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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでヴェルディ「ナブッコ」を観る~レヴァイン+ドミンゴの共演 / 読響アンサンブル・シリーズのチケットを手配する

2017年02月08日 07時58分40秒 | 日記

8日(水).わが家に来てから今日で862日目を迎え,使い終わった人工衛星やロケットなどの宇宙ゴミ対策が官民で進む という記事を見て感想を述べるモコタロです

 

        

         宇宙ゴミよりもリビングや子供部屋のゴミを何とかすべきだと思いますです・・・ はい!

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「クリームシチュー」と「生野菜とアボガドとタコのサラダ」を作りました 「クリームシチュー」のジャガイモとニンジンは皮付きのままです

 

       

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日は読響アンサンブル・シリーズの次年度シリーズの読響会員先行発売日だったので電話予約しました 新宿でオペラの映画を観ていて出遅れたので あまり良い席は取れませんでした 年4回シリーズのラインアップは下記の通りです

 

        

 

  またまた,閑話休題  

 

昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,ヴェルディ「ナブッコ」を観ました これは今年1月7日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です.キャストは,ナブッコ=プラシド・ドミンゴ(バリトン),アビガイッレ=リュドミラ・モナスティルスカ(ソプラノ),フェネーナ=ジェイミー・バートン(メゾソプラノ),イズマエーレ=ラッセル・トーマス(テノール),ザッカーリア=ディミトリ・ベロセルスキー(バス),管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団,合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団,指揮=ジェイムズ・レヴァイン,演出=エライジャ・モシンスキーです

「ナブッコ」はヴェルディの3作目にして初めて成功したオペラで,旧約聖書に登場する「バビロン虜囚と呼ばれるエピソード(バビロニア国王ナブッコがイェルサレムを攻め,当地に住むヘブライ人をバビロンに連行した事件)に基づいています 囚われのべブライ人たちが故郷を偲んで歌う合唱「行け,我が想いよ,黄金の翼に乗って」は,イタリアの第二の国家にもなぞらえているほどの愛唱歌です

 

        

 

物語の舞台は紀元前6世紀のイェルサレム.暴君ナブッコに率いられたバビロニア軍が迫っていた ここでヘブライ人たちはナブッコの娘フェネ―ナを人質にしたが,彼女はイェルサレム王の甥イズマエーレと恋に落ちていた ナブッコのもう一人の娘アビガイッレもイズマエーレを愛していたが,拒まれたため復讐に燃える ナブッコが攻め入り,ヘブライ人が敬うソロモンの神殿を焼き払う(以上,第1幕)

アビガイッレは,自分がナブッコと正妻の間の娘ではなく,正妻と奴隷との間に生まれた子であるという事実が書かれた文書を読み,衝撃を受ける 一方,ナブッコはフェネーナがユダヤ教に改宗したことを知り激怒し,自分こそ神だと宣言するが,神の怒りに触れ稲妻に打たれて失神する そして,ナブッコへの怒りに燃えるアビガイッレに王冠を奪われる(以上,第2幕)

アビガイッレは錯乱したナブッコを言葉巧みに言いくるめ,フェネーナを含むヘブライ人たちの死刑宣告書に署名させる バビロニアに連行されたヘブライ人たちは故郷を懐かしむが,司祭長ザッカーリアはバビロニアの崩壊は近いと皆を励ます(以上,第3幕)

アビガイッレに幽閉されたナブッコは,フェネーナの処刑を知らせる葬送行進曲の調べを耳にして我に返り,自分が神だと思いあがっていたことに対しユダヤの神に許しを請う 部下たちが駆けつけ,ナブッコとフェネーナを救出する アビガイッレは毒を仰ぎ,ザッカーリアは信仰に目覚めたナブッコを讃える(以上,第4幕)

 

         

 

平日の昼間にも関わらず会場はかなりのお客さんが入っています.おそらくドミンゴ人気でしょう 私はいつものように左ブロック後方の右通路側席を押さえてあります

1975年から40年以上METの音楽監督を務めてきたジェームズ・レヴァインは現在METの名誉音楽監督です 世界的に活躍する歌手陣やオーケストラから絶大な信頼を得ています 意外にもMETが「ナブッコ」を上演するのはMETがリンカーンセンターへ移設されて50周年になる今年が初めてのことだといいます レヴァインは特設の指揮台サークルの上で車椅子に乗ったままタクトをとります METのオケはヴァイオリン・セクションが左右に分かれる対向配置をとります

さっそく序曲の演奏に入ります このオペラに限らずヴェルディのオペラの序曲は劇的で好きです レヴァインはメリハリを付けて力強く演奏を進めます.ステージを見て安心します.いかにも古代の神殿といった極めてオーソドックスで伝統的な演出・舞台造りです

今回このオペラを観て度肝を抜かれたのはアビガイッレを歌ったリュドミラ・モナスティルスカです ウクライナのキエフ出身のソプラノですが,強靭な声の持ち主でドラマティックな表現力は他を圧倒します.METには2012年「アイーダ」でデビューしたそうですが,さもありなんです 外見上はMETのディーヴァ,アンナ・ネトレプコのようなしっかりした身体つきです.彼女との共通点は歌に説得力があるだけでなく演技力が優れていることです

ザッカーリアを歌ったディミトリ・ベロセルスキーはウクライナ出身のバスですが,存在感のある歌唱力の持ち主です フェネーナを歌ったジェイミー・バートンはジョージア出身のメゾソプラノですが,歌の出番は少ないものの歌唱力に底力があります また,イズマエーレを歌ったラッセル・トーマスはマイアミ出身の黒人歌手ですが,良く通るテノールです

