交流センターで日本モーツアルト協会主催「沖澤のどか講演会 ~ 『フィガロの結婚』におけるテンポ設定」を聴講し、19時から東京文化会館小ホールで2024都民芸術フェスティバル参加公演「室内楽の愉しみ トリオ《ピアノ三重奏》」を聴きました 前者については後日ご報告することとし、ここでは後者について書くことにします

プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 作品1-3」、②ブラームス「ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 作品101」、③ドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調 作品90 ”ドゥムキ―”」です 演奏はヴァイオリン=MINAMI 、チェロ=横坂源、ピアノ=田村響です

MINAMI(吉田南)は2014年日本音楽コンクール第1位及び5つの特別賞を受賞。2015年シベリウス国際ヴァイオリン・コンクール入賞、2016年モントリオール国際音楽コンクール第3位、2021年ヨーゼフ・ヨアヒム・ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール入賞、2022年インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクール第3位入賞。現在、ニューイングランド音楽院、東京音楽大学に奨学金を得て在学中

横坂源は桐朋学園ソリストディプロマ・コースを経て、シュトゥットガルト国立音楽大学、フライブルク国立音楽大学で研鑽を積む。第59回ミュンヘン国際コンクール第2位

田村響は18歳でザルツブルク・モーツアルテウム音楽大学に留学。2015年大阪音楽大学大学院修了。2007年ロン・ティボー国際コンクールで弱冠20歳で第1位

 

     

 

会場は9割くらい入っていると思われます 自席はG列27番、センター右ブロック右通路側席です

1曲目はベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 作品1-3」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1793年から95年にかけて作曲した3つのピアノ三重奏曲の一つで、リヒノフスキー侯爵に献呈されました べートーヴェンが一番最初に作品番号を付けたのは、ピアノ・ソナタでも交響曲でもないピアノ三重奏曲だったことが意外に思います 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ・コン・ヴァリアツィオー二」、第3楽章「メヌエット:クアジ・アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:プレスティッシモ」の4楽章から成ります

拍手の中 ステージに3人が登場しますが、パリコレにでもデビューするかのようなMINAMIの黒を基調とするエレガントなステージ衣装に目を奪われます

第1楽章が重々しく開始され、短調特有のデモ―二ッシュな曲想が展開します 第2楽章はベートーヴェン得意の変奏曲です MINAMIのヴァイオリン、横坂のチェロが良く歌います 第3楽章は実質スケルツォです。田村のピアノとMINAMI+横坂の弦楽との対話が楽しく聴けました 第4楽章のフィナーレは3つの楽器が混然となった疾走感が素晴らしかった

2曲目はブラームス「ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 作品101」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1886年にスイスのトゥーン湖畔で作曲、同年12月20日にブラームス自身がピアノを受け持ってブタペストで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

第1楽章冒頭はチェロとピアノによって重厚で力強い演奏で開始され、後からヴァイオリンが入ってきますが、この組み立てが素晴らしい 3人の演奏もインパクトがありました この楽章では情熱的なMINAMI、クールな横坂、マイペースの田村といった三者三様のスタイルが垣間見られました 第2楽章ではヴァイオリンとチェロによるスケールを辿るピッツィカートが印象に残りました 第3楽章ではMINAMIのヴァイオリンと横坂のチェロが美しく歌い上げていました 第4楽章では3人による重層的な演奏が繰り広げられ、晩年(53歳)のブラームスのほの暗い情熱が伝わってきました

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調 作品90 ”ドゥムキ―”」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1890年から91年にかけて作曲、1891年にプラハで初演されました 「ドゥムキ―」は「ドゥムカ」の複数形で、「ドゥムカ」は緩急が交互になるスラブ民族固有の哀歌の形式で、この曲はそれを全曲に適用しています なお、真嶋雄大氏は「プログラム・ノート」に「それより『瞑想』『回想』を意味するチェコ語を念頭に置いて書かれたとみるべきであろう」と書いています 第1楽章「レント・マエストーソ」、第2楽章「ポーコ・アダージョ」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「アンダンテ」、第5楽章「アレグロ」、第6楽章「レント・マエストーソ」の6楽章から成ります

この曲では、MINAMIのヴァイオリンが美しく歌い、横坂のチェロが雄弁に語り、田村のピアノが弦楽に寄り添いつつ自己を主張しました 特にMINAMIのヴァイオリンの音色の多様性には驚くべきものがあります

正直に言うと、私は超有名なこの曲のCDを持っていません そのため予習が出来ないので、あまり詳細に文章が書けないのです 所有する約4000枚のCDのうちモーツアルトは700数十枚あるのに、ドヴォルザークは50数枚しかない しかも「新世界より」とか「チェロ協奏曲」とかばかり集めていて曲の種類が少ないのです この偏向した収集癖は、現在に至って弊害をもたらしています 「持っていないなら買えばいいじゃん」と言われるかもしれませんが、置き場所がないのでこれ以上増やしたくないのです しかし、これほどの超有名曲は、また聴く可能性が大きいので、買っておいた方が良いのではないかとも思います 悩ましいところです

さて、公演は満場の拍手のなかカーテンコールが繰り返されましたが、アンコールはありませんでした 見識です

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「第46回芸劇ブランチコンサート」でブラームス「ピアノ五重奏曲」、クライスラー「美しきロスマリン」他を聴く ~ 大江馨、石川未央、佐々木亮、辻本玲、清水和音

2024年02月08日 00時40分26秒 | 日記

8日(木)。わが家に来てから今日で3312日目を迎え、韓国統一省は6日、北朝鮮の経済・社会の状況を脱北者約6千人に調査した報告書を初めて発表したが、それによると、16~20年に脱北した人の72%が食糧配給の経験がないと回答、9割超が貧富の差が拡大していると回答し、正恩体制となった11年以降の脱北者によると、家庭への電力供給は1日あたり4時間余りに制限されていたと回答した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     核・ミサイル開発を優先し 住民の生活は二の次にする 金正恩体制の実態が明白だ

 

         

 

昨日の夕食は「牡蠣鍋」にしました 材料は牡蠣、長ネギ、白菜、シイタケ、エノキダケ、シラタキ、豆腐です 牡蠣は広島産で美味しかったです

 

     

     

 

〆はうどんです 満腹になりました

 

     

 

         

 

昨日午前、東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート「第46回 新鋭とベテラン」を聴きました プログラムは①クライスラー「美しきロスマリン」、②同「愛の悲しみ」、③「愛の喜び」、④ブラームス「ピアノ五重奏曲 ヘ短調 作品34」です 演奏はヴァイオリン=大江馨(神奈川フィル・コンマス④)、石川未央(①~④)、ヴィオラ=佐々木亮(N響首席④)、チェロ=辻本玲(同④)、ピアノ=清水和音(①~④)です

 

     

 

この日も平日午前にも関わらず多くの聴衆が集まりました

プログラム前半はクライスラー「美しきロスマリン」「愛の悲しみ」「愛の喜び」の3曲です これらの曲はフリッツ・クライスラー(1875-1962)が作曲したヴァイオリンとピアノによる小品です

