人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」第3日目(5月5日)のレポート

2016年05月06日 08時37分55秒 | 日記

6日(金)。わが家に来てから586日目を迎え、背中に重い人生を背負ってしまったモコタロです

 

          

             おい これ 人生じゃないだろう ただのぬいぐるみだろうが どけてくれ!

 

  閑話休題  

 

昨日は東京国際フォーラムで開かれた「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016」の第3日目=最終日でした この日は5公演聴きました

 

          

 

          

 

          

 

最初に聴いたのは12時15分から「ホールA」で開かれた「モーツアルトと自然~名手が奏でる春の協奏曲」(公演番号312)です プログラムは①モーツアルト「セレナード第13番ト長調K525”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”」、②同「ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K595」です 演奏は、ピアノ=小林愛美、リオ・クォクマン指揮シンフォ二ア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は1階36列51番、右ブロック左通路側です。シンフォニア・ヴァルソヴィアのうち弦楽セクションのみ23人が配置に着きます マカオ出身の指揮者リオ・クォクマンのタクトで1曲目のモーツアルト「セレナード第13番ト長調”アイネ・クライネ・ナハトムジーク”」が開始されます 曲名の「アイネ・クライネ~」は「一つの小さな夜曲」という意味で、夜曲だから「あのね、暗いね~」ではありません この作品はモーツアルトの代名詞的な超有名曲ですが、実はどういう目的で書かれたのか不明です

若き指揮者クォクマンは軽快なテンポで音楽を進めます。モーツアルトはテンポが命です

弦楽器が拡大し、管楽器が加わり、ピアノがセンターに移動して、2曲目のモーツアルトの最後のピアノ協奏曲=第27番K595の演奏に備えます。ピアノ独奏は現在、フィラデルフィアのカーティス音楽院でマンチェ・リュウ教授のもとで研鑽を積む小林愛実(あいみ)です

空色の明るい衣装で登場した小林愛実がピアノに向かいます。クォクマンのタクトで第1楽章が開始されますが、ピアノはなかなか出てきません モーツアルトのピアノ協奏曲におけるピアノは”女王”的な存在なので、そうやすやすとは登場しません。一通りオケが序奏で地ならししてから、おもむろに登場します

小林のピアノは優しいタッチです。「曲がそういう曲想だから」と言えばその通りかも知れませんが、とにかくソフトなタッチで演奏します 一音一音の粒立ちがきれいです とくに第2楽章「ラルゲット」でその特徴が現れました。第3楽章は歌曲「春への憧れK596」と同じメロディーによるテーマが展開します この曲はモーツアルトの死の年の1月に書かれましたが、そこには死の影はまったく見えません。極めて純度の高い音楽です。小林愛実はそうしたことを意識してか、淡々と弾いていきます 素直な良い演奏でした

会場いっぱいの拍手に、得意のショパン「ノクターン第20番嬰ハ短調”遺作”」をアンコールに演奏し、拍手喝さいを浴びました 会場では老若男女を問わず様々な人が聴いていましたが、これを機会にクラシック人口が増え、ひいてはコンサートの入場料が少しでも下がればいいな、と思います

   

          

 

2番目に聴いたのは13時45分から「ホールC」で開かれた「ナチュールの旅~ローマからアンダルシアへ」(公演番号343)です プログラムは①ファリャ「バレエ音楽”三角帽子 第1組曲」、②同「同 第2組曲」、③レスピーギ「鳥」から「かっこう」、④同「交響詩”ローマの松”」です 演奏は田中延亮指揮桐朋学園オーケストラです

 

          

 

自席は1階16列15番、左ブロック右通路側です。学生たちが舞台に登場し、配置に着きます。弦楽器を中心に圧倒的に女性が多いオケです。コンマスも女性です

指揮をとる中田延亮(のぶあき)は京都生まれで、筑波大学医学専門群在学中に桐朋学園ソリスト・ディプロマコースに入学しコントラバスを専攻する傍ら、指揮も学び、欧州に渡り巨匠ジャン・フルネの最晩年の生徒として師事をしたという変わった経歴の持ち主です

