今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

PEN-FTに戻りますの巻

2018年08月17日 20時48分43秒 | ブログ

中古市の作業はまだ続きますが、お待ち頂いていた直接ご依頼のPEN-FTをやっておきます。#3014XXと後期型の個体は非常にきれいです。あまり使用されていませんね。巻き上げのゴリツキとファインダーの汚れ・・

 

接眼枠が欠けていますけど交換しなくても良いのかな?

 

 

一見、未分解機とも思いましたが、メンテナンスを受けていますね。

 

 

接眼プリズムなどは清掃されているのですが、プリズムは手つかずです。これでは意味がないのです。

 

基本的には特に問題のない個体ですから淡々と組み立てて行きます。

 

 

シャッターユニットも良好ですが、チャージギヤに少しガタが出始めかな?

 

 

接眼枠は新品と交換しました。ハーフミラーは30万台の個体としては腐食が進んでいます。当然、新品と交換です。

 

シャッターダイヤルは内部の汚れがあり回転もムラがあります。指標が黒なのはなんで?

 

洗浄してきれいになりました。指標はで入れ直してあります。

 

 

今日はここまで。明日完成の予定。

 

 

先日から夏風邪を引いて喉が痛かったのですが、ここ数日症状が悪化をしまして、就寝のために横になると咳が出て殆ど睡眠が摂れていません。よって睡眠不足により目が・・

ということで簡単にUPしておきます。付属のレンズは何故かPEN-F用の38mmf2.8というセット販売用の廉価レンズ。しかし、素晴らしくきれいです。清掃だけで良いと思ったのですが・・

絞りレバーで絞り羽根を絞ったあとの復帰がスムーズでなく止まってしまうことがあります。目視では問題はなく調整を試みても改善しない。こういう時は部品を変えてみます。シボリリングとプレビューボタンをセットで交換すると、何事も無かったように正常に作動します。かと言って交換した部品が不良と言うわけではなく、他の個体に使うと全く良品だったりします。若い頃にカメラ生産をしていた時にも同じような経験をしています。突き詰めればミクロ的な原因はあるのでしょうけど、組立現場では部品の入れ替えで殆ど解決していました。

目のコンディションが悪い時にやりたくないレンズです。昨夜は2時間ぐらいしか寝てないからね。50~90mmズームです。絞りの前後が汚れているので、結局すべて分解しなくてはなりません。特に前玉2枚目のレンズは裏表が殆ど同じ形状なので注意が必要。裏返しで組むと無限が来ない・・

ということで、ご常連さんらしい眼力で選んで来た良いコンデションの個体たちでした。では失礼して早めに寝ますね。

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いろいろやってます(2)

2018年08月16日 17時20分39秒 | ブログ

コニカC35 FDのブラックモデル。きれいなんですけどね。残念ながら露出メーター不動です。また、コンパクト系はモルトを多用していて惨憺たる眺めになっている個体が多いですが、このモデルは非常に貼りにくい・・

 

メーターを修理しました。画像では針が動いて見えませんね。

 

 

コニカのファインダーは白く汚れているものが多いですね。

 

 

対物レンズの2枚貼り合わせの間の汚れが取れませんので分離します。

 

 

殆ど使用されていないので摩耗や汚れはありませんが、油脂がカラカラですので注油とグリス塗布をしておきます。

 

おっと、良く見るとアンダーカバーにへこみがありました。アルミの黒アルマイト処理なのでペナペナです。修正をしておきます。

 

のり付きのモルトでは貼るのが非常に困難ですので・・

 

 

まぁ、きれいに仕上がったと思います。

 

 

レンズをやります。富岡光学製M42レビュノン55mmf1.4と大口径のレンズです。絞りが不良となっていますがレンズの汚れ、ヘリコイドグリス抜けがあります。前玉のリング押さえは工具を掛けるスリットが無く、しかも対角2か所をがっちりと接着されています。摩擦で開けるしかないないのでした。