ヴァイオリン独奏の石川未央は桐朋学園大学4年に特待生として在学中で3月に卒業します 第9回ノヴォシビルスク国際ヴァイオリンコンクール・シニア部門で第2位入賞を果たしました 桐朋学園大学と同大学院の在校生により結成された「カルテット・プリマヴェーラ」のメンバーでもあります 桐朋学園大学の副専攻ピアノ科で清水和音に師事している関係で今回の出演が決まったようです 曲間の清水のトークによると、彼女はピアノも相当巧いとのことです

銀のラメ入り衣装に身を包まれた小柄な石川が登場し、清水の伴奏によりクライスラーの代名詞的な3曲が演奏されます 石川は「美しきロスマリン」では美しいヴィブラートで流麗な演奏を繰り広げます 「愛の悲しみ」では哀愁を帯びたカンタービレが美しい 「愛の喜び」ではエネルギーに満ちた溌溂とした演奏が展開しました 性格の違う3曲の弾き分けが見事でした

 

     

 

プログラム後半はブラームス「ピアノ五重奏曲 ヘ短調 作品34」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1861年から64年にかけて作曲、1868年にパリで初演されました 正確に書くと、最初のスケッチは1854年から56年にかけてで、その後1862年に「弦楽五重奏曲」として完成させました しかし、試演の結果 満足を得られず、1864年に「2台ピアノ用のソナタ」に改作しました その後、同年さらに「ピアノ五重奏曲」に改作し、これを最終形としました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ、ウン・ポコ・アダージョ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:ポコ・ソステヌート ~ アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

5人により第1楽章が開始されます。5つの楽器による力強く重奏的なアンサンブルが見事です 個人的には中声部が好きなので、ヴィオラの佐々木亮の演奏に目と耳が向きますが、第2楽章で彼は、第2ヴァイオリンと同じフレーズを弾く時は石川の方に向き、チェロと同じフレーズを弾く時は辻本の方を向いて演奏する姿が印象的でした 第3楽章はリズム感の良い活気に満ちた演奏が繰り広げられますが、5人が楽しそうに演奏している様子が窺えて微笑ましく思いました 第4楽章では大江のヴァイオリン、辻本のチェロが素晴らしい演奏で存在感を示し、完璧なヴィオラの佐々木、ベテラン勢にすっかり溶け込んで生き生きと演奏する石川、弦楽器にぴったり寄り添う清水のコラボにより重層的なアンサンブルが繰り広げられ、情熱的なフィナーレを飾りました

ブラームスが3度目の正直で「ピアノ五重奏曲」としてこの曲を完成させてくれたことに感謝したい気持ちでいっぱいです まさに「名曲名演奏」でした

 

     

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大井駿 ✕ 上野星矢 ✕ 東京都交響楽団でモーツアルト「フルート協奏曲第1番」、チャイコフスキー「交響曲第4番」他を聴く ~ 2024都民芸術フェスティバル

2024年02月07日 00時01分49秒 | 日記

7日(水)。わが家に来てから今日で3311日目を迎え、ロシアのウクライナ侵攻への反対を掲げて大統領選への立候補を目指すボリス・ナジェージュジン氏について、ロシア中央選管の作業グループが、提出した署名に誤りが多いとして、登録拒否を勧告したことが5日わかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     

     プーチン圧勝は確実視されてるのに 立候補さえ妨害する  政権への忖度が露骨だね

 

         

 

昨日、夕食に「豚モヤシ炒めのおろしポン酢かけ」「厚揚げチーズ焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 「厚揚げチーズ焼き」は初挑戦でしたが、何とか美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夜、東京芸術劇場コンサートホールで2024都民芸術フェスティバル参加公演「東京都交響楽団」のコンサートを聴きました プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟 作品26」、②モーツアルト「フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313」、チャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です 演奏は②のフルート独奏=上野星矢、指揮=大井駿です

大井駿は1993年東京都出身の31歳。2022年の第1回ひろしま国際指揮者コンクールで優勝。パリ、ミュンヘン、ザルツブルクで学ぶ

 

     

 

自席は1階L列11番、左ブロック右から2つ目です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの都響の並び。コンマスは山本友重です

1曲目はメンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟 作品26」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)がスコットランドのへヴリディーズ諸島を旅行した際、スタッファ島にあるフィンガルの洞窟を見た印象をもとに1830年に作曲、1832年にロンドンで初演されました

大井の指揮で演奏に入りますが、比較的速めのテンポで演奏が進みます  いつも感心するのは弦楽セクションのアンサンブルの美しさです   大井はメリハリをつけてメンデルスゾーンが感じた「洞窟」の印象を描き出しました

2曲目はモーツアルト「フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1778年にアマチュア演奏家ドジャンの依頼により「フルート協奏曲第2番」とともに作曲したと言われています 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アダージョ・ノン・トロッポ」、第3楽章「ロンド:テンポ・ディ・メヌエット」の3楽章から成ります

フルート独奏の上野星矢は19歳でジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクールで優勝した実力者です

古典派の協奏曲のため弦楽器は10型に縮小します

大井の指揮で第1楽章が軽快なテンポで開始されます やがて上野のフルートが入ってきて明るく愉悦感に満ちた演奏を繰り広げます 終盤のカデンツァは緩急自在の技巧的な演奏により聴衆を魅了しました 第2楽章は独奏フルートが伸び伸びと歌います 第3楽章は再び快速テンポによる愉悦感に満ちた音楽が展開し、独奏フルートが天翔けました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されますが、アンコールはありませんでした。見識です

 

     

 

休憩時間にロビーに出たのですが、驚いたのは聴衆の平均年齢の高さです 在京オーケストラの定期演奏会でも平均年齢の高さは、ずっと前から指摘されていますが、この日の聴衆はそれを上回るのではないかと思います こういう状況を目の当たりにすると、「2024年問題は物流の世界だけの問題ではない」「クラシック音楽に明日はあるのか」と心配になります 若い演奏家や指揮者は出てきているのに、若い聴衆が育っていない・・・この現状を何とかしないと在京オケのいくつかは潰れます レナード・バーンスタイン ✕ ニューヨーク・フィルが取り組んだ「ヤング・ピープルズ・コンサート」のような取り組みが必要だと思います

さて、プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1877年から翌78年にかけて作曲、1878年2月10日にモスクワでニコライ・ルビンシテインの指揮により初演されました 音楽学者・小味淵彦之氏の「プログラム・ノート」によると、「チャイコフスキーは1877年夏にアントニーナ・ミリューコヴァという女性に惚れこまれて結婚した。同性愛者だったチャイコフスキーが世間体を気にして偽装結婚を画策したというのが定説」であり、「挙式から83日後には人を介して離婚を申し出た。妻から逃げた彼は作曲に没頭し、取り組んだ作品が歌劇『エフゲニー・オネーギン』と『交響曲第4番』だった」ということです 第1楽章「アンダンテ・ソステヌート ~ モデラート・コン・アニマ」、第2楽章「アンダンティーノ・イン・モード・ディ・カンツォーナ」、第3楽章「スケルツォ:ピッツィカート・オスティナート」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォッコ」の4楽章から成ります