最後に主役のナブッコを歌ったスペイン生まれのプラシド・ドミンゴです.かつて世界3大テノール(他はルチアーノ・パバロッティ,ホセ・カレーラス)の一人としてオペラ界の黄金時代を築いた彼も,今は一段声の低いバリトン歌手として活躍しています 圧倒的な存在感という点ではこの人の右に出る者はいないでしょう 息の長いアリアも息切れすることなく見事に歌い上げ,さすがはドミンゴと思わせます

ヴェルディのオペラは合唱が重要な要素になりますが,この「ナブッコ」はとくに囚われのヘブライ人たちが故郷を偲んで歌う「行け,我が想いよ,黄金の翼に乗って」をはじめ,力強い,感動的な合唱がふんだんに聴けます.MET合唱団の底力が聴きものです

最後にレヴァイン指揮によるMET管弦楽団は名手揃いで抜群に上手いです 時に歌手と同じように自らヴェルディを歌い上げます

さて,ここで演出の話に戻ります 私が初めて「ナブッコ」を観たのは2013年5月25日(土)の新国立劇場での公演です.イギリス出身のグラハム・ヴィックによる演出でした.CDも何も持っていなかったのでまさにナブッコ入門公演でした この時の感想は2013年5月26日の当ブログに書きましたので興味のある方はご覧いただきたいと思います 演出面だけから言えば,新国立オペラ史上最悪の公演だったと言っても過言ではないでしょう 何しろ舞台がショッピングセンターなのですから ナブッコはロックスターなのですから はっきり言って「演出家のためのオペラ」で,ヴェルディに対する冒涜でした

 

       

 

それを基準に考えると,今回のようなオーソドックスな演出がいかに素晴らしいかということです 演出家には「まずは音楽,それから演出」だと肝に銘じて欲しいと思います

 

  最後の,閑話休題  

 

今回の「ナブッコ」がエネルギーに溢れたとても印象に残る公演だったので,この印象をいつまでも忘れまい,と思い,新宿タワーレコードに行ってCDを買いました 演奏は誰のでも良かったのですが,2枚組で税込み1635円というお手頃のCDがあったのでそれを買いました ナブッコ=マッテオ・マヌゲーラ,ザッカリア=ニコライ・ギャーロフ,アビガイッレ=レナ―タ・スコット,フェネーナ=エレナ・オブラスツォヴァ,イズマエーレ=ヴェリアーノ・ルケッティ,アンブロジアン・オペラ合唱団,リッカルト・ムーティ指揮フィルハーモニア管弦楽団による演奏(1977年録音)です したがって,昨日喫茶店で聴いたのは,封を切ったばかりのこのCDでした

 

       

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BGMにマーラーを / 知念実希人著「仮面病棟」を読む / 鯨統一郎「今宵,バーで謎解きを」,知念実希人「優しい死神の飼い方」他を買う

2017年02月07日 07時52分08秒 | 日記

7日(火).昨日も喫茶店で新聞と本を読んだのですが,BGMとして「マーラー  アダ―ジョ  アバド」アルバムをヘッドホンで聴きました これはクラウディオ・アバドが指揮したマーラーの交響曲からアダージョ楽章を4曲収録したコンピレーション・アルバムです 収録順に①第3番から第6楽章(ウィーン・フィル),②第4番から第3楽章(同),③第5番から第4楽章(ベルリン・フィル),④第6番から第3楽章(シカゴ響)です アバドのマーラーは第3番をはじめ「マイ・ベスト」が多いです いずれも穏やかな音楽なので,BGMとしては最適です

 

       

 

ということで,わが家に来てから今日で861日目を迎え,フランス大統領選挙に出馬する極右政党,国民戦線(FN)のルペン党首が,自国の利益を最優先に据えるという公約を発表したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

          最近の世論調査ではルペン氏が第1位だというぜ 英国,アメリカの次はフランスか?

 

  閑話休題  

 

昨日は,夕食にステーキを焼きました あとは「生野菜とワカメのサラダ」です.ステーキは今まで自己流で焼いていたのですが,今回は料理本のレシピを参考に焼きました.今までと大きく違う点は赤ワインを使ったことです

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

知念実希人著「仮面病棟」(実業之日本社文庫)を読み終わりました 知念実希人は1978年,沖縄県生まれ.東京慈恵会医科大学卒,日本内科学会認定医という珍しい経歴の持ち主です

 

       

 

療養型病院の田所病院に強盗犯が籠城し,自分が拳銃で撃った女の治療を要求してきた 都合の悪い先輩の代わりに当直となったばかりに事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し,ピエロのマスクをした犯人の手から脱出を試みるうち,田所院長が隠していたこの病院の秘密を知ることになる 彼は看護婦と手を組んである手術をしていたのだった.ピエロは彼らを人質にとって病院に立て籠もったにも関わらず,どうやら金が目当てでもない 彼は最初からこの病院に隠された秘密を世間に暴露するために一芝居打ったことが分かる この病院で行われていた秘密の手術とは何か,ピエロの本当の目的は何か

この小説を半分まで読んで,当直すべきだった先輩医師が怪しいと思いました また,ピエロが拳銃で撃った女・川崎愛美は 出血しているものの「銃弾は皮膚,その下の脂肪と筋肉を抉りとりはしたが,腹腔内には達していない」という状況から,何かおかしいと思いました そこで推理したのは,先輩医師とピエロと女が共謀して病院籠城事件を起こしたのではないか,ということです.しかし,これは半分外れていました