1曲目はファリャ「バレエ音楽『三角帽子』第1、第2組曲」ですが、「三角帽子」は1919年の作品で、ストーリーは「粉屋の女房に横恋慕した代官が、散々な目に遭わされる」というものです。ティンパ二の連打で始まりますが、いかにもスペイン色豊かな音楽が展開します

次にレスピーギ「鳥」から第5曲「かっこう」が演奏されます。管楽器だけでなく弦楽器も「かっこう」の鳴きまねします

最後はレスピーギの交響詩「ローマの松」です。「ローマの松」で思い出したのが数日前の朝日朝刊の4コマ漫画「ののちゃん」です。こんな内容でした

藤原先生: 名曲鑑賞はモーツアルトの『リンツ』とかいうシンフォニーを聴きます。

男子生徒: 『とか』って言っちゃっても 感じ悪くないかなぁ。

ののちゃん: 藤原先生なら平気だよ。

女子生徒: 先生、これレスピーギの『ローマの松』です。

藤原先生: あら、ローマに松があるのね。

女子生徒: そっち!

さて、この曲は「ボルゲーゼ荘の松」「カタコンブ付近の松」「ジャ二コロの松」「アッピア街道の松」の4曲から成りますが、切れ目なく演奏されます

最初の「ボルゲーゼ荘の松」冒頭の演奏を聴いて、「凄いな」と驚きました。これが学生オケの音だろうか と。色彩感豊かで力強い演奏です それは第2曲目以降も同じで、弦も管も並々ならぬ実力の持ち主の集まりだと感じます 最後の「アッピア街道の松」の終盤で、指揮者の中田はトランペットとトロンボーン奏者を立たせて演奏させました 最後の音が鳴り終わった時、会場のあちこちからブラボーがかかりました。はっきり言ってプロ顔負けの演奏でした。桐朋学園恐るべし

 

          

 

3番目に聴いたのは15時30分から「ホールC」で開かれた「四季を巡る旅~18世紀ヴェネツィアの超名曲」(公演番号344)です プログラムはヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲集”四季”」。演奏はヴァイオリン独奏と指揮=アンナ・マリア・スタシキェヴィチ、オケはポーランド室内管弦楽団です

自席は3階5列13番。人気曲だけに3階しか取れませんでした ポーランド室内管弦楽団のメンバーが舞台に登場します。よく見ると、シンフォニア・ヴァルソヴィアの何人かが混じっているような気がします ヴァルソヴィアのメンバーで室内オケを組んでいるのか、まったく別の団体なのか不明ですが、同じポーランドのオケなので人の貸し借りがあるのかも知れません

コンマス(兼指揮者)のアンナ・マリア・スタシキェヴィチ(長いので以下アンナ)が濃緑のステージ衣装で登場、16人のメンバーを統率します

アンナは ヴァイオリン・ソロの部分ではかなり思い入れたっぷりに弾きます ヴィヴァルディの「四季」は4つの楽章に、それぞれ春・夏・秋・冬を表すソネット(詩)が添えられていますが、アンナはその詩のイメージを頭に入れたうえで演奏しているように感じます

「秋」の演奏中、3階(?)右サイドの方で赤ん坊の泣き声が聴こえました ステージ上の演奏者にも聴こえているようで、楽員が客席を見上げていました。この公演は3歳以上が対象者なので、明らかに約束違反です。約束は守ってほしいと思います

何とか無事に演奏が終わり、ソリスト兼指揮を担当したアンナに大きな拍手が送られました 生演奏で聴いて、あらためてヴィヴァルディの「四季」は名曲だな、と再認識しました

終演後、地下のホールE(旧・展示場)に行ってみたら、4日の公演の出演者のサイン入り色紙が飾られていました

 

          

 

          

 

          

 

ホールEでは曽我大介指揮アマデウス・ソサエティー管弦楽団によるキヨスクコンサートが開かれていて、「スターウォーズ」の音楽を演奏していました

 

          

 

          

 

          

 

次いで、4番目に聴いたのは17時30分から「ホールD7」で開かれたピアノ・デュオによる公演(公演番号355)です プログラムは①シューベルト「アレグロ イ短調”人生の嵐”」、②ストラヴィンスキー「バレエ”春の祭典”」(2台ピアノ版) 演奏はピアノ=フランク・ブラレイ、ダヴィッド・カドゥシュです