大井の指揮で第1楽章がホルンの奏でる「運命の動機」で開始されます この演奏に限らず、ホルン・セクションは終始安定した素晴らしい演奏を繰り広げていました 第2楽章は冒頭におけるオーボエ・弘田智之の抒情的な演奏が素晴らしかったです また、この楽章ではファゴット、フルート、クラリネットといった木管楽器群が冴えた演奏を展開していました 第3楽章のスケルツォは弦楽セクションのピッツィカートが表情豊かで、テンポ感が抜群でした 間断なく爆発するように入った第4楽章では、終盤に大井がオケを煽り立て、ホルン、トランペットを中心とする金管楽器が咆哮し、木管楽器が歌い、打楽器が炸裂し、弦楽器が渾身の演奏を展開、トップギアでフィナーレになだれ込みました

聴衆から、「待ってました」とばかりにブラボーがかかり、満場の拍手がステージ上の大井と都響の面々に押し寄せました

若い指揮者にはどんどんチャンスを与え、演奏を聴かせてほしいと思います その意味では、この都民芸術フェスティバルは定期演奏会とは異なり、若手起用の絶好のチャンスだと思います

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新日本フィル室内楽シリーズのチケットを3枚取る / チャン・カイコー監督「さらば、わが愛/覇王別姫」を観る ~ 2人の京劇役者の愛憎と人生を描いた一大叙事詩

2024年02月06日 00時47分02秒 | 日記

6日(火)。新日本フィルの室内楽シリーズのチケットを3枚取りました

1枚目は4月22日(月)19:15開演の「藤田麻理絵(ホルン)プロデュース編」です プログラムはブラームス「ホルン三重奏曲作品40」他です 出演は下のチラシの通りです

 

     

 

2枚目は5月13日(月)19:15開演の「城満太郎(コントラバス)プロデュース編」です プログラムは①ファランク「ピアノ五重奏曲第1番」、②メンデルスゾーン「ピアノ六重奏曲」です 出演者は以下の通りです

 

     

 

3枚目は7月8日(月)19:15開演の「西江辰郎(コンマス)プロデュース編」です プログラムはセルゲイ・タネーエフ「ピアノ五重奏曲」他です 出演者は以下の通りです

 

     

 

なお、9月17日(火)開催の「サミュエル・エリクソン(チェロ)プロデュース編」は東京フィルの定期公演とダブっているので取りませんでした

ということで、わが家に来てから今日で3310日目を迎え、複数の中国メディアによると、3日に湖北省武漢市の空港で、乗客が機内で6時間も待たされる出来事があり、物議を醸している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     流石は経済大国の中国!  待たせる時間が記録的だ 6時間あれば目的地に着いてる

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました 牛肉はバラ肉を使いましたが、寒いのでシチューが一層美味しく感じました 飲み物はウーロン茶です。アルコールではありません。あしからず

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で陳凱歌(チャン・カイコ―)監督による1993年製作中国・香港・台湾合作映画「さらば、わが愛/覇王別姫」(172分)を観ました

物語の舞台は1925年の北京。小豆子は遊女である母に捨てられ、京劇の養成所に入れられる 先輩の石頭はいじめに遭う彼を弟のようにかばい、つらく厳しい修行の中で常に強い助けとなる 成長した小豆子は程蝶衣:チョン・ティエイー(レスリー・チャン)となり、石頭は段小樓:トァン・シャオロウ(チャン・フォンイー)となって人気の演目「覇王別姫」を演じるスターになる 女形の蝶衣は覇王を演じる小樓に密かに思いを寄せていたが、小樓は娼婦の菊仙:チューシェン(コン・リー)と結婚してしまう やがて彼らは日本軍の占領、文化大革命という激動の時代に呑まれ、過酷な運命に翻弄されていく

 

     

 

この映画は、京劇の古典「覇王別姫」を演じる2人の京劇役者の愛憎と人生を、国民党政権下の1925年から、文化大革命時代を経た70年代までの50年にわたる中国の動乱の歴史を背景に描いています

「京劇の養成所」と言えば聞こえは良いですが、当時は貧困の家庭の子どもを集めて鞭で尻を叩いて芸を鍛え上げるスパルタ教育で、今でいえば児童虐待そのものです しかし、そんな中から才能のある小豆子と石頭は程蝶衣、段小樓として”選ばれる存在”になったのです

2人の主人公が一番辛かったのは、文化大革命時代です 親しい友人でも家族でも「造反有理」の大義名分のもと、紅衛兵から お互いに批判し合い、自己批判することを強いられます 2人もそうせざるを得ない状況に追い込まれ、お互いに傷つきます 「造反有理」とは「造反に理が有る」という中国語で、「造反側や反乱者こそ正義を持っている」ということを意味しており、「革命無罪」と並び中国の文化大革命で紅衛兵が掲げたスローガンです

この映画では、京劇「覇王別姫」の一部を垣間見ることが出来ます 女形・蝶衣のカストラートのような声と独特の台詞回しが耳について離れません

本作は、中国語映画として初めてカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞しましたが、作品を観れば当然だと思います

ところで劇中劇として描かれている「覇王別姫(はおうべっき)」とは何か?  チラシに書かれた解説によると以下の通りです

「その名の通り、”覇王”と”姫”の”別れ”を描いた京劇の有名な演目 前漢時代の歴史家・司馬遷が『史記』に詠んだ項羽と虞美人(虞姫)の悲劇を、俳優の梅蘭芳らが京劇に書き起こしたのちに自らも演じ、自身の代表作となった。今現在もなお古典の名作として伝えられている

「時は紀元前。秦の始皇帝の死後、西楚の覇王・項羽と漢の劉邦が天下を争っていた 覇王・項羽は劉邦との戦いの中で、愛人・虞姫らと共に垓下(谷)に追い込まれ孤立してしまう 深夜、周囲(四面)から楚国の歌を聞いた覇王・項羽は、自軍が既に漢軍に落ちたと誤解する 項羽は虞姫に逃げるよう伝えるが、虞姫はそれを拒否して項羽のために舞う。そして、舞を舞いながら王の刀で自害する

これを読んで初めて分かったのは、四字熟語の『四面楚歌』というのはここからきている、ということです しかし、この説明では少し分かりにくいので「新明解国語辞典」を参照すると、「『四面楚歌』=敵中に全く孤立すること。漢の劉邦と天下を争った楚の項羽は、時に利あらず、垓下で漢軍に包囲された。包囲軍の主将は韓信・黥布で、輩下には楚の出身者が多く、夜たまたま楚歌を歌った。それを聞いた項羽は、楚人ことごとく漢軍にくだったものと勘違いして嘆いたという故事による」ということです

映画の中では程蝶衣が舞い、映画を観終わって外に出ると 雪が舞っていました ❄ ❄ ❄   東京の一部地域にも大雪注意報が出ています 今夜のコンサート、中止になりませんように

 

     

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新国立オペラでドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」初日公演を観る ~ ミケーレ・ぺルトゥージ、フアン・フランシスコ・ガテル、上江隼人、ラヴィニア・ビー二にブラボー!