これは現役医師でなければ書けない小説です.面白さにページをめくる手が止みませんでした

 

  も一度,閑話休題  

 

本を5冊買いました 1冊目は知念実希人著「時限病棟」(実業之日本社文庫)です 上に紹介した「仮面病棟」が面白かったので買ったものです

 

       

 

2冊目は,同じ著者の「優しい死神の飼い方」(光文社文庫)です

 

       

 

3冊目は鯨統一郎著「今宵,バーで謎解きを」(光文社文庫)です 前回初めて同氏の「オペラ座の美女」を読んで,「ダジャレを言っているのはダレジャ」的なギャグに,もう買うまいと思いながらつい買ってしまった本です

 

       

 

4冊目は遠藤周作著「読んでもタメにならないエッセイ 周作塾」(講談社文庫)です 先日映画で観た「沈黙」が印象深く,本当に久しぶりに遠藤エッセイを買いました

 

       

 

5冊目は田口久美子著「書店繁盛記」(ポプラ社)です 田口さんはジュンク堂書店池袋本店の副店長です.もちろん,この本は同店で買いました

 

       

 

いずれも今読んでいる本が読み終わったら順次ご紹介していきます

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バルトーク「弦楽四重奏曲第5番」,西村朗「弦楽四重奏曲第5番」他を聴く~クァルテット・エクセルシオ「ラボ・エクセルシオ」

2017年02月06日 07時55分25秒 | 日記

6日(月).わが家に来てから今日で860日目を迎え,トランプ米大統領が現行の金融規制を見直す大統領令に署名したという記事を見て感想を述べるモコタロです

 

        

             トランプが本当に署名したかったのはこの命令だったんだ!トランプの正体見たり!

 

  閑話休題  

 

昨日,東京オペラシティ近江楽堂でクァルテット・エクセルシオの「ラボ・エクセルシオ」コンサートを聴きました  プログラムは①アデス「アルカディアーナ」,②西村朗「弦楽四重奏曲第5番”シェーシャ”」,③バルトーク「弦楽四重奏曲第5番」です

 

        

 

会場の近江楽堂は東京オペラシティの3階,コンサートホールと同じ階にありますが,私がこの会場に入るのは初めてです 内部は思ったよりも狭く せいぜい60人位入れば満席です.天井がドーム型になっていて,なぜかマリア像のような物体が片隅に立っていました 全自由席です.前から5列目の右通路側を辛うじて押さえましたが,5列目はステージからかなり遠い印象です

開演にあたりプレトークがありました 2曲目に演奏される作品の作曲者・西村朗氏とエクの第1ヴァイオリン西野ゆかさんがゲストとなりインタビューに答えました 西村氏は特に自作について解説しましたが,最後に「やっぱりそうか」と思う発言をしました.それは

「現代音楽はある意味 病気なんですよ 今日は皆さんに病気になって帰っていただこうと思います

というものです.現代音楽の作曲者が自らこう言っているのですから間違いないでしょう これで正々堂々と現代音楽を避けられると確信が持てました

さて本番です.1曲目はアデスの「弦楽四重奏曲のための『アルカディア―ナ』」です アデスは1971年 イギリス生まれの作曲家です.この曲は①ヴェネツィアの夜,②なんと素晴らしい聖なる響き,③水の上にて歌えり,④そして・・・(死神のタンゴ),⑤乗船,⑥アルヴィオン,⑦忘却の7楽章から成ります 全曲通して聴いた限り,不協和音のオンパレードでどこがいいのかさっぱり分かりませんでした

2曲目は西村朗の「弦楽四重奏曲第5番『シェーシャ』」です この作品はアルデッティ弦楽四重奏団のリーダー,アーヴィン・アルディッティ氏の60歳の誕生日を祝して2013年に作曲され,同氏に献呈された曲です アルデッティ氏は干支でいう「蛇年」なので,蛇に因んだテーマを選び,①シェーシャ(多頭大蛇)の目覚め,②サムドラ・マンタン,③アムリタ(聖水)の3楽章から成る曲として作曲したものです はっきり言って「おどろおどろしい」音楽でした

 

        

 

休憩後はバルトーク「弦楽四重奏曲第5番」です この日のコンサートはこの曲を聴くために来たようなものです アルバン・ベルク・クァルテットのCDで予習しておきました

 

        

 

プレトークで西村氏が語っていたように,弦楽四重奏曲というジャンルで,バルトークの作品群(全6曲)はベートーヴェン以降の中で非常に大きな比重を占めており,作曲者にとっては目の前に立ちはだかる大きな壁とのことです 変わっているのは5つの楽章から成ることです.この曲はアメリカのエリザベス・クーリッジ財団からの作曲依頼を受け,1934年8月6日から9月6日までの わずか1か月の間に作曲されました

1932年にドイツでは総選挙でナチスが第1党になり,翌年にはヒトラーが組閣を始めています そこから近隣諸国へのナチズムの嵐が吹きまくっていきました.この曲を聴いていると,そうした世界情勢が反映しているのではないか,と思われる箇所がそこかしこに聴こえるように思います 聴いていて,よくわからなかったのは最後の第5楽章の終盤で,それまでの激しい曲想から,急に古き良き時代のワルツのような穏やかなメロディーに変わり,それが続くかと思いきや再び激しい音楽に戻り終結を迎えたことです あのワルツのようなメロディーにはどんな意味があったのだろうか