絞りの洗浄とヘリコイドグリス交換。

 

 

経験のないレンズの分解はいつも暗号解読みたいだと思います。人間が組んだものなので必ず分解の方法はあるはずですが、如何に早く見つけるかはやはり経験でしょうね。

 

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いろいろやってます

2018年08月12日 22時54分32秒 | ブログ

世の中、お盆休みに入っているのでしょうか? 私はいろいろやっていますが、土曜日は浅草の早田カメラさんに行った帰りにカミさんと東京スカイツリーに寄ってみました。貧乏人なので初めて行きましたが、小学生の時に登った東京タワーのような感激はありませんでしたね。暑いのでさっさと帰ろ・・

で、いろいろやってはいるのですが・・マミヤスーパー23のファインダーを清掃しても曇りが取れない。対物と接眼レンズが曇っているんですね。

 

オリンパス関係では、きれいなFTLのメンテナンスをしました。しかし、モルトの変質でスチールの裏蓋が錆びています。錆を除去するため時間が掛かりました。

 

そうそう、先ほどイオンに買い物に出掛けてRZ250を2箱追加でGETして来ましたよ。

 

モルトが本体側と裏蓋側の両面に貼ってある丁寧な仕様。よって貼るのが面倒。同じ工賃・・

 

レンズの後玉に曇りが発生していますね。清掃します。

 

 

発売が1971年なのにプラクチカマウントとはねぇ。しかし、レンズのロック位置が固定される素晴らしい? 機構があります。

 

完成したレンズをクリクリして取り付けます。

 

 

ほぼ未使用のような個体ですが、ペンタに僅かに凹みがあるのが惜しいです。OM-1が発売される前の過渡期的製品で、教材のような標準的設計のカメラですが、コンセプトが弱いですから営業的には芳しくなかったようですね。それ故、個体数が少ないですから希少性があるのでしょう。

 次のオリンパス系ではOM-2のモルト交換とメンテナンス。OM系は接眼枠とダイカスト本体の接合部にスリット状の隙間が空いているので、古いモルトを取り除いていると内部のペンタ部にモルトが付着し易いので注意が必要。

 

エルマーではなくてニッコール35cm f3.5 中々しっかりとした作りです。清掃をしてあります。

 

 次はコニカ系。FT-1MOTER ヤマハFT1と言ったらミニトレの元祖だけどね。非常にきれいな個体。

 

しかし、モルトはこんな状態。モルト交換します。

 

 

次。コニカ・オートレックス。これもきれいな個体だなぁ。

 

 

FULLとHALFの切替方法のシールが剥離しました。

 

 

ハーフに切り替えたところ。お~、すごい。

 

 

うって変わってコンパクト系のキヤノンデミEE28。外観はきれいな個体ですけどメンテナンスです。

 

デミはこうなっちゃうよね。モルトは貼るより除去する方が手間が掛かります。

 

 

アンダーカバーのパールアルマイトが変質モルトによって侵されています。残念ですね。

 

オリジナルの型抜きモルトのようには行きませんが、まっ、こんなところ。

 

 

露出計は元気ですね。ファインダーなどをメンテナンスしておきます。ここで正午となりました。戦没者に対して黙とうをします。

 

次。アサヒペンタックスSPFですけど、ずいぶんときれいな個体ですよ。

 

 

一見デッドストック?かと思いました。中古屋さんにはあるんですね。作業指示書にはモルト交換と各部点検となっていましたので、機構的には特に問題はないと思ったのですよ。

 

リターンミラー受けのモルトを貼ってから、はじめて巻き上げをしようとしましたが・・巻けない・・。底部を点検すると、リターンミラー機構の位置関係がこれでは動かないんじゃない?