ホールD7で聴くのは初めてです。抽選で当選した221人の人が入場することが出来ます 会場に入った第一印象は「まるで倉庫みたい」でした。高い天井で、客席が階段状になっています。どちらかと言うと、演劇の劇場のような感じと言えば良いでしょうか 自席は何と最前列の左から2つ目(X1-2)です。こんなに演奏者に近い席で聴くのはL.F.Jのこの11年間で初めてです

フランク・ブラレイはパリ国立音楽院出身、1991年にエリーザベト王妃国際音楽コンクールで優勝し世界的に活躍しています 一方、ダヴィッド・カドゥシュもパリ国立音楽院の出身で、室内楽等で活躍しています 二人の共通点は髭男であることです

1曲目のシューベルト「アレグロ イ短調『人生の嵐』」は、作曲者の死の年に書かれたましたが、タイトルは後に出版社によって付けられました

1台のピアノで、ブラレイが右、カドゥシュが左に座り連弾します 「人生の嵐」とは良くも付けたタイトルで、まさに心に吹き荒れる嵐のような曲想が展開します シューベルト特有の、同じ旋律が繰り返し演奏され悲劇をダメ押しします

2曲目はストラヴィンスキー「バレエ”春の祭典”」(2台ピアノ版)です。今度は向かい合わせの2台のピアノで演奏されます。向かって左にカドゥシュ、右にブラレイがスタンバイします

最前列でカドゥシュの指使いを見ることが出来る幸運に浴しましたが、圧倒的なテクニックで、自由自在でした 見ていると、強奏よりも弱奏の方が難しいのではないか、と素人目に感じます

身近で聴けたこともあり、圧倒的な迫力の演奏を楽しむことが出来ました

 

          

 

5番目(最後)に聴いたのは19時から「ホールC」で開かれた「夜の神秘~激しく官能的な後期ロマン派・夜の音楽」(公演番号346)です プログラムは①スメタナ「交響詩”モルダウ”」、②同「交響詩”ボヘミアの森と草原から”」、③シマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」です 演奏は、ヴァイオリン=アンナ・マリア・スタシキェヴィチ、バード・シンガー(鳥のさえずり)=ジョニー・ラス、ジャン・プコー、ロベルト・トレヴィーノ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は1階22列34番、右ブロックの真ん中です。開演時間になりオケがスタンバイして会場が暗転します。すると、二人の黒服の男が左右の通路に現れ、鳥の鳴き声で会話を始めました 「ああ、これがバード・シンガーの二人か」と納得しました 鳥の鳴き声にそっくりです。大きな拍手に送られて舞台袖に引き上げていきました

ルネ・マルタン氏お薦めの指揮者トレヴィーノが登場し、さっそく1曲目「モルダウ」、次いで2曲目「ボヘミアの森と草原から」を演奏します トレヴィーノは現在シンシナティ交響楽団のアソシエート・コンダクターですが、アメリカ出身の指揮者らしく、オケを良く歌わせ大きく響かせます

3曲目は、ヴィヴァルディの「四季」でソリストを務め好評を博したアンナ・マリア・スタシキェヴィチが再びソリストを務めます 演奏するのはシマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」です。同郷の詩人ミチンスキの詩「5月の夜」に触発されて作曲した単一楽章の曲です

トレヴィーノの指揮で第1楽章が開始されます。オケの奏でる音楽はまさに”現代音楽”ですが、ヴァイオリン・ソロが出てきてメロディーを弾くと、ロマンを感じます 独奏ヴァイオリンは相当技巧を要する曲想です。アンナは第5回シマノフスキ国際コンクール優勝者としての実力を思う存分に発揮し、聴衆のみならず、楽員からも大きな拍手とブラボーを受けていました

 

          

 

今年のL.F.J音楽祭は今月末に伊勢志摩サミットを控えていることもあり、テロ警戒のため、会場のあちこちで制服ガードマンがパトロールする姿が見られました。今年の大きな特徴かもしれません

 

          

 

今年のL.F.J音楽祭の記念に公式CDを買いました 毎年買っているのでこれで11枚目です

 

          

          

 

これで今年のL.F.Jも終わりです また来年を楽しみにしたいと思います

 

          

          

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