20日(金).「バッハ・コレギウム・ジャパン」から次年度会費請求書が届いたので,さっそくB席:26,500円を銀行から振り込みました
ということで,わが家に来てから今日で1115日目を迎え,衆院選の各党公約で,「改革」や「革命」といった言葉がちょっとした流行になっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ぼくの場合は身体のあちこちが痒い!「痒い掻く」「掻くめい」のせめぎ合いだ
昨日,夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました 「ハッシュドビーフ」は玉ねぎを炒める前に5分間レンジでチンするのがコツです
昨夕,サントリーホール「ブルーローズ」でクァルテット・エクセルシオの「弦楽四重奏の旅 第5回『北の国から』」を聴きました プログラムは①ディーリアス「弦楽四重奏曲第2番”去りゆくツバメ”」,②グリーグ「弦楽四重奏曲ト短調」,③チャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番ニ長調」です
全自由席です.ちょっと早めに会場に着いたので,センターブロック最前列の右端の席を押さえました 会場は後方の席の空きが目立ちます.もったいないです
1曲目はフレデリック・ディーリアスの「弦楽四重奏曲第2番『去り行くツバメ』」です ディーリアス(1862-1934)は両親がドイツ人でイギリス生まれの作曲家です
この曲は1916年11月の初演時には全3楽章だったのを,翌17年にスケルツォを加えた全4楽章としたうえ,「去り行くツバメ」の楽章も改訂されています
第1楽章「動きをもって」,第2楽章「速く軽やかに」,第3楽章「『去り行くツバメ』ゆっくり,物思いに沈むように」,第4楽章「とても速く,溌剌と」の4楽章から成ります
エクセルシオの4人が登場します.女性3人は濃緑色の衣装で統一しています この3人は春はピンク系,夏はブルー系といった具合に衣装で季節を演出します
常設の弦楽四重奏団ならではの粋な演出です
第3楽章「去り行くツバメ」を中心に全曲を通して聴いて感じるのは,どこか懐かしいような感覚です ディーリアスの音楽は日本人の感性に合っているのではないか,と思います
私はディーリアスが好きで,LP時代にビーチャム等の指揮で「ブリッグの定期市」「丘を越えて遥かに」「春初めてカッコーを聴いて」「川の上の夏の夜」などを良く聴いていました(下の写真はCDです).その頃そのように感じたのですが,今回あらためてディーリアスを聴いてその感を強くしました
2曲目はエドヴァ―ル・グリーグの「弦楽四重奏曲ト短調」です グリーグ(1843-1907)は周知の通りノルウェー出身の作曲家ですが,今年が没後110周年に当たります
この曲は1877年に作曲に着手,翌78年に完成しました.第1楽章「ウン・ポコ・アンダンテ~アレグロ・モルト・エド・アジタート」,第2楽章「ロマンツェ:アンダンティーノ~アレグロ・アジタート」,第3楽章「インテルメッツォ:アレグロ・モルト・マルカート~アレグロ・アジタート」,第4楽章「フィナーレ:レント~プレスト・アル・サルタレロ」の4楽章から成ります
この曲は,予習しようと思ってCDを探したのですが,例によって 見つからなかったので,ほとんど初めてに等しい状態で聴きました
第1楽章の冒頭から衝撃的な音楽で,思わずグリーグの世界に引き込まれます 冒頭の音楽で聴く者の心を掴むという意味では,彼の「ピアノ協奏曲イ短調」に似ています
しかし,そのままでは終わらず,情緒豊かな旋律が展開します
第2楽章を経て,第3楽章では,中間部で舞曲風のリズミカルな音楽が展開しますが,緊張感が続く中でほっと一息つく場面です
第4楽章では速いテンポによるサルタレロ舞曲(民族舞曲)が疾走します
第1ヴァイオリンの西野ゆかさんはじめ4人はエネルギッシュな演奏を展開します
プログラム後半は,チャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番ニ長調」です ピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)は3つの弦楽四重奏曲を作曲していますが,これは作曲者が30歳の時,1871年3月の自作演奏会のために短期間で完成させた曲です
第1楽章「モデラート・エ・センプリーチェ」,第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」,第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ノン・タント」,第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ジュスト」の4楽章から成ります
第2楽章の「アンダンテ・カンタービレ」はもちろんのこと,全体を通して感じるのは「チャイコフスキーは稀代のメロディー・メーカーだな」ということです
交響曲でも協奏曲でもバレエ音楽でも,そしてこの弦楽四重奏曲でも,どの曲も美しいメロディーに満ちています
西野ゆかさんのリードで進めますが,この4人のアンサンブルは完璧です
常設の弦楽四重奏団の良い面がすべて生かされています
この4人の演奏で聴くと,次も是非聴いてみたいと思います
この曲を聴くに当たってエマーソン弦楽四重奏団によるCDで予習したのですが,第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ジェスト」の曲想が,どこかで聴き憶えがあり,記憶を辿ってみたらベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲のどれかに似ていることに気が付きました
そこでイタリア弦楽四重奏団によるベートーヴェン「弦楽四重奏曲全集」のCDで,「第13番変ロ長調」から「第16番ヘ長調」までを片っ端から聴いていきました すると,最後の最後,第16番の第4楽章「グラーヴェ,マ・ノン・トロッポ・トラット~アレグロ」であることが分かりました
ベートーヴェン以降,彼の影響を受けなかった作曲家は一人もいないということを考えると,チャイコフスキーもベートーヴェンの第16番を聴いて,そのメロディーが頭の中にあったのかも知れません
音楽評論家の山野雄大氏の「プログラム・ノート」によると,文豪ツルゲーネフも演奏会に来てチャイコフスキーの才能に賛辞を寄せたが,遅参のため弦楽四重奏曲の演奏には間に合わなかったそうです また1876年に 文豪トルストイが「アンダンテ・カンタービレ」を涙ながらに聴いた,という思い出をチャイコフスキーは誇りとして抱き続けたとのことです
芸術はジャンルを超える,ということでしょうか
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