人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

五百旗頭幸男・砂沢智史監督「はりぼて」を観る ~ 自民党会派の富山市議の不正を告発したチューリップテレビの記者たちの活動を追う:ユーロスペース / ミニシアター 映画の多様性を支える

2020年09月22日 07時15分38秒 | 日記

22日(火・祝)。昨日の朝日朝刊「文化の扉」コーナーに「豊潤なるミニシアター 映画の多様性支え 作り手も育む文化拠点」という見出しが躍っていました 記事を超訳すると、

「小さな映画館『ミニシアター』。新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされたが、数多くの映画人や映画ファンが支援に名乗りを上げ、その価値が見直されている 政府に支援を求める要望書を出した『SAVE  the CINEMA』に9万1659筆の署名が、クラウドファンディングによる『ミニシアター・エイド基金』には約3万人から3億3千万円を超える資金が集まり、各地のミニシアターに分配された ミニシアターとは、大手映画会社の影響下にない独立した経営を行い、『単館系』『アート系』と呼ばれる作品を中心に上映する小規模映画館である 2019年末で全国に127館があり、昨年公開された1091本のうち半数が、ミニシアターのみで公開された 日本でのはじまりは、1974年に東京の『岩波ホール』が始めた、知られざる名画を上映する『エキプ・ド・シネマ』運動とされる 映画史に詳しい日本大学の古賀太教授は『作品の多様性や、ネットの動画配信にはないライブ感を生かして 個性的な映画館は生き残ってきた   《ミニシアターは社会に必要だ》というコロナ禍で生まれた認識を、今後につなげていく必要がある』と話す

私が足しげく通っている「ギンレイホール」「早稲田松竹」「新文芸坐」も典型的なミニシアターです

このコーナーでは全国各地の有名なミニシアターを5館ほど紹介していますが、東京からは1982年に渋谷初のミニシアターとして開館し、若者文化の発信地としてミニシアターブームをリードした「ユーロスペース」を取り上げています 昨日「はりぼて」を観ました。下にご紹介します

ということで、わが家に来てから今日で2182日目を迎え、ギンズバーグ米連邦最高裁判事の死去を受けた後任の選定を遅滞なく行うトランプ大統領の方針について、与党共和党のコリンズ上院議員が反対したのに続いて、同党のマカウスキ上院議員は、2016年にオバマ前大統領が指名した最高裁判事候補の承認を、当時上院を支配していた共和党が「次期政権まで待つべきだ」と拒否したことに言及し、「われわれは2か月足らずで大統領選を迎える。同じ基準を適用する必要がある」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     共和党にも良心のある議員がいることが分かった  次はロムニー上院議員と誰だ?

 

         

 

昨日、夕食に「豚しゃぶ」「生野菜サラダ」「冷奴」を作りました ヘルシーメニューで統一しました

 

     

 

         

 

昨日、渋谷のユーロスペースで五百旗頭幸男・砂沢智史監督による2020年製作映画「はりぼて」(100分)を観ました

この映画は、保守王国・富山県の小さなテレビ局「チューリップテレビ」の追及により、市議会議員14人がドミノ辞職し、報道によって議員たちの狡猾さと滑稽さを丸裸にさせたドキュメンタリーです

富山県は、有権者に占める自民党員の割合が10年連続日本一という保守王国である 2016年8月、平成に開局した若いローカル局「チューリップテレビ」のニュース番組が「自民党会派の富山市議   政治活動費事実と異なる報告」というスクープを報道した この市議は”富山市議会のドン”と言われていた自民党の重鎮で、その後、自らの不正を認め議員辞職した これを皮切りに議員たちの不正が次々と発覚し、半年の間に14人の議員が辞職していった その反省をもとに、富山市議会は政務活動費の使い方について「全国一厳しい」と言われる条例を制定したが、3年半が経過した2020年、その後不正が発覚した議員たちは辞職せず居座るようになっていった 記者たちは議員たちを取材するにつれ、政治家の非常識な姿勢や滑稽さ、まるで「はりぼて」を目の当たりにしていく しかし、「はりぼて」は記者たちのすぐそばにもあった

 

     

 

五百旗頭幸男、砂沢智史の二人の記者は情報公開制度を利用し、関係方面への取材を通して、各議員の政務活動費の領収書の裏にある”実態”を突き止め、事実関係に関する疑問を議員に投げかけることによって、その不正を暴いていきます この地道な「調査報道」こそジャーナリズムに欠かせないもので、「チューリップテレビ」はこのスクープにより「日本記者クラブ賞特別賞」「ギャラクシー賞報道活動部門大賞」「菊池寛賞」を受賞しています   

それにしても、市議会のドンを皮切りに、次から次へと不正が発覚し謝罪会見で頭を下げるにとどまらず、市議会の議長に選ばれた議員も次々に不正が発覚し議長を降りて交代するといった事実を見せつけられると、もう笑うしかありません これがブラックコメディでなくて何なのかと言いたくなります 日本の政界の縮図を見るような思いがします

市議会議員の不正追及に終わっていれば、単なるスクープの自慢話に終わっているところですが、この映画の凄いところはカメラを自らの「チューリップテレビ」に向けているところです

あの事件以後、五百旗頭記者は社内異動により記者職を離れ事務職(社長室)に移ることになり、砂沢記者は「あれ以降、会社は自分が思っていたのと違った方向に行こうとしている それが残念だ。残った人達には頑張ってほしい」と涙ながらに語り、退職の挨拶をするのです

これを観ている我々は、「ある方面から圧力がかかって、あの優秀な二人の記者は報道の現場から外されたんだろうな」と推測することになります あの二人だったら、どこに行っても通用すると思いますが、本人たちにとっては不本意でしょう ただ、「チューリップテレビ」は会社が新しいだけに若い社員が圧倒的に多いので、2度目の日本記者クラブ特別賞を目指して 社員の皆さんの奮起を期待したいと思います


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