 

        

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小林研一郎+小山実稚恵+東京フィルでグリーグ「ピアノ協奏曲」他を聴く~文京シビックホール / 読響定期次シーズンのチケット届く

2017年02月05日 07時45分27秒 | 日記

5日(日).わが家に来てから今日で759日目を迎え,米ワシントン州の連邦地裁判事が「テロ懸念国家」からの入国制限措置を一時差し止める命令を出した という記事を見て感想を述べるモコタロです

 

          

   「三権分立」から言えば 立法府が共和党優位だから 裁判所が動かないと 止めようがない訳だな

 

  閑話休題  

 

読売日本交響楽団から次シーズンのチケット(定期演奏会 10枚),会員証,会員特典CD引換券,チケットホルダーが届きました 特典CDは2種類から選択できますが,指揮者・収録曲目は4月下旬ごろにホームページで発表予定とのことです

 

          

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ」を聴きました プログラムは①グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調」,②ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調”新世界より”」です ①のピアノ独奏は小山実稚恵,管弦楽は東京フィル,指揮はコバケンこと小林研一郎です

いつものように文字通り満席です この日のコンマスは若い依田真宣,向い側のヴィオラ首席には頼もしい須田祥子が控えています

1曲目はグリーグが25歳の時に作曲した唯一の協奏曲,ピアノ協奏曲イ短調です 第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」,第2楽章「アダージョ」,第3楽章「アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート」の3つの楽章から成ります

ソリストの小山実稚恵がブルー系の衣装で登場,ピアノに向かいます.コバケンの指揮で第1楽章がティンパ二のロールで開始されます ティンパ二で始まる曲は名曲が多いですね.ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」しかり,ブラームス「交響曲第1番」しかりです 中でもこのグリーグのコンチェルトの冒頭は衝撃的です

小山実稚恵は華奢ですが,すごい集中力をみせて迫力あるピアニズムを展開します 私がこの曲の聴きどころと捉えているのは第2楽章のアダージョです 小山のピアノは北欧のロマンティシズムとでもいうような抒情性に満ちています 強音は濁らず弱音はとても綺麗です 第3楽章は独特のリズムの刻みで開始され,大団円で曲を閉じます

小山実稚恵の集中力に満ちた演奏に 会場いっぱいの拍手とブラボーが押し寄せます コバケンにアンコールを促された小山は,得意のショパンのマズルカを演奏し,再び大きな拍手を受けました

 

          

          

休憩後はドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調”新世界より”」です よく知られているように,ドヴォルザークはニューヨーク・ナショナル音楽院の創立者ジャネット・サーバー女史から請われて1892年9月から95年4月まで同音楽院の院長を務めましたが,その時に作曲した最初の曲がこの第9番だったのです 第1楽章「アダージョーアレグロ・モルト」,第2楽章「ラルゴ」,第3楽章「スケルツォ,モルト・ヴィヴァーチェ」,第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4つの楽章から成りますが,この曲が特に日本で有名になったのは,第2楽章「ラルゴ」の「家路」で知られる旋律のためでしょう 先日のブログで このメロディーは元々葬送のための曲だったと書きましたが,現在では本来の意味を離れて,郷愁を誘うメロディーが日本人の感性に合っていることから広く親しまれているようです

私がこの曲の聴きどころと考えているのは,やはり第2楽章「ラルゴ」です もちろんコーラングレ(イングリッシュ・ホルン)による「家路」の演奏も良いのですが,もう一つの聴きどころは,後半で弦楽の首席クラスの8人が「弦楽八重奏曲」のように「家路」のメロディーを演奏する室内楽的なところです これを聴くと,ドヴォルザークは室内楽の作曲家としても優れていたのだということが理解できます.その最たる作品が同じアメリカで作曲した弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」でしょう

歯切れの良い第3楽章を経て,第4楽章の最後の一音が会場に溶け込んでいくと,会場から大きな拍手とブラボーがかかりました さあ,ここからが大変です 「コバケン・ワールド」の始まりです まずコンマスをはじめ弦楽器の最前列の奏者一人一人と握手,次いで管楽器,打楽器をセクションごとに立たせ,次に弦楽器をセクションごとに立たせ,そして全体を立たせ,会場に賞賛を求めます そして,拍手を制してアンコール曲の紹介に移ります ここでようやくアンコールの演奏に入ります 終演後 アンコールまでの所要時間を計ったら たぶんコバケンがダントツの長さでしょう

アンコールはブラームス「ハンガリー舞曲第1番ト短調」でした.第5番の次にアンコールの頻度の高いハンガリー舞曲ですが,「音のうねり」が魅力の曲です

全体を通して感じたのは,演奏に恣意的なところがなく,音楽が自然に流れていた,ということです これは前回コバケンの指揮で聴いた時に感じたことですが,今回はその傾向が維持されていました もう一つ感じたのは,コバケンはこの曲に絶対的な自信を持っているということです それは彼が2002年のプラハの春音楽祭オープニングコンサートを東洋人として初めて指揮したことと無縁ではないと思われます それらを含めて彼は年齢を重ねるごとに良くなっている,と感じます 最後にもう一つ感じたのは,管楽器も弦楽器も打楽器も良く鳴っていたということです これはホールの特性もあるかも知れませんが,東京フィルの底力が発揮されたという方が相応しいのではないかと思います もちろん,その実力を引き出したのはコバケンその人ですが