2024年02月05日 00時01分16秒 | 日記

5日(月)。わが家に来てから今日で3309日目を迎え、2020年米大統領選でバイデン大統領を支持した米人気歌手テイラー・スウィフトさんが、11月の大統領選での復帰を目指すトランプ前大統領の支持者の攻撃対象になっており、スウィフトさんの影響力を警戒して「政治に関わるな」と警告する保守派に対し穏健派やリベラル派が反発するなど対立が拡大している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そんなに影響力があるんなら テイラー・スウィフトさんが立候補すれば 良くね?

 

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」でドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」初日公演を観ました    出演はドン・パスクワーレ=ミケーレ・ぺルトゥージ、マラテスタ=上江隼人、エルネスト=フアン・フランシスコ・ガテル、ノリーナ=ラヴィニア・ビー二、公証人=千葉裕一。管弦楽=東京交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=レナート・バルサドンナ、演出=ステファノ・ヴィツィオーリです

 

     

 

「ドン・パスクワーレ」はガエターノ・ドニゼッティ(1797-1848)がアンジェロ・アネッリ作曲「マルカントーニオ氏」(1810年にミラノ・スカラ座初演)の台本をもとに1843年にパリのイタリア劇場で初演したオペラ(ドランマ・ブッフォ=滑稽な劇)です

資産家の独身老人ドン・パスクワーレは、後継ぎである甥のエルネストが縁談を断ったため、自分が結婚して子供を作ると宣言する エルネストは貧乏な若い未亡人ノリーナと愛し合っているのだ 医者でエルネストの友人マラテスは、若い2人のために一計を案じる 自分の妹と偽り、ソフローニャと名乗るノリーナをドン・パスクワーレに紹介する 清純な娘を演じるノリーナにドン・パスクワーレは一目ぼれし、結婚契約書に署名するが、その途端ノリーナはわがままで贅沢三昧の悪妻に豹変する ドン・パスクワーレは困り果てるが、マラテスタが、離婚を成立させるためにはエルネストとノリーナの結婚を許可し彼女を家に入れるしかないと入れ智恵する ドン・パスクワーレはやむなく甥の結婚を許すが、ソフローニャこそがノリーナで、すべては悪戯だったことを知る 自分の愚かさを悟ったドン・パスクワーレは皆を許す

 

     

 

新国立オペラ「ドン・パスクワーレ」を観るのは2019年11月9日に次いで2度目です

結論から先に書くと、歌手陣、指揮者・オーケストラ、演出ともに素晴らしいパフォーマンスでした

ドン・パスクワーレ役のミケーレ・ぺルトゥージはイタリア・パルマ生まれのバスです 世界各国の歌劇場で活躍しているだけあって、歌唱・演技ともに素晴らしく、圧倒的な存在感を示しました

マラテスタ役の上江隼人は東京藝大大学院修了、2006年にディマーロ国際声楽コンクール第1位のバリトンです 歌唱力はもちろん、一番感心したのは軽快な動きによる演技力です

エルネスト役のフアン・フランシスコ・ガテルはアルゼンチン出身のリリック・テノールです 明るく無理なく伸びる高音が魅力です 第2幕の冒頭でトランペットの哀愁に満ちた演奏に導かれて歌うアリア「哀れなエルネスト ~ 遠い国へ行こう」は叙情性に溢れ、全盛期のフアン・ディエゴ・フローレスを彷彿とさせました 今回の歌手陣の中で一番印象に残りました この人はすでに優れた実績の持ち主ですが、これからさらに伸びること間違いなしです

ノリーナ役のラヴィニア・ビー二はイタリア出身のソプラノです テバルディ国際コンクール優勝の実力者で、声量があり美しくも力強い歌唱が印象的です 第1幕のカヴァティーナ「騎士はその眼差しに」は明るく聡明なノリーナの性格をよく表していました

第2幕のフィナーレは本性を表した新妻を巡り登場人物が四重唱を歌いますが、早口言葉での歌唱はロッシーニのオペラを思い起こさせました こういうの大好きです

特筆すべきは歌手に寄り添いつつ、主人公の喜びや悲しみや怒りを表現したヴェネツィア出身のレナート・バルサドンナ指揮東京交響楽団の演奏です

演出面では、コンピュータ制御によるスムーズな舞台転換が目を引きました そのため、終始 弛緩することなく 軽快なテンポでストーリーが展開しました

 

     

 

ところで、「ドン・パスクワーレ」は ひと言で言えば「若い妻を望んだケチで頑固な老人が、最後に皆の笑いものになる」というストーリーです 第3幕の幕切れでノリーナが「老いて妻をもらうなんて苦労するだけ」という”教訓”をアリアで歌い、皆がそれに和して歌い 幕が降ります

しかし、私にはこのストーリーが どうもすんなりとは受け入れられません というのは、若いエルネストはドン・パスクワーレの遺産を相続することを前提にノリーナと結婚しようとしているからです だからこそエルネストはドン・パスクワーレから「自分が結婚することにした だからお前には遺産は相続させない」と告げられた時「予定が狂ってしまった」と嘆くことになるのです   そんなにノリーナが好きならば、ドン・パスクワーレの遺産などあてにせず、居候生活を止めて独立し、自分で働いてノリーナと結婚すれば良いのです 「お金にモノを言わせて若い女性と結婚しようとするドン・パスクワーレ」が笑いものにされるのなら、遺産を相続しなければ独立も結婚も出来ないエルネストが笑いものにされても仕方ないのではないか、と思います

また「老いて妻をもらうなんて苦労するだけ」という”教訓”も、時代の変遷とともに薄れてきています 加藤茶・綾菜夫妻の45歳差婚(結婚当時68歳と23歳)をはじめ、歳の差婚はごく普通のことになりつつあります もっとも「苦労するだけ」というケースもあるでしょうが、それは2人の問題です。私には関係ありません

 

     

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井上道義 ✕ NHK交響楽団でショスタコーヴィチ「交響曲第13番”バビ・ヤール”」他を聴く / サントリーチェンバーガーデン「葵トリオ」「フィナーレ公演」のチケットを取る

2024年02月04日 00時12分05秒 | 日記

4日(日)。サントリーホール「ブルーローズ」で6月に開かれる「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」のチケットを2枚取りました

1枚目は6月6日(木)19時開演の「葵トリオ」です プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第4番 ”街の歌」、②フォーレ「ピアノ三重奏曲 ニ短調」、③スメタナ「ピアノ三重奏曲 ト短調」です

