5日(月)。わが家に来てから今日で3309日目を迎え、2020年米大統領選でバイデン大統領を支持した米人気歌手テイラー・スウィフトさんが、11月の大統領選での復帰を目指すトランプ前大統領の支持者の攻撃対象になっており、スウィフトさんの影響力を警戒して「政治に関わるな」と警告する保守派に対し穏健派やリベラル派が反発するなど対立が拡大している というニュースを見て感想を述べるモコタロです
そんなに影響力があるんなら テイラー・スウィフトさんが立候補すれば 良くね?
昨日、新国立劇場「オペラパレス」でドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」初日公演を観ました 出演はドン・パスクワーレ=ミケーレ・ぺルトゥージ、マラテスタ=上江隼人、エルネスト=フアン・フランシスコ・ガテル、ノリーナ=ラヴィニア・ビー二、公証人=千葉裕一。管弦楽=東京交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=レナート・バルサドンナ、演出=ステファノ・ヴィツィオーリです
「ドン・パスクワーレ」はガエターノ・ドニゼッティ(1797-1848)がアンジェロ・アネッリ作曲「マルカントーニオ氏」(1810年にミラノ・スカラ座初演)の台本をもとに1843年にパリのイタリア劇場で初演したオペラ(ドランマ・ブッフォ=滑稽な劇)です
資産家の独身老人ドン・パスクワーレは、後継ぎである甥のエルネストが縁談を断ったため、自分が結婚して子供を作ると宣言する エルネストは貧乏な若い未亡人ノリーナと愛し合っているのだ 医者でエルネストの友人マラテスは、若い2人のために一計を案じる 自分の妹と偽り、ソフローニャと名乗るノリーナをドン・パスクワーレに紹介する 清純な娘を演じるノリーナにドン・パスクワーレは一目ぼれし、結婚契約書に署名するが、その途端ノリーナはわがままで贅沢三昧の悪妻に豹変する ドン・パスクワーレは困り果てるが、マラテスタが、離婚を成立させるためにはエルネストとノリーナの結婚を許可し彼女を家に入れるしかないと入れ智恵する ドン・パスクワーレはやむなく甥の結婚を許すが、ソフローニャこそがノリーナで、すべては悪戯だったことを知る 自分の愚かさを悟ったドン・パスクワーレは皆を許す
新国立オペラ「ドン・パスクワーレ」を観るのは2019年11月9日に次いで2度目です
結論から先に書くと、歌手陣、指揮者・オーケストラ、演出ともに素晴らしいパフォーマンスでした
ドン・パスクワーレ役のミケーレ・ぺルトゥージはイタリア・パルマ生まれのバスです 世界各国の歌劇場で活躍しているだけあって、歌唱・演技ともに素晴らしく、圧倒的な存在感を示しました
マラテスタ役の上江隼人は東京藝大大学院修了、2006年にディマーロ国際声楽コンクール第1位のバリトンです 歌唱力はもちろん、一番感心したのは軽快な動きによる演技力です
エルネスト役のフアン・フランシスコ・ガテルはアルゼンチン出身のリリック・テノールです 明るく無理なく伸びる高音が魅力です 第2幕の冒頭でトランペットの哀愁に満ちた演奏に導かれて歌うアリア「哀れなエルネスト ~ 遠い国へ行こう」は叙情性に溢れ、全盛期のフアン・ディエゴ・フローレスを彷彿とさせました 今回の歌手陣の中で一番印象に残りました この人はすでに優れた実績の持ち主ですが、これからさらに伸びること間違いなしです
ノリーナ役のラヴィニア・ビー二はイタリア出身のソプラノです テバルディ国際コンクール優勝の実力者で、声量があり美しくも力強い歌唱が印象的です 第1幕のカヴァティーナ「騎士はその眼差しに」は明るく聡明なノリーナの性格をよく表していました
第2幕のフィナーレは本性を表した新妻を巡り登場人物が四重唱を歌いますが、早口言葉での歌唱はロッシーニのオペラを思い起こさせました こういうの大好きです
特筆すべきは歌手に寄り添いつつ、主人公の喜びや悲しみや怒りを表現したヴェネツィア出身のレナート・バルサドンナ指揮東京交響楽団の演奏です
演出面では、コンピュータ制御によるスムーズな舞台転換が目を引きました そのため、終始 弛緩することなく 軽快なテンポでストーリーが展開しました
ところで、「ドン・パスクワーレ」は ひと言で言えば「若い妻を望んだケチで頑固な老人が、最後に皆の笑いものになる」というストーリーです 第3幕の幕切れでノリーナが「老いて妻をもらうなんて苦労するだけ」という”教訓”をアリアで歌い、皆がそれに和して歌い 幕が降ります
しかし、私にはこのストーリーが どうもすんなりとは受け入れられません というのは、若いエルネストはドン・パスクワーレの遺産を相続することを前提にノリーナと結婚しようとしているからです だからこそエルネストはドン・パスクワーレから「自分が結婚することにした だからお前には遺産は相続させない」と告げられた時「予定が狂ってしまった」と嘆くことになるのです そんなにノリーナが好きならば、ドン・パスクワーレの遺産などあてにせず、居候生活を止めて独立し、自分で働いてノリーナと結婚すれば良いのです 「お金にモノを言わせて若い女性と結婚しようとするドン・パスクワーレ」が笑いものにされるのなら、遺産を相続しなければ独立も結婚も出来ないエルネストが笑いものにされても仕方ないのではないか、と思います
また「老いて妻をもらうなんて苦労するだけ」という”教訓”も、時代の変遷とともに薄れてきています 加藤茶・綾菜夫妻の45歳差婚(結婚当時68歳と23歳)をはじめ、歳の差婚はごく普通のことになりつつあります もっとも「苦労するだけ」というケースもあるでしょうが、それは2人の問題です。私には関係ありません
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