個人的には,演奏後の「コバケン・ワールド」を何とかしてほしいと思いますが,あれがあるからコバケンらしいと言えるのかも知れません 他の指揮者にない ご愛敬として目を瞑るしかありませんね

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新交響楽団第237回演奏会のチケットを買う / ベルナルド・ベルトルッチ監督「ラスト・エンペラー」を観る~新文芸坐

2017年02月04日 07時59分23秒 | 日記

4日(土).コーヒー用メジャーカップが北京と折れてしまった,もとい,ペキンと折れてしまったので,今度はプラスチック製をやめて銅製の製品(東急ハンズで864円)を購入しました これで もう心が折れることはないでしょう コーヒー粉すり切り一杯で約10グラムとのこと.ちょうど一人分ですね

 

          

 

ということで,わが家に来てから今日で858日目を迎え,前方の危険を自動車の装置が察知して停止する「自動ブレーキ」の搭載義務化に向け,国土交通省が動き出したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

  「自動ブレーキ」の義務化には賛成だけど 一方で高齢ドライバーの免許更新を厳しくしたらどうかな

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「手羽元と大根,卵の煮もの」,「生野菜とアドガドとサーモンのサラダ」を作りました 手前のグラスの器は日本酒用のお猪口です

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

4月23日(日)午後2時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる新交響楽団第237回演奏会のチケットを買いました プログラムは①ヨハン・シュトラウス2世:喜歌劇「こうもり」序曲,②ベートーヴェン「交響曲第8番ヘ長調」,③ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」で,指揮は寺岡清高です 今回はこれまでの経験を踏まえて 1階のS席ではなく あえて3階のA席を選びました

 

          

 

  最後の,閑話休題  

 

昨日,池袋の新文芸坐で「ラスト・エンペラー」を観ました これはベルナルド・ベルトルッチ監督による1987年 イタリア・イギリス・中国合作映画(163分)です 3歳で中国の清王朝の皇帝に即位した溥儀の波乱万丈の生涯を莫大な制作費をかけて完成させた歴史大作です

 

          

 

溥儀が幼少のころ,光武帝が死去した.事実上の権力者である西太后は幼い溥儀を利用するため皇帝にすることにした 何も知らないうちに皇帝に祭り上げられた溥儀は,広大な敷地を持つ紫禁城の中で,外に出ることが許されないまま暮らすことを強いられることになった 7年の歳月が経ち溥儀が15歳となった時,第一夫人と第二夫人をもらうことになる.しかし,その後 軍人のクーデターにより紫禁城から出て行かなければならなくなる

その後,溥儀は天津で日本の甘粕大尉と夜な夜な遊び歩くようになり,第2夫人から離婚を申し出られるまでに至る その頃,蒋介石率いる国民党が上海を攻略したため,甘粕は溥儀の命が危ないと心配し日本大使館に匿うこととする そして,1932年 日本が建国した満州国の皇帝となる 勢力を拡大していった日本だったが,1945年8月15日無条件降伏を宣言することになり,甘粕は自決し,日本へ逃げようとした溥儀はソ連軍の捕虜になってしまう しかし1959年に特赦された溥儀は庭師となり穏やかな余生を送ることになった

 

          

 

幼少時から晩年まで他人に利用されることでしか生きることが出来なかった一人の男の孤独と悲しさを見事に描いています 自分の意思では何も出来ない日本の天皇の不自由さを思い起こします

この映画では坂本龍一が音楽を担当しており,また甘粕大尉としても出演しています.なかなか存在感のある役作りをしています 満州国での舞踏会のシーンでは,ヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」を流していますが,「ラスト・エンペラー」に使うワルツに他の選択肢はないでしょう

この映画を観終わって思ったのは,「普通であること」がいかに自由で素晴らしいか,ということです

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新国立オペラでプッチーニ「蝶々夫人」を観る~冴えわたるフィリップ・オーギャンの指揮 / METライブ「ナブッコ」の指定を取る

2017年02月03日 07時50分19秒 | 日記

3日(金).昨日の朝日朝刊・科学面のコラム「ユリイカ」に「ドナルド・トランプ米大統領のフサフサの金髪に似た頭を持つ新種の蛾が見つかり,『ネオパルパ・ドナルドトランピ』と命名された」というニュースが紹介されていました 記事によると,ドナルドトランピの生息地 カリフォルニア州は都市化が進んでおり 生息が脅かされていることから,科学に無理解なトランプ大統領が生態系の保護に力を入れてくれるように願いを込めて命名したようです ドナルドトランピは前の羽根が4ミリの小さな蛾だそうですが,ホンモノのドナルド・トランプは我の強いことで知られる人物です  果たして彼は いつかドナルド・レーガンのような多くの国民から愛される大統領になれるのでしょうか

ということで,わが家に来てから今日で857日目を迎え,振り込め詐欺など特殊詐欺の昨年1年間の被害額は約406億3千万円だったというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

        

     いつも思うんだけど,これほど注意を呼び掛けているのに どうして引っかかるんだろうか?