2枚目は6月16日(日)14時開演の「CMGフィナーレ2024」です プログラムは①ラヴェル「序奏とアレグロ」、②マルティヌー「ピアノ三重奏と弦楽オーケストラのためのコンチェルチィーノ」ほかで、全容は未定です 出演はヴァイオリン=原田幸一郎、渡辺玲子ほか、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=堤剛ほか、ピアノ=練木繁夫、弦楽四重奏=ヴォーチェ弦楽四重奏団、ピアノ三重奏=葵トリオ、クラリネット=吉田誠、ハープ=吉野直子です

2公演ともサイトへのアクセスが受付開始時間より20分ほど出遅れたので、もはや良い席は残っていませんでした また、例年だとベートーヴェン・サイクル(弦楽四重奏曲全曲演奏会)のチケットを取るのですが、今回はすでに他の公演とほとんどダブっているので諦めました

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3308日目を迎え、ロシア大統領選で、ウクライナ侵略への反対を訴え候補者登録に必要な10万人以上の署名を集め立候補を目指すボリス・ナデジデイン氏(60)に対し、露国営メディアやプーチン大統領を支持する著名人らが一斉に中傷や批判を始めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンに忖度するメディアや 著名人に支えられる 専制主義国家ロシアの実態だ

 

         

 

昨夜、NHKホールでN響2月度Aプロ定期演奏会を聴きました プログラムは①ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ「クラップフェンの森で  作品336」、②ショスタコ―ヴィチ「舞台管弦楽のための組曲 第1番」から「行進曲」「リリック・ワルツ」「小さなポルカ」「ワルツ第2番」、③同「交響曲第13番 ”バビ・ヤール”  作品113」です   演奏は③のバス独唱=アレクセイ・ティホミーロフ、男声合唱=オルフェイ・ドレンガル男声合唱団、指揮はN響定期公演で最後の指揮をとる井上道義です

本来は4日午後に聴く予定でしたが、新国立オペラ「ドン・パスクワーレ」とダブっていたので、N響を3日に振り替えました NHKホール(3601席)は、新国立劇場(1814席)の2倍の客を収容できるので、振り替えがスムーズに出来るはずです   が、N響から指定された振り替え席は1階L12列12番。左ブロックの左右の通路から一番奥に入った席です。こういう席は一番苦手なのです しかし一時的なものなので我慢することにしました

 

     

 

1階席に限らず2階席以上もかなり埋まっているようです。今年年末を持って指揮者を引退する井上道義のショスタコーヴィチですから当然といえば当然でしょう

オケは変則8型の小編成で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは郷古廉です。オケを見渡すとオーボエには読響首席の金子亜未が、ホルンには同じく読響首席の松坂隼が客演しています

1曲目はJ・シュトラウス2世:ポルカ「クラップフェンの森で  作品336」です この曲はヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)が、ロシアでの長い演奏契約が終了した後、久しぶりにロシアに客演した1869年に作曲した「パヴロフスクの森で」を、翌年ウィーンの聴衆向けに「クラップフェンの森で」と改題した作品です

井上の指揮で演奏に入りますが、打楽器奏者が吹く「カッコウの鳴き声の笛」の長閑な”声”を聴いて、いつかテレビで観たウィーン・フィル「ニューイヤーコンサート」で演奏されていたのを思い出しました それと同時に井上がこの曲を選んだのは「ロシア」繋がりだったのだな、と気が付きました 楽しい演奏でした

2曲目はショスタコ―ヴィチ「舞台管弦楽のための組曲 第1番」から「行進曲」「リリック・ワルツ」「小さなポルカ」「ワルツ第2番」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1930~50年代に書いたバレエや映画音楽から抜粋した音楽です

井上の指揮で演奏に入りますが、1曲目の「行進曲」は金管楽器が炸裂する「軍隊行進曲」そのものといった感じの賑やかで華やかな曲です 2曲目の「リリック・ワルツ」はサックスとアコーデオンが抒情的な演奏を繰り広げます 3曲目の「小さなポルカ」はシロフォンの演奏が印象的です 4曲目の「ワルツ第2番」はサックスがペーソスに満ちた演奏を奏でます 「ズンチャッチャ♪ ズンチャッチャ♪」のリズムはまるでサーカスの音楽のようです タイトルは忘れましたが、映画で使われていました。ノリノリの愉しい演奏でした

 

     

 

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第13番 ”バビ・ヤール”  作品113」です

1941年9月末、ウクライナ・キーウ郊外の渓谷バビ・ヤールでは、ナチスにより2日間で3万4千人ものユダヤ人が虐殺されました 反体制派の詩人エフゲーニ・エフトゥシェンコは詩「バビ・ヤール」を発表しましたが、1962年にショスタコーヴィチはこの詩をもとに「バス、男声合唱、オーケストラによる交響曲第13番”バビ・ヤール”」を作曲しました 第1楽章「バビ・ヤール:アダージョ」、第2楽章「ユーモア:アレグレット」、第3楽章「商店で:アダージョ」、第4楽章「恐怖:ラルゴ」、第5楽章「立身出世:アレグレット」の5楽章から成ります なお、3楽章から5楽章は切れ目なく演奏されます

1853年にスウェーデンで設立されたオルフェイ・ドレンガル男声合唱団のメンバー約90名がステージ後方にスタンバイします 弦楽器は14型に拡大し、舞台下手にはハープ3台、ピアノ、チェレスタが控えます バス独唱のロシア・タタールスタン共和国出身の巨漢アレクセイ・ティホミーロフが指揮台の上手にスタンバイします

井上の指揮で第1楽章に入ります 冒頭は弔鐘のような鐘によって開始されますが、これが後で何度か登場し、現代に至るまで迫害されてきたユダヤ人を弔うかのように響きます アレクセイ・ティホミーロフの迫力あるバスがバビ・ヤールの悲劇を語り、男声合唱が呼応します その後、金管を中心とする歯切れのよい演奏が展開します 第2楽章は実質的なスケルツォですが、こういう音楽は井上の得意とするところです 弦楽器が渾身の演奏を繰り広げます 郷古コンマスのソロも冴えていました 第3楽章は冒頭の低弦の静かな演奏が印象的です 第4楽章ではバスがスターリニズムの恐怖政治を描き出します 第5楽章は何となくスケルツァンド風な雰囲気を醸し出していますが、変化に富んだ楽章です 後半に静けさを取り戻し、フルート、オーボエ、ファゴット、クラリネットなどの軽妙な演奏や、郷古のヴァイオリンを中心とする室内楽的な演奏が展開しますが、冒頭に鳴った鐘の音が再び現れ、最後に演奏されたチェレスタの澄んだ響きが印象的でした

