10日(金).昨日の日経朝刊第1面コラム「春秋」を見て「おやっ?」と思いました 冒頭,次のように書かれていたのです
「少年易老学難成/一寸光陰不可軽.日本で広く知られた漢詩のでだしである 『少年老い易く学なりがたし/一寸の光陰かろんずべからず』と読み下せば,わかりやすいかもしれない 若いうちは,わずかなときも惜しんで勉強しなさいー もっともな趣旨である 宋の時代に儒教の中興をなしたとされる朱子の『偶成』という詩である,と習ったおぼえがある・・・が,専門家の考証が進んだ結果,室町時代の日本の禅僧がつくった,との見方が強まっているそうである 専門家の研究によれば,明治政府が検定した中学生向けの漢文の教科書がはじまりだった,とのこと」
私もてっきり朱子の言葉だとばかり思っていましたが,趣旨が違ったようです 教育的見地から言えば,種子が芽吹いて花を咲かせるまでは,わずかな時も惜しんではいけない,ということなのでしょう
ということで,わが家に来てから今日で864日目を迎え,トイレ個室の空き状況がドアのセンサーを利用したネットで分かるシステムが開発されているというニュースを見て感想を述べるモコタロです
「トイレで神(紙)に見放されたら 自分で運(ウン〇)をつかめ」という格言があったね・・・水に流して!
閑話休題
東京芸術劇場主催の「芸劇ブランチコンサート」のチケットを買いました 4月26日(水),6月28日(水),8月30日(水)の3公演で,毎回午前11時開演です 各回全席指定2,200円です
4月26日は「ヴィオラに恋して」というテーマで,①エルガー「愛の挨拶」,②シューマン「おとぎの絵本」,「おとぎ話」,③チャイコフスキー「メロディー」,④ドビュッシー「夢」が演奏されます
6月28日は「バッハに心酔」というテーマで,①管弦楽組曲第2番,②ブランデンブルク協奏曲第5番が演奏されます
8月30日は「清水和音リサイタル~ピアノ小品 名曲大全集」と題して,①ラフマニノフ「鐘」,②チャイコフスキー「感傷的なワルツ」,③メンデルスゾーン「春の歌」,④ショパン「幻想即興曲」,⑤ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」,⑥プロコフィエフ「3つのオレンジへの恋」より行進曲,⑦スクリャービン「詩曲」,⑧リスト「超絶技巧練習曲第11番『夕べの調べ』」が演奏されます
演奏は,ピアノ=清水和音,ヴィオラ=佐々木亮,クラリネット=伊藤圭,フルート=竹山愛,ヴァイオリン=大江馨,藤江扶紀,チェロ=富岡廉太郎,コントラバス=西山真二です
も一度,閑話休題
昨日,神楽坂のギンレイホールで「めぐりあう日」と「アスファルト」の2本立てを観ました 「めぐりあう日」はウニー・ルコント監督による2015年製作のフランス映画(104分)です
生みの親を知らずに育った理学療法士のエリザは,実の母親を探すため自分が生まれた街フランスのダンケルクに8歳の息子と一緒に移り住む 運命の糸が引き合ったのか,ある日,息子が通う学校で働く中年女性のアネットが患者として治療室に患者としてやってくる.彼女こそエリザの実母だったが,そうとは知らずに施術を繰り返し,アネットも実の娘と知らずに施術を受ける そして治療を通じて不思議な親密感を覚えていき,エリザが幼少時に預けられていた施設の情報を通じてお互いを知ることになる
自分の出生の秘密を確かめるため引っ越しまでするエリザですが,30年の歳月を経てやっと再会を果たします.二人がお互いに親子であることを認識して対峙するシーンは,よくある”お涙頂戴”的なものでなく,良かったと思います
また,映画の本筋とは関係ありませんが,「地球の引力と人間の肉体的な老い」を考えました
最後の,閑話休題
「アスファルト」はサミュエル・ベンシェトリ監督による2015年製作のフランス映画(100分)です
フランス郊外のとある古いアパートに住んでいる,冴えない中年男,母親が留守がちな鍵っ子ティーンエイジャー,落ちぶれた女優,服役中の息子を持つアルジェリア系移民の女性,彼らにそれぞれ思いがけない出来事が待っていた
中年男は自業自得の結果,腰を痛めて車椅子生活になったが,深夜に食料を調達するために外出した際,病院の裏で夜勤の看護師と出逢う 何とか近づきたい彼は,自分は写真家だと偽って彼女に接近し,彼女を映したいと頼み込む
ティーンエイジャーは,同じ階に住む落ちぶれた女優が,エレベーターが閉まらない時や鍵を部屋の中に置いたまま外出したため中に入れない時など,何かと彼女の力になる そして,再び女優として復帰できるチャンスが巡ってきたとき,彼は彼女を励まし,力を貸す
ある日,空からロケットのカプセルが降ってきてアパートの屋上に不時着し,中からNASAの宇宙飛行士が出て来た 彼は着陸すべき場所を間違えたのではないかと,電話を借りにアルジェリア系移民の女性の部屋を訪れる そして今いる場所がアメリカではなくフランスだと分かり愕然とし,すぐに迎えを寄こすよう要求する.しかし,NASAは2,3日待って欲しいと言ってくる 彼は仕方なく彼女の家に居候して待つことにするが,その間,お互いに言葉が通じない女性から手料理を振る舞ってもらうなど親切にしてもらう
宇宙船の中の無重力シーンではヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」が微かに流れていましたが,明らかにスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」のパロディです
この映画を観て思うのは,フランス映画らしい”エスプリ”です そこはかとないユーモア精神と言えば良いでしょうか.一番「いいなあ」と思ったのはアルジェリア系移民のマダム・ハミダを演じたタサディット・マンディです いかにも人の良さそうな おばちゃん を演じていて,良心さえあれば言葉が通じなくても世界中の誰とでも分かり合えることを信じさせてくれます この映画は2015年カンヌ国際映画祭特別上映作品です