 

  閑話休題  

 

昨日,新宿ピカデリーに行って,METライブビューイング,ヴェルディ「ナブッコ」の座席指定を取ってきました 7日(火)午後10時からの部です.ジェイムズ・レヴァインの指揮により,プラシド.ドミンゴがナブッコを歌います これは聴き逃せません

 

        

 

ついでに3枚綴り券を購入しました.通常@3,600円のところ3枚で9,300円です

 

        

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,初台の新国立劇場でプッチーニの歌劇「蝶々夫人」を観ました キャストは蝶々夫人=安藤赴美子,ピンカートン=リッカルド・マッシ,シャープレス=甲斐栄次郎,スズキ=山下牧子,ゴロー=松浦健,ボンゾ=島村武男,ヤマドリ=吉川健一,ケート=佐藤路子,神官=大森いちえい,管弦楽=東京交響楽団,合唱=新国立劇場合唱団,指揮=フィリップ・オーギャン,演出=栗山民也です

 

        

 

新国立オペラでの「蝶々夫人」は1998年の初回から数えて今回が9回目になります 栗山民也の演出では2005年,2007年,2009年,2011年,2014年に続いて今回が6回目になりますが,私はすべて観ています シンプルな舞台造りが印象的な演出です

ヒロインの蝶々夫人を歌った安藤赴美子は,国立音楽大学大学院修了,新国立劇場オペラ研修所第3期修了.文化庁派遣芸術家在外研修員,ローム・ミュージック・ファンデーション在外研究員として渡伊しています 彼女の和服姿の蝶々さんを見ると,やっぱり「蝶々夫人」だけは日本人が一番だな,と思います

日本人といえば,プッチーニはこのオペラの中で「さくらさくら」「お江戸日本橋」「君が代」「宮さん宮さん」などの日本の旋律を使っていますが,本来の意味を離れて純粋に音楽として短く使っているので,日本人のわれわれが聴くと若干不自然さを感じます.まあ,それもご愛敬でしょう

栗山氏の演出で いつ見てもヒヤヒヤするのは,第1幕冒頭で蝶々さんが登場する場面です.着物姿の蝶々さんが お付きの人たちとともに舞台左サイドの階段(二十数段もあり,カーブしている)を 歌を歌いながら降りてくるのですが,歌に集中するあまり足を踏み外さないか,と心配になってしまうのです  蝶々さんを歌う安藤赴美子はこの冒頭場面を無事にクリアするために相当"訓練"したんだろうな,と想像してしまいます

何人かの登場人物の中で唯一人,最初から最後まで出ずっぱりなのが蝶々夫人です  アリアを歌うにも,演技するにも 実力の他に 相当の気力と体力が必要とされます.最初から飛ばし過ぎて後で息切れするわけにもいきません そういう意味では「ある晴れた日に」をはじめとするアリアの場面で声がベストになるよう調整することもあるでしょう そうしたことを注意しながら彼女の歌を聴いていて思ったのは,声も良いし演技も良いのだけれど,声量が今一つ足りないかな,ということです メインのアリアでは申し分ないのですが,それ以外の場面では客席に近い所で歌っている分には十分に声が伝わってくるのですが,舞台の奧の方で歌っているときには十分には伝わってこないのです もっとも,これは私だけの ない物ねだりかも知れませんが

 

        

 

ピンカートンを歌ったリッカルド・マッシはイタリア出身のテノールですが,甘くも力強い歌声で,説得力がありました 私が特に良いと思ったのはシャープレスを歌った甲斐栄次郎です 2003年から10年間,ウィーン国立歌劇場専属ソリストとして活躍した実績はダテではありません.歌はもちろんのこと,演技も堂々たるものです スズキを歌った山下牧子は適役だと思いました

さて,この日の公演で私が一番感動したのはフィリップ・オーギャンの指揮です オーギャンはフランス生まれで,現在ワシントン・ナショナル・オペラ及びケネディセンター・オぺラハウス管弦楽団音楽監督を務めています 全曲を通してオーケストラと歌手陣を完璧に支配し,タクト1本で悲劇のヒロイン蝶々さんの物語を語らせていました

 

        

 

さて,プログラム冊子に栗山民也氏が最初にこのオペラを演出した2005年の時のインタビューが「プロダクション・ノート」として掲載されています 「観客にアピールしたいことは何でしょう?」という質問に対し彼は次のように答えています

「歴史ですね.ちょっと驚いたのは,対訳を読んでいて,今とまったく変わらない世界の構造に強い印象を受けました この舞台では星条旗が舞台の奧ではためいていますが,僕らの頭の上には今も星条旗があって,これなしには何も成り立たない そういう現代を鏡に映し出している風景を感じていただければと思っています

この文章を見て,トランプ米大統領のつぶやき一つで右往左往している現在の日本の状況を鑑みたとき,「12年前とまったく変わっていないではないか」と感じざるを得ませんでした 私は芸術の世界に政治を持ち込むことは好きではありませんが,演出というのはどうしてもその時代を反映する性質があるのではないかと思います その意味では,舞台奧の星条旗は何の不自然さも感じず受け入れることが出来ました

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高関健+青木尚佳+N響でプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」,チャイコフスキー「交響曲第4番」他を聴く~都民芸術フェスティバル

2017年02月02日 08時02分22秒 | 日記

2日(木).わが家に来てから今日で856日目を迎え,トランプ米大統領が米企業幹部との会合で「中国と日本は何年も通貨安誘導策を繰り広げている」と,日本の為替政策を強く批判した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

  トランプ大統領は日本が2011年以降62か月間  為替介入ゼロという事実を知っているんだろうか? 