井上のタクトが下りると、満場の拍手とブラボーが飛び交い、何度もカーテンコールが繰り返されました

全体を通して振り返ると、まず第一にバスの巨漢アレクセイ・ティホミーロフの独唱が素晴らしかった 魅力のあるバスによりバビ・ヤールを歌で語り尽くしました また、オルフェイ・ドレンガル男声合唱団の合唱が力強く迫力満点でした 若きコンマス郷古廉率いるN響の面々も渾身の演奏を展開しました 期待を裏切らない素晴らしいコンサートでしたが、N響定期公演としては最後の指揮となる本公演(本日が2日目)は、井上にとっても会心の出来だったのではないかと思います

 

     

     

 

 

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藤岡幸夫 ✕ 神尾真由子 ✕ 石丸由佳 ✕ 東京シティ・フィルで菅野祐悟「ヴァイオリン協奏曲」、サン=サーンス「交響曲第3番」、ロッシーニ「チェネレントラ」序曲を聴く

2024年02月03日 00時08分40秒 | 日記

3日(土)。昨日午前、いつものように整骨院から池袋まで歩く間、私立T大学とS中高一貫校の前を通りましたが、両校とも入口に「入学試験会場」のタテカンが立っていました そういえば今や受験シーズンの真っ最中だったな、と娘の高校入試(推薦入学)と息子の中学入試の時のことを思い出しました 子供たちも大変でしたが、親も大変でした まさに、受験は本人だけでなく親にとっても大きな出来事でした その後、娘は美大を出てからアルバイトでしのぎ、数年前から今の勤務先に勤めて働き甲斐がある仕事に従事(本人曰く「毎日が面白い」)し、一方の息子は理系の大学・大学院を出て東京の本社から東北地方に単身赴任で派遣され、やり甲斐のある仕事に従事(本人曰く「大学院の延長で実験をやってるみたい」)しているので、良かったと思っています 受験生に栄光あれ

ということで、わが家に来てから今日で3307日目を迎え、欧州連合(EU)は1日開いた臨時の首脳会議で、制裁で凍結しているロシア中央銀行の資産(による利子)をウクライナ支援に使う方針で一致した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     主権国家ウクライナに否応なしに侵攻したんだから 賠償責任を負うのは当然だろう

 

         

 

昨日の夕食は「ハラミステーキ&牛肩焼き肉」「卵スープ」「生野菜とアボカドのサラダ」にしました 肉は柔らかくて美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第367回 定期演奏会」を聴きました プログラムは①ロッシーニ:歌劇「チェネレントラ」序曲、②菅野祐悟「ヴァイオリン協奏曲」(世界初演)、③サン=サーンス「交響曲第3番 ハ短調 作品78 ”オルガン付き” 」です   演奏は②のヴァイオリン独奏=神尾真由子、③のオルガン独奏=石丸由佳、指揮=首席客演指揮者・藤岡幸夫です

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び コンマスは2日前に東京文化会館小ホールでヴァイオリン・リサイタルを開いたばかりの戸澤哲夫です

1曲目はロッシーニ:歌劇「チェネレントラ」序曲です この曲はジョアッキーノ・ロッシーニ(1792ー1868)が1817年1月にローマで初演した童話シンデレラに基づく歌劇の序曲です 数か月前に完成した歌劇「新聞」序曲の転用ですが、ロッシーニには珍しくない手法です 曲は「マエストーソ ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ」で構成されています

藤岡の指揮で演奏に入ります 序奏部はゆったりした音楽がファゴットと低弦によって開始されますが、アレグロ・ヴィヴァーチェに移るとヴァイオリン・セクションの軽快な演奏にクラリネット等の主題が絡み、軽快でワクワク感たっぷりのロッシーニ・クレッシェンドが展開します 前半の緩やかな演奏と後半の快速テンポの演奏の落差がロッシーニの魅力です ロッシー二のオペラの序曲はどれも素晴らしいですが、それはオペラそのものが素晴らしいからです

2曲目は菅野祐悟「ヴァイオリン協奏曲」の世界初演です この曲は菅野祐悟が神尾真由子のために作曲した3楽章から成る作品です 菅野祐悟は1977年生まれの47歳ですが、若く見えます 東京音楽大学作曲科卒。2014年にNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」、2018年には連続テレビ小説「半分、青い。」の音楽を担当し、現在は映画、テレビドラマ、アニメーションの音楽等を幅広く手掛けています

本人のプログラム・ノートによると この曲は、世界でもっとも美しいラブレターを書いたと言われるジョン・キーツの手紙集を読んで、「恋に落ちた人間の感情、人間の愚かさや滑稽さ、可愛らしさ等の欲望が文学的に美しく描き出されていた。人間が狂っていく様。冷静さと狂気が行ったり来たりと人間らしい。この人間の感情をヴァイオリン協奏曲にしたらどんな音楽になるか」と思って作曲したといいます

神尾真由子のヴァイオリン独奏で第1楽章が開始され、大友肇(カルテット・エクセルシオ)のチェロが受け継ぎ、オケが加わります 神尾のヴァイオリンが表現するのは「恋の切なさ」でしょうか 神尾はたっぷりヴィブラートを効かせて艶めかしいまでの情熱的な演奏を繰り広げます 終盤のカデンツァは超絶技巧による高速演奏で「恋の激しさ」を表しているかのようでした 第2楽章は中盤でスケールの大きな演奏が繰り広げられ、さすがは大河ドラマのテーマの作曲者だと思わせました 神尾のヴァイオリンとともに、大友のチェロ独奏も素晴らしかったです 第3楽章は緩やかな流れの中、独奏ヴァイオリンの美しい音色が会場に響き渡りました まさに「神尾真由子 オン ステージ」といった感じでした

会場いっぱいの拍手の中、会場後方にいた作曲者の菅野祐悟がステージ上に呼ばれ、神尾真由子とともにカーテンコールが繰り返されました

全体的な印象としては、テレビドラマやアニメの音楽を手がけている作曲家だけあって、非常に聴きやすい音楽で、心地よく耳に入ってきました 私はここで、「クラシックとは何か?」とあらためて自問せざるを得ませんでした

 

     

 

プログラム後半はサン=サーンス「交響曲第3番 ハ短調 作品78 ”オルガン付き” 」です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835-1921)がロンドンのフィルハーモニー協会からの委嘱により1886年に作曲、同年5月にロンドンで初演されました 第1楽章が第1部「アダージョ ~ アレグロ・モデラート」、第2部「ポーコ・アダージョ」、第2楽章が第1部「アレグロ・モデラート」、第2部「マエストーソ ~ アレグロ」から構成されています

オケの下手にはピアノ(4手連弾)が、2階正面のパイプオルガン席には石丸由佳がスタンバイします 演奏を録音するのか、ステージ上にはマイクが林立しています

藤岡の指揮で第1楽章が開始されます 循環主題を演奏する弦楽セクションのうねりが凄い 間断なく第2部がパイプオルガンの重低音で開始されます チェロのピッツィカートに乗せて奏でられるヴァイオリンの演奏が美しい 第2楽章は冒頭の弦楽セクションのエネルギッシュな演奏が素晴らしい 第2部はパイプオルガンの輝かしい和音で開始されますが、この演奏が力強くエネルギッシュです その後に続くピアノ連弾の演奏がキラキラ輝いています フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットといった木管楽器群の演奏が冴えています オーケストラ、パイプオルガンの総力を挙げてのフィナーレは圧巻でした