 

これで、めでたくシャッターが切れました。

 

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RICOHFLEX のオーバーホールの巻

2018年08月06日 20時25分22秒 | ブログ

二眼レフを二台ほどやりますが、その前に、スイスで私の好きなドイツの大戦機のユンカースju52が墜落したそうですね。じつは数日前にYouTubeで遊覧飛行の様子を見ていたのですけど、いくら現在の整備を受けている機体と言えども、このような貴重な機体を遊覧飛行に使うのはどうかと思います。日本に里帰りをした零戦を遊覧飛行に使うようなものですからね。過去にも現存数の少ないイギリスのモスキートも墜落して失われています。まぁ、飛行機は飛んでなんぼ、博物館ではなく動態保存は賛成ですけど、お客を乗せた遊覧飛行はどうかと・・

https://www.youtube.com/watch?v=i7nYPzzOZE4&t=580s

で、リコーフレックスのダイヤというモデルでしょうか。撮影レンズとファインダーレンズをギヤで連動したカメラから高級機に脱皮をしたモデルですね。1955年ぐらいの製造のようです。

内部はほこり汚れと反射ミラーが曇っていますね。拭き上げてみましたが、全くきれいになりません。

 

アイレベルファインダー時の前板がロックされません。修正をしておきます。

 

ピントグラスとフレネルレンズは汚れていましたが、洗浄できれいになりました。

 

内部を清掃して新しく切り出した反射ミラーを取り付けました。

 

 

ヘリコイドグリスがスカスカに抜けていますのでグリス交換をしておきます。

 

ファインダー(ビュー)レンズは曇りはなく清掃できれいになりました。

 

 

撮影レンズも曇りはありませんでしたが、後玉に若干のカビ痕あり。シャッターユニットはメンテナンスで問題ありません。

 

細かいところが気になってしまうのです。ロックレバーのの色入れが抜けています。

 

まだ、半乾燥なので艶消しになっていませんね。

 

 

巻上げノブを回してもオートストップが作動しません。カウンターも動かない・・分解検証します。

 

ミノルタフレックスもやります。こちらは程度が最悪ですね。Ⅱbになるのかな? 私と同世代だから程度が悪くて当然です。レンズもしっかり曇っています。これ直すのかなぁ?

 

ビューレンズから磨いていきます。

 

 

二眼レフの反射ミラーはみんなダメですね。新製しておきました。

 

 

ピントグラスは、かなり汚れとガラスの黄ばみがあります。別にフレネルレンズは無く、ガラスの中央にレンズが鋳込まれています。

 

最初に見た時、ひゃーと思ったのです。バヨネット付きの二眼レフはオーバーホールには必ずシボ革を剥がさなければならず、それが苦手なんですが、このモデルはバヨネットが無いのでシボ革を作り直さなくても良いかというと最悪な状態になっています。各部にきっちりと合っていますのでオリジナル革と思いますが、過去の分離/再接着とビニール自体が変質して、しかも、その上から艶消しで塗装していますよ。仕事で無ければやりたくない~。

シボ革は1枚もので剥がれるのではなく、溶剤で溶けて無くなってしまう状態、あ~、それじゃ面倒な形状の型紙から作らなくてはなりません。盛大に塗料が剥がれていますが、私の仕業ではありません。過去の分解時です。

 

普通の二眼レフより面倒な形状。シューが変な位置に出っ張っているので、スキャナーで読み取ることも出来ませんので採寸して型紙を作ります。もう二度とやらないモデルかも知れない型紙作りはね・・

 

パターンの近いシボ革を選んでみました。似てると言えば似てる。似てないと言えば似てない・・

 

私の場合、穴位置から切り出して行きます。外形は合わせながらカットして行きます。苦労したシューの位置合わせは成功したようです。

 

こんな感じかなぁ。本当は下端が0.1mm程度長い。

 

 

シャッターはSEIKOかと思ったらS-KONAN RAPID。年代相応でかなり使い込まれていますが作動に問題はないようです。メンテナンスをしておきます。

 

フィルムの装填テストをしていると・・やけに巻き上が重い。

 

 

正規のバネの下にゼンマイをカットした板バネが仕込まれていました。これではフィルムが切れてしまいます。二眼レフの世界ではこれが裏技なんでしょうか?