 

  閑話休題  

 

ポータブルCDプレーヤーとヘッドホンを買いました  これは喫茶店騒音対策用です.私はほとんど毎日喫茶店に行って新聞や本を読んで過ごすことが多いのですが,時々気になるのはお客さん同士の会話です すぐ近くの席で少し大きな声で会話されると,聞こうという意思がなくても耳に入ってきてしまい 気が散って新聞や本が読めなくなってしまうのです そこで考え付いたのがヘッドホンでCDを聴くという方法です ただし,歩きスマホではないですが,ヘッドホンでのCDの歩き聴きは危険なのでやりません.あくまでも喫茶店の中に限定します

S-PROTECTのポータブルCDプレーヤーが3,153円,パイオニアのヘッドホンが2,980円です ヘッドホンの選択基準はコードが片側のみから出るタイプの商品ということです 両方からコードが出るタイプは聴く時に何かとコードがジャマになるからです

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,池袋の東京芸術劇場コンサートホールでNHK交響楽団のコンサートを聴きました.これは「2017 都民芸術フェスティバル」参加公演です プログラムは①ショスタコーヴィチ「バレエ組曲第1番」,②プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調」,③チャイコフスキー「交響曲第4番ヘ短調」です  ②のヴァイオリン独奏は青木尚佳,指揮は高関健です

 

          

 

自席は3階B列52番,センター右ブロック右通路側です.1階席を取りたかったのですが,一般発売開始日には すでにセット券優先発売で売り切れ状態で,仕方なく3階席を取ったものです 会場は文字通り満席です.コンマスはマロこと篠崎史紀です.N響,力が入ってますね

1曲目のショスタコーヴィチ「バレエ組曲第1番」は,彼自身が作曲したバレエ音楽「ボルト」「明るい小川」と「ジャズ・バンドのための組曲」を素材として,6つの曲から成る組曲として作曲したものです 第1曲「叙情的なワルツ」はサーカスで聴いたような気がするメロディーが独特なジャズ風の音楽です 第2曲「舞曲」は弦のピチカートに乗って軽快な音楽が展開します 第3曲「ロマンス」はオーボエ独奏がロマンティックな音楽を奏でます 第4曲「ポルカ」は実に楽しい踊りの音楽です 第5曲「ワルツ・スケルツォ」はワルツのリズムに乗って軽快な音楽が奏でられます 第6曲「ギャロップ」は軽快で華やかな音楽が展開します

プログラムの解説に,この組曲の元となったバレエ音楽「明るい小川」は『共産党の厳しい批判を受けた作品の一つである』と書かれていましたが,この曲で聴く限り,大衆が理解し易い『社会主義レアリズム』に沿った音楽のように思いました ただ,実際にはオリジナル曲がどうなのかを聴いてみないと分かりません

青木尚佳が淡い紫色の衣装で登場,さっそくプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調」の演奏に入ります

この曲は1935年8月16日に完成されましたが,第1番から18年の年月が経っていました 第1楽章「アレグロ・モデラート」,第2楽章「アンダンテ・アッサイ ー アレグレット」,第3楽章「アレグロ・ベン・マルカート」から成ります

青木尚佳の演奏は,とくに高音部が美しく,音が光り輝いていました とくに第2楽章における抒情性に満ちた演奏は 穏やかで美しさに満ちていました

会場溢れんばかりの拍手とブラボーにアンコールで応えました バッハでも演奏するのだろう,と思って耳を傾けていたら,まさかの山田耕筰作曲「この道」(今井正編曲)でした 最初は,ああ綺麗な音だなぁと感心して聴いていたのですが,そのうち超絶技巧になって 並みのヴァイオリニストでは演奏困難なのでは,と思い直しました アンコールの選曲に,青木尚佳というヴァイオリニストのセンスの良さを感じました

 

          

 

休憩後はチャイコフスキー「交響曲第4番ヘ短調」です この曲は,よく知られているように,結婚の破たんなど絶望のどん底にあった頃にチャイコフスキーが作曲したもので,出版された楽譜に,一度も会ったことのないパトロン,フォン・メック夫人に対する献辞が記されています チャイコフスキーはメック夫人に手紙を送っていますが,その中で,この曲の内容について説明しています.それによると,第1楽章の序奏部の冒頭で提示されるファンファーレの旋律は『運命』だということです

第1楽章がホルンの力強い演奏で運命のファンファーレを奏でます 福川伸陽率いるホルン・セクションは充実しています この交響曲は金管楽器が大活躍しますが,とくに第1楽章はホルン,トロンボーンをはじめ全開です

第2楽章は,冒頭オーボエ独奏による寂しげな抒情が奏でられます ウィーン・フィルを聴いたことがない茂木大輔氏ですね 第3楽章はスケルツォです.弦楽器のピチカートと管楽器との対話が聴かれます 第4楽章フィナーレは,絶望から立ち直って前進しようとする人間の姿を現しているかのように,エネルギーに満ちた曲想が展開します N響は総力を挙げてフィナーレになだれ込みます

この日の演奏は定期演奏会ではないので,定期演奏会への集客手段の一環としてアンコールがありました チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」から第2楽章です.管楽器群は第4番で死力を尽くしたのでお休みです こういうところは高関健はよく考えています

今回,”仕方なく”3階席で聴いたのですが,案外3階のこの席もいいな,と再評価しました 何より楽員全員の姿を見ながら演奏を聴くことができるので,誰のどの楽器が鳴っているのかが一目瞭然です さらに,音は上に上がる性質があるので「音のブレンド」を聴くという意味では2階,3階席の方がベターなのです ただし,2階にしても3階にしても,出来るだけセンター寄りの前方の席に限るという条件付きです 次にチケットを購入する時は意識して座席を指定してみようと思います