この日の演奏は、藤岡氏の指揮のもとシティ・フィルの底力を見せつけた力強くアグレッシブな演奏でした

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DSCH弦楽四重奏団「ショスタコーヴィチ『弦楽四重奏曲第4、5,6番』」の公演チケットを取る / アナ・リリー・アミールポアー監督「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」を観る

2024年02月02日 00時03分12秒 | 日記

2日(金)。昨日の朝日夕刊に1月15日に開催された朝日新聞と朝日カルチャーセンターの共同企画「マエストロと語ろう ~ 沼尻竜典」の概要が掲載されていました 神奈川フィル音楽監督・沼尻氏を取り上げた吉田純子編集委員による記事を、「指揮者にとって大切なこと」に絞ってご紹介すると次の通りです

「指揮者という仕事で一番大切なこと。一つ目は『好奇心』。いろんな人のリハーサルにもぐりこむ。バレエやテレビなど、異なる世界からの仕事が来るとワクワクする 二つ目が『コミュニケーション』。指揮者の仕事とは、協賛してくれる企業や切符を買ってくれるお客様、楽員とのコミュニケーションの連続にほかならない この二つの後に、三つ目の『才能』がくるのだという。指揮者になりたいという人には、『指揮の技術を学ぶ前に、何かひとつの楽器に習熟すること』を勧めるという 『僕も昔はどう三角形に振るとか、そういうことばかり知りたがっていた こう動けば人はこう動くというのがあると思っていた。でも実際、オーケストラの前に立ったらそうはいかない 大切なのはやっぱり自分自身の力で、音楽の核の部分に手を突っ込むことなんです』と語る

現代社会に名匠トスカニーニが蘇って「指揮者という仕事で一番大切なこと」を問われたら、「楽員を従わせる知識と実力を背景とする統率力」と答えるかもしれません 彼に言わせれば「コミュニケーション? どんな意味があるんだ! 指揮者に自信がないだけの話だろう。曲については自分が一番よく知っている 黙って言う通りに演奏すればいいんだ。楽員と話し合って演奏するなら指揮者はいらねーよ」ということでしょう また、「何かひとつの楽器に習熟すること」ということで言えば、トスカニーニはチェロ奏者としても一流のアーティストでした それが指揮の上でも役立っていることは言うまでもないでしょう

しかし、現代は「コミュニケーション」なしには指揮者は務まりません 指揮者と楽員の関係は主従の関係ではなく、より良い演奏をするためのパートナーという位置づけにあると言えるかもしれません

ということで、わが家に来てから今日で3306日目を迎え、中国の航空当局は、台湾海峡上空に設定している民間機の飛行ルートを2月1日から、これまでより台湾寄りのルートに変更したことに対し、台湾側は中国による新たな圧力と捉えて反発している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     じわじわと台湾側に侵略し 既成事実を積み重ねるのは覇権主義国・中国の常套手段

 

         

     

昨日の夕食は、「海老仕立て味噌鍋」と「豚バラ大根」にしました 鍋の材料はタラ、海鮮つみれ、白菜、人参、シメジ、豆腐、シラタキです お腹がいっぱいで、さすがに豚バラ大根は残しました

 

     

     

     

 

         

 

4月21日(日)14時からすみだトリフォニーホール(小)で開かれるDSCH弦楽四重奏団「ショスタコーヴィチ『弦楽四重奏曲全曲演奏プロジェクト』第2回公演」のチケットを取りました プログラムはショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第4番、第5番、第6番」です DSCH弦楽四重奏団は新日本フィルのソロ・コンサートマスター崔文洙を中心に2021年5月に結成したユニットで、メンバーはヴァイオリン=崔文洙、ビルマン聡平、ヴィオラ=安達真理、チェロ=植木昭雄です このプロジェクトは2022年から5年間をかけてショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲」全15曲を演奏するものです 出来る限り全曲聴き通したいと思います

 

     

 

         

 

早稲田松竹でアナ・リリー・アミールポアー監督による2022年製作アメリカ映画「モナ・リザ  アンド  ザ  ブラッドムーン」(106分)を観ました

謎めいた少女モナ・リザ(チョン・ジョンソ)は、あの有名な絵画と同じ名前だが、絵に描かれた女性のように微笑むことは決してない 彼女は12年もの間、精神病院に隔離されていたが、ある赤い満月の夜、突如として目で他人を操る特殊能力に目覚める 自由を求めて施設から逃げ出したモナ・リザは、サイケデリックな音楽が鳴り響き、刺激と快楽に満ちたニュー・オーリンズの街に辿り着く そこで、喧嘩中のシングルマザーでポールダンサーのポニー・ベル(ケイト・ハドソン)を、超能力によって助けたことから知り合いになる ポニーは彼女の特殊能力を利用して客からチップを巻き上げたり、キャッシュ・ディスペンサーで見知らぬ客のお金を降ろさせたりして金儲けをする それに気がついたポニーの息子チャーリー(エバン・ウィッテン)はそんな母親を批判し、モナ・リザに「あなたは利用されているんだ」と警告する ある日、ポニーとモナ・リザが警官に追い詰められた時、ポニーが「モナ・リザのことは知らない」とシラを切ったことから、彼女は人が信じられなくなる 母親の愛情が感じられないチャーリーは、モナ・リザと一緒にニューオリンズから脱出することを決意する 現地で知り合ったDJファズの車で空港まで行くが、搭乗手続きをするとき、警官が追ってきたことから、チャーリーは自分が犠牲になって警官の目を引き、その間にモナ・リザは搭乗に成功する かくして、モナ・リザは晴れて自由の身となり新しい世界へと旅立った

 

     

 

韓国人女優チョン・ジョンソがミステリアスなモナ・リザを演じています レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」はミステリアスな微笑が魅力ですが、チョン・ジョンソのモナ・リザは、ある時は恐ろしく、ある時は可愛く、ある時はあどけなさを感じさせる顔の七変化が魅力です まるでカオスの中に放り出された赤ん坊のように周囲の色に染められていきます 最後に彼女は特殊能力を使って難なく搭乗手続きができたはずですが、それをしませんでした それは、モナ・リザがチャーリーを信じていたからです

この映画でも山ほど音楽が流れますが、唯一分かったのはナット・キング・コールの「モナリザ」だけでした

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戸澤哲夫 ✕ 久末航でモーツアルト「Vnソナタ第40番」、ベートーヴェン「Vnソナタ第8番」、シューマン「Vnソナタ第2番」を聴く ~ 都民芸術フェスティバル参加公演

2024年02月01日 00時01分06秒 | 日記

1日(木)。2024年も今日から2月です。「二月は逃げる」といいます 29日しかないこともありますが、あっという間に過ぎ去っていきます オノオノがた、油断めさるな

