28日(月)。わが家に来てから今日で1578日目を迎え、メキシコ国境の壁の建設をめぐる与野党の対立で1か月以上続いた米政府機関の一部閉鎖は、トランプ大統領が折れる形で一時解除された というニュースを見て感想を述べるモコタロです
政権支持率が過去最低レヴェルになって やっと自分のバカさ加減に気が付いたか
4月6日(土)午後2時から国立科学博物館「日本館講堂」で開かれるミュージアム・コンサート「N響メンバーによる室内楽」のチケットを取りました プログラムは①モーツアルト「オーボエ協奏曲K.370」、②同「アダージョ」、③ブリテン「幻想曲」、④ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第1番」、⑤同「弦楽四重奏曲第8番」です 演奏はヴァイオリン=大林修子、大宮臨太郎、ヴィオラ=山内俊輔、オーボエ=池田昭子です。昨年のメンバーから総入れ替えになっています
昨日、初台の新国立劇場・オペラパレスでワーグナー「タンホイザー」を観ました 出演は、タンホイザー=トルステン・ケール、領主ヘルマン=妻屋秀和、エリーザベト=リエネ・キンチャ、ヴェーヌス=アレクサンドラ・ペーターザマー、ヴォルフラム=ローマン・トレーケル、ヴァルター=鈴木准、ビーテロルフ=萩原潤、ハインリヒ=与儀巧、ラインマル=大塚博章、牧童=吉原圭子、合唱=新国立劇場合唱団、バレエ=新国立劇場バレエ団、管弦楽=東京交響楽団、指揮=アッシャー・フィッシュ、演出=ハンス=ペーター・レーマンです
このオペラはリヒャルト・ワーグナー(1813‐1883)がドレスデンの宮廷楽長に就任した直後に手掛けられ、1845年の春に完成しました 全3幕から成り、13世紀初頭のドイツ・アイゼナッハのヴァルトブルグ城を背景とする、騎士タンホイザーと、彼を愛する城主の娘エリザベートとの悲恋物語で、愛の神ヴェーヌスの誘惑から脱しきれずに悩むタンホイザーの精神的葛藤を浮き彫りにしながら愛欲と肉欲との激しい闘争を描いています
騎士タンホイザーは愛欲の女神ヴェーヌスの虜となるが、やがてこの歓楽の日々に飽きて、彼を愛する清らかな乙女エリーザベトが待つ人間世界に戻る 温かく迎えられたものの、城で開催された歌合戦に参加した時、ヴェーヌスを讃える歌を歌ってしまう この大罪への赦しを得るためローマ法王のもとへ懺悔の旅に出るが、赦しが叶わず絶望し、再び官能の愛に陥りそうになる しかし、エリーザベトは自らの命を犠牲に彼の罪を償い、救済されたタンホイザーも息絶える
私が新国立オペラの「タンホイザー」を観るのは2007年10月、2013年1月に次いで今回が3度目です 演出はいずれもハンス・ペーター・レーマンです
イスラエル出身のアッシャー・フィッシュがオーケストラ・ピットの指揮台に上がり、さっそく有名な「序曲」の演奏に入ります この序曲の冒頭はホルンの静かな演奏から始まりますが、残念ながら揃いませんでした 金管楽器の中ではホルンが最も音出しが難しいと言われていますが、全曲の冒頭箇所だけに残念でした この窮地を救ったのは、序曲に続き第1幕冒頭で踊られたバレエによるバッカナール(バッコスの饗宴)」でした 新国立バレエ団によるバレエは美しく統率が取れ、やや抑制された官能的な世界を表出していました
タンホイザーを歌ったトルステン・ケールはドイツ生まれですが、元々はオケで首席オーボエ奏者を務めていたという変わり種です 文字通り英雄的な力強さを持ったヘルデンテノールで、高音が良く伸びます 余談ですが、いつどこだったか忘れましたが、「ヘルデンテノール」のことを「ヘンデルテノール」と書いてあったのを見て、「どこか変デル!?」と思ったことがあります
領主ヘルマンを歌った妻屋秀和は新国立オペラの常連バス歌手で、今やなくてはならない存在になっている感があります 背丈のある堂々たる体格なので演技も映えます
ヴォルフラムを歌ったローマン・トレーケルはドイツ生まれのバリトンですが、深みのある歌唱に魅力があるほか、演技力が優れていると思いました 第3幕冒頭はヴォルフラムとエリーザベトがローマから巡礼の一行が戻ってくるのを待っている場面です。エリーザベトが「自分が犠牲になるからタンホイザーを救済してほしい」と聖母マリアに祈りを捧げるのを、ヴォルフラムは少し離れたところから見ています。その時のトレーケルの暗い表情やちょっとした仕草を見ると、「自分もエリーザベトを愛しているが、彼女は心底からタンホイザーを愛している。何ともやるせない」という気持ちがひしひしと伝わってきます そのあとで有名な「夕星の歌」を歌い上げます マリア・カラスが史上最高のソプラノと言われたのは、抜群の歌唱力に加えて、演技力(とくに歌っていない時の演技力)だったというのをどこかで読んだ記憶があります そういう意味では、トレーケルは素質があるかも知れません
女声陣で真っ先に挙げたいのは女神ヴェーヌスを歌ったアレクサンドラ・ペーターザマーです ドイツ生まれのメゾ・ソプラノですが、タンホイザーを誘惑するのに相応しい魅惑的な容姿で、まさに”歓楽の女神”を感じさせます 言うまでもなく声量もあり歌唱力は抜群です 私だったら、人間界に戻らないでずっとヴェーヌスのところにいるでしょう
エリーザベトを歌ったリエネ・キンチャはラトヴィア生まれのソプラノですが、ただ声が美しいというだけでなく、強靭な歌唱力を持ち合わせています
第2幕における歌合戦での ヴァルター役の鈴木准、ビーテロルフ役の萩原潤、ハインリヒ役の与儀巧、ラインマル役の大塚博章の歌唱も、短いながら聴きどころでした また、第1幕で牧童を歌った吉原圭子は小柄なので役がピッタリで、透明感のある美しい歌唱が魅力的でした
特筆すべきは新国立劇場合唱団のコーラスです とくに第2幕の冒頭、トランペットの華やかな演奏に導かれて歌われる歌合戦のための「入場の合唱」は背筋が寒くなるほど感動的でした これは99年からバイロイト音楽祭で合唱指導を手掛けている三澤洋史氏の指導の賜物です
ワーグナーのオペラで、女性の自己犠牲によって男性が救済されるというストーリーは「タンホイザー」に限ったことではありませんが、それにしても何か変だな?と思うのは、最後は「救済される」と言いながら、自己犠牲になったエリーザベトにしても、彼女の自己犠牲によって救済されたはずのタンホイザーにしても、結局死んでしまうのだから、だれも救済されていないのではないか、ということです まあ、身体は死んでも魂が天に召されることを救済と呼ぶのであれば話は分かりますが
「それにしても・・・」と思うのは、ワーグナーはヴェーゼンドンク夫人に手を出したり、指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻コジマ(リストの娘)を横取りしたりと、私生活上は随分な男でした 「何が女性の自己犠牲だ」「何が愛による救済だ」と言いたくなります。しかし、ワーグナーにとっては、すべては”芸術を高めるため”の行為なのでしょう。ワーグナーは毒です
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