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鯨統一郎著「オペラ座の美女 女子大生 桜川東子の推理」を読む~君は耐えられるか?オヤジギャグ連発のミステリ

2017年02月01日 13時33分39秒 | 日記

2月1日(火).今日から2月です.「2月は逃げる」と言います 経験から言うと,あっという間に1か月が終わってしまいます 

本日午後,昨年末 NPCを定年退職したE氏の”泊まり込み送別会”のあった熱海から帰京しました

この会に参加したのは主役のE氏のほか,NPC OBのS氏,E氏の部下だった現役のT君,S建設のF氏と私の5人です 午後4時~6時の間に三々五々健保組合の熱海保養所に集合することになっていたので新幹線こだま号で行きました 熱海の保養所に行くのは20年ぶりくらいだったので,まず最初に熱海駅の変貌ぶりに面喰いました 保養所のHPでは駅から700メートルと書いてあったので,楽勝だと思ってHPの略図を頼りに徒歩で歩いたら反対の方向に行ってしまい,迷ってしまいました 結局 駅まで戻りタクシーで行き直したのですが,たったの700メートルが とんでもない山道で,まるで登山です.歩いたら大変なことになるところでした.6時には全員が揃ったので送別夕食会を開きました さんざんビールや日本酒を飲んで舟盛など豪勢な食事を食べて楽しく過ごしました その後,主役がカラオケをやりたいと駄々をこねるのでカラオケルームに移り,われ先にと競い合って歌いました その後は麻雀ルームに移って交替で麻雀です.私は多分3年ぶりくらいです 主役が大勝ちして終了したのは午前2時半を回っていました.よくやるよ

今朝は6時半に起きて風呂に行きましたが,主役のE氏が先に入っていて「日の出だよ」と言うので窓の外を見ると水平線の上に大きな太陽が昇るところでした.風呂にはスマホを持っていかなかったので,部屋に戻ってから写したのが下の写真です ガラス越しに移したので網目模様になってしまったのが残念です

 

          

 

部屋の窓から左の方を見ると蜜柑が成っていて,その隣には梅が咲いていました 熱海は暖かいです

 

          

 

帰りはE氏が車で4人を熱海駅まで送ってくれました 駅で解散し,私は再び新幹線で帰京しました 1泊の遠出は何年振りだろうか?数年前に浜岡の原発を見学に行ったとき以来かも知れません 

ということで,わが家に来てから今日で855日目を迎え,何故か「クラシック音楽鑑賞事典」に興味を持って見ているモコタロです

 

          

          ご主人が「誤った記述もあるし,改訂した方が良い」と言ってたよ

 

  閑話休題  

 

熱海への往復の電車の中で,鯨統一郎著「オペラ座の美女 女子大生 桜川東子の推理」(光文社文庫)を読み終わりました 鯨統一郎は1998年,『邪馬台国はどこですか?』で作家デビューしました この「オペラ座の美女」のような,冴えない三人の中年男と女子大生・桜川東子が酒を片手に未解決事件を語り合うバー・ミステリ シリーズをはじめ,奇作,怪作を書いているようです 私はこの人の作品を読むのは初めてです

 

          

 

オヤジギャグ連発でヒンシュクを買うマスターの島が営み,金曜日限定のアルバイトの阪東いるか(23歳)が働くバー『森へ抜ける道』には,冴えない中年男の山内と工藤,そして馴染みの才媛・桜川東子が常連客としてやってくる そこで,オペラを題材とした5つの未解決事件が話題になり,バーに集うメンバーが推理を競い合う.事件は殺し方によって5つのタイトルが付けられている それは①カルメンと殴殺,②椿姫と毒殺,③蝶々夫人と刺殺,④フィガロの結婚と悩殺,⑤サロメと絞殺というもの.これらのタイトルは,それぞれの事件が有名なオペラの中で起こる事件と似ていることから付けられたもの そして,これらの事件の謎を解くのは聖シルビア女学院大学院生の桜川東子という設定です

この作品は,オペラに因んだ事件の謎解きよりも,3人の中年男によるレコード大賞を中心とする昭和歌謡史に関する雑談やビールをはじめとするお酒に関する蘊蓄の方がウエートが高いのではないかと思います

オペラと昭和歌謡という話題では次のような会話が交わされます

「大作曲家にはあだ名があるでしょ?」

「そうなんだ」

「楽聖といえば?」

「舟木一夫」

学生と間違えていることは明白だ.

「楽聖といえば音楽の神,すなわちベートーヴェン」

「ああ,あの人か」

「神童といえば?」

「恵美」

「新藤恵美.『美しきチャレンジャー』」

「神童はモーツアルトよ.それと同じようにオペラ王といえばヴァルディなの」

・・・・どうですか,こいうの ついて行けますか   これはほんの一例ですよ

また,お酒の話に関しては,例えば次のような蘊蓄が披露されます

「醸造酒は一次的な酒で,アルコール度数は低い.その度数を高めるために,熱して蒸気にして,それをまた冷やして液体にして造った酒が蒸留酒だ 麦から作られる醸造酒がビールで,蒸留酒がウィスキーだ.ブドウから作る醸造酒がワインで,蒸留酒がブランデー.米から作る醸造酒が日本酒で,蒸留酒が米焼酎と,簡単に言えばこうなる

この作者は相当お酒が好きなようです.まともな知識の披露です

この手の本は1冊読めばいいや,と思うのですが,また買うんだろうな病みつきになって

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