さて、昨日の朝日新聞デジタルが、仙台市に出来る新ホールについて次のように報じています

「仙台市は30日、2031年度の開館をめざす新音楽ホールについて、観客席が舞台の周りを取り囲む「サラウンド型」に転換できるようにする計画を発表した ホールは2千席規模で、転換可能な施設としては国内最大級だという 仙台フィルが本拠地とすることも明らかにした 音楽ホールは大小2つ造り、小ホールを350席程度とし、サラウンド型に転換できる大ホールは2千席規模となる 普段は観客席が舞台と向かい合う劇場型だが、観客席と一体となった可動式の壁などを設置し、公演に合わせて変形できるようにする

座席数からすると大ホール2006席、小ホール380席の「サントリーホール」と同規模のホールを想定しているようです しかし、日本で初めてヴィンヤード(葡萄畑)型を採用したサントリーホールや、同じ形式を採用する「ミューザ川崎シンフォニーホール」(1997席)は型が固定されているのに対し、仙台の新ホールは2つの型が転換可能となっています いったいどのように転換するのか、絵とか映像で見ないとイメージが湧きません いずれにしても、地元の仙台フィルにとっては喜ばしいことだと思います 完成は7年後なので先の長い話ですが、新しいホールに希望を託して良い演奏を続けてほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3305日目を迎え、ロシアのメドベージェフ前大統領は30日、岸田文雄首相が同日の施政方針演説で、領土問題を解決して日ロの平和条約締結の方針を堅持すると表明したことについて、「いわゆる北方領土についての『日本人の感情』は知ったことではない。それは『係争中の領土』でなく、ロシアの領土だ」とSNSで主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     同じ論理で ウクライナの領土は自国の領土だと言いたいんだろ 泥棒国家ロシアは

 

         

 

昨日、夕食に「タンドリーチキン」「生野菜とアボカドのサラダ」「里芋の味噌汁」を作りました 「タンドリーチキン」は鶏もも肉が柔らかく仕上がり 美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夜、東京文化会館小ホールで「都民芸術フェスティバル2024 室内楽シリーズ ~ デュオ《ヴァイオリン&ピアノ》」を聴きました プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第40番 変ロ長調 K.454」、②ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調 作品30-3」、③シューマン「ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 作品121」です 演奏はヴァイオリン=戸澤哲夫、ピアノ=久末航です

戸澤哲夫は東京藝大大学院修了。大学院在学中の1995年から東京シティ・フィルのコンサートマスターを務める 1998年には1年間ベルリンに留学、ライナー・クスマウルのもとで研鑽を積む。2001年にモルゴーア・クァルテットに加わる

久末航(ひさすえ わたる)は2017年、ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ部門で第3位、第7回リヨン国際ピアノコンクール第1位など数々の受賞歴を誇る

 

     

 

自席はJ列28番、右ブロック左通路側です。前方のブロックはかなり埋まっています

1曲目はモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第40番 変ロ長調 K.454」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1784年(28歳の時)にウィーンで作曲しました イタリアの女性ヴァイオリニスト、レジーナ・ストリナザッキと共演するために作曲されましたが、初演時にはヴァイオリンの譜面だけが完成し、モーツアルトは簡単なメモを頼りにクラヴィーアを弾いたと言われています 音符は天才モーツアルトの頭の中に入っているという訳です 第1楽章「ラルゴ ~ アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

大きな拍手の中、2人が登場しさっそく演奏に入ります モーツアルトの初期のヴァイオリン・ソナタと比べると「ヴァイオリンの伴奏を伴ったピアノ・ソナタ」の領域を脱し、ヴァイオリンとピアノが対等の立場で演奏されていることが分かります 若き久末のピアノの音が若干大き過ぎるきらいがありますが、すぐに慣れました 愉悦感に満ちた心地よい演奏が展開しました

2曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調 作品30-3」です    この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1801年から翌02年にかけて立て続けに作曲した3つのヴァイオリン・ソナタ(第6、7,8番)の一つです   第1楽章「アレグロ・アッサイ」、第2楽章「テンポ・ディ・メヌエット、マ・モルト・モデラート・エ・グラツィオーソ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

2人による第1楽章のアグレッシブな演奏を聴いて、モーツアルトから かなり飛躍した位置にある作品だな、と感じました    ひと言でいえば「均整の取れた古典的なモーツアルト」に対し、「均衡を破り新しい音楽を築こうとするロマン派に近いベートーヴェン」を感じました    それは第3楽章でも同様に感じました。この曲で思い出すのは、10年以上前にトリフォニーホールで開かれた豊島泰嗣のヴァイオリン、園田孝弘のピアノによる「ベートーヴェン『ヴァイオリン・ソナタ連続演奏会』」です どの曲も素晴らしい演奏でしたが、あの2人の演奏は限りなく古典派に近いベートーヴェンでしたが、今回の戸澤 ✕ 久末による演奏は限りなくロマン派に近いベートーヴェンだったように思います

 

     

 

プログラム後半はシューマン「ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 作品121」です    この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)が1851年9月にわずか4日間で作曲した「第1番」に続いて1週間で完成させたと言われる作品で、1854年にライプツィヒで初演されました  両曲ともゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターを務めていたフェルディナント・ダーヴィットの勧めにより作曲されました 第1楽章「かなり遅く ~ 生き生きと」、第2楽章「非常に生き生きと」、第3楽章「ひそやかに単純に」、第4楽章「動きをもって」の4楽章から成ります

実は、予習の優先順位を間違えてモーツアルトとベートーヴェンはCDで聴いたのに、全く初めて聴くシューマンはCDを持っているにも関わらず1度も予習で聴かなかったのです 作戦ミスにより ぶっつけ本番で聴くことになりました。反省あるのみです

2人の演奏で第1楽章に入りますが、冒頭からガツンと頭を殴られるような決然とした音楽で開始されます その後「生き生きと」の主部へ移りますが、シューマンらしい濃厚な演奏が展開します 第2楽章は実質的にスケルツォですが、極めて短いのですぐに終わってしまいます 第3楽章では冒頭のヴァイオリンのピッツィカートが印象的です 第4楽章はヴァイオリンとピアノによる躍動感あふれる丁々発止の演奏がアグレッシブに展開します 情熱的な演奏でした

会場いっぱいの拍手に、戸澤が「ベートーヴェンを軸にして、モーツアルトとシューマンを前後にプログラミングをしましたが、実は大学院の修士論文のテーマは『シューマン』でした そんなこともあって、最後にシューマンを選びました」と語り、アンコールにクララ・シューマン「3つのロマンス」から1曲をロマンティックに演奏、再び大きな拍手を浴びました

戸澤氏は東京シティ・フィルのコンマスとしての演奏しか接することがなかったので、今回はソロを聴く貴重な機会となりました 今回の演奏を聴いて、戸澤氏あってのシティ・フィルだな、とあらためて思いました また、ピアノの久末氏は主役の戸澤氏と同じくらいアグレッシブで良かったと思います

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