今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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PEN-S3.5の巻

2018年08月02日 20時04分30秒 | ブログ

忙しいのでタイトルに何のひねりもありません。#1259XXと3.5としては初期の方の個体で、2.8の仕様と全く変わりません。一応、ハイアマチュアさんがO/Hをされた個体だそうです。まぁ、ほどほどですかね。ほどほどの先は経験が必要なのですよ。

ヘリコイドグリスは変なグリスを追加されていましたが、シャッター自体は未分解です。シャッター羽根に油が回って不動の状態でしたが・・ハウジングのプレート裏に大量の油があります。このシャッターユニットは基本的に油が羽根に回る構造になっていませんし大量の油も使っていません。注油をしたのではないでしょうか?

当然シャッター羽根にも回って行くわけです。

 

 

暑いのでちゃっちゃと行きます。ダイカスト本体の洗浄を終えて組み立てて行きます。

 

シャッターユニット完成。いつもの「発動機」は省略。

 

 

カム板を取り付けます。

 

 

本体側は完成。すごく調子は良いです。今日はここまでにします。

 

 

3.5になると距離リングの彫刻文字の赤文字以外は未塗装となります。2.8の頃は白塗料で色入れされています。工程省略ですね。

 

次は三光ペンです。こちらも同様なメンテナンスを受けているとのことでしたが、基本的に分解はされていませんね。

 

三光ペンの頃のスプロケット軸とスプール軸の軸受けは固着している個体が多いです。

 

グリスを塗布して2軸を組み立てました。

 

 

今日も相変わらずの猛暑ですね。週末ですから海や山に出掛けていらっしゃる方も多いでしょうね。私は、お陰様で沢山のご依頼を頂いて汗を拭きながら頑張るしかありません。夏になると思い出す曲をYouTubeで聞きながらね。ビリーボーン楽団の「真珠貝の歌」や日野てる子さんのハワイアン。子供の頃から好きだった方で、なんで若くして亡くなってしまったかなぁ、惜しい歌手です。それに夏と言えば加山雄三でしょう。歌も良いけど「ブラックサンドビーチ」なんかいいね。では、聞きながらシャッターを組んで行きます。

https://www.youtube.com/watch?v=TPFXbiG6Cpg

https://www.youtube.com/watch?v=10l9IxAv6I8

https://www.youtube.com/watch?v=UWpHhW0pOrg

カム板はガタなくスムーズに回転する位置まで薄ナットを締め込みますが、僅かに締め込んだところですでに回転が重くなってしまう。薄ナットと地板ネジの精度が甘く、ねじ山が乗り上げて斜めになってしまうのが原因。初期の生産は部品精度に難があります。

ファインダーは樹脂製の対物レンズ(2個)のみ分解清掃したようです。前面ガラスの茶色の接着剤はオリジナルのままですから。

 

この頃(#1271XX)はギリギリ対物レンズは樹脂製です。ですから清掃には細心の注意が必要ですがすでに傷だらけです。また、樹脂なのに、上面の接着に何で溶剤系の接着剤を使うかなぁ? 溶けちゃっているでしょ。

 

レンズの分解清掃と本体を研磨してから接着してあります。遮光カバーは新製してあります。

 

カメラ店さんのお話によれば、最近は程度の良い完品が少なく、「現状販売」が多いとのことでした。特にコンパクト系のPENにその傾向が顕著ですが、何とか個体数を守っていかなければと思っています。今回のオーナーさんはPEN-Wなどコンパクト系を楽しまれていますが、多くの方にコンパクトPENを見直して頂ければ嬉しいですね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/