 

巻き止めとカウンターは正常に作動します。

 

 

似てるかな? そもそもミノルタのオリジナルパターンは一般的な小紋より大きいようです。外観の黒塗装の剥離が目立ちましたのでタッチアップをして完成。これからはカメラ市用の作業が続いて忙しいのでUPは少なくなると思います。

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PEN-S3.5の巻

2018年08月02日 20時04分30秒 | ブログ

忙しいのでタイトルに何のひねりもありません。#1259XXと3.5としては初期の方の個体で、2.8の仕様と全く変わりません。一応、ハイアマチュアさんがO/Hをされた個体だそうです。まぁ、ほどほどですかね。ほどほどの先は経験が必要なのですよ。

ヘリコイドグリスは変なグリスを追加されていましたが、シャッター自体は未分解です。シャッター羽根に油が回って不動の状態でしたが・・ハウジングのプレート裏に大量の油があります。このシャッターユニットは基本的に油が羽根に回る構造になっていませんし大量の油も使っていません。注油をしたのではないでしょうか?

当然シャッター羽根にも回って行くわけです。

 

 

暑いのでちゃっちゃと行きます。ダイカスト本体の洗浄を終えて組み立てて行きます。

 

シャッターユニット完成。いつもの「発動機」は省略。

 

 

カム板を取り付けます。

 

 

本体側は完成。すごく調子は良いです。今日はここまでにします。

 

 

3.5になると距離リングの彫刻文字の赤文字以外は未塗装となります。2.8の頃は白塗料で色入れされています。工程省略ですね。

 

次は三光ペンです。こちらも同様なメンテナンスを受けているとのことでしたが、基本的に分解はされていませんね。

 

三光ペンの頃のスプロケット軸とスプール軸の軸受けは固着している個体が多いです。

 

グリスを塗布して2軸を組み立てました。

 

 

今日も相変わらずの猛暑ですね。週末ですから海や山に出掛けていらっしゃる方も多いでしょうね。私は、お陰様で沢山のご依頼を頂いて汗を拭きながら頑張るしかありません。夏になると思い出す曲をYouTubeで聞きながらね。ビリーボーン楽団の「真珠貝の歌」や日野てる子さんのハワイアン。子供の頃から好きだった方で、なんで若くして亡くなってしまったかなぁ、惜しい歌手です。それに夏と言えば加山雄三でしょう。歌も良いけど「ブラックサンドビーチ」なんかいいね。では、聞きながらシャッターを組んで行きます。

https://www.youtube.com/watch?v=TPFXbiG6Cpg

https://www.youtube.com/watch?v=10l9IxAv6I8

https://www.youtube.com/watch?v=UWpHhW0pOrg

カム板はガタなくスムーズに回転する位置まで薄ナットを締め込みますが、僅かに締め込んだところですでに回転が重くなってしまう。薄ナットと地板ネジの精度が甘く、ねじ山が乗り上げて斜めになってしまうのが原因。初期の生産は部品精度に難があります。

ファインダーは樹脂製の対物レンズ(2個)のみ分解清掃したようです。前面ガラスの茶色の接着剤はオリジナルのままですから。

 

この頃(#1271XX)はギリギリ対物レンズは樹脂製です。ですから清掃には細心の注意が必要ですがすでに傷だらけです。また、樹脂なのに、上面の接着に何で溶剤系の接着剤を使うかなぁ? 溶けちゃっているでしょ。

 

レンズの分解清掃と本体を研磨してから接着してあります。遮光カバーは新製してあります。

 

カメラ店さんのお話によれば、最近は程度の良い完品が少なく、「現状販売」が多いとのことでした。特にコンパクト系のPENにその傾向が顕著ですが、何とか個体数を守っていかなければと思っています。今回のオーナーさんはPEN-Wなどコンパクト系を楽しまれていますが、多くの方にコンパクトPENを見直して頂ければ嬉しいですね。

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