今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO 61GSスペシャルの巻

2018年08月01日 19時26分01秒 | ブログ

8月に入って猛暑が続いていますが、みなさん大丈夫ですかぁ? 。じつは、私は多少夏バテ気味です。そこに、ありがたいことに、カメラ修理と腕時計の修理ご依頼を多くいただいておりまして、さて、大丈夫かいな? という感じです。まぁ、ボチボチ作業をして行くしかないのですが・・で、少し前にご常連さんから複数の時計が来ていました。今回は、その中の1つだけ手がけることにします。61グランドセイコー・スペシャルです。発売当時でも高根の花でしたので、現在では美品はかなりの相場になっているようですが、この個体は主にケースの消耗が目立つ個体です。まず、問題はバネ棒がケースと固着して折れてしまっていることです。

そもそも、どのような工作機械でこのバネ棒孔を加工しているのでしょうか? ケース内に残ったバネ棒のピンは完全にケースと一体となっていますから削り取るしか方法がありません。ピンの材質もかなり硬いですから簡単には削れませんよ。超硬のキリを使いますが、垂直に入らない・・キリを1本折りました。

あと0.2mmほど削りたいのですが、キリが斜めですから入り口付近の孔径が大きくなっしまうので妥協します。

 

まぁ、何とか使えそうです。この欠点で相場より安く入手出来たのでしょうかね? 知りませんが・・

 

かなり普通に使い込まれちゃいましたね。軽く研磨をしますが、先端にカットは手磨きでは無理です。

 

風防ガラス周りがオリジナルかは分かりませんが、内側のインナーリングにかなりキスがついています。

 

風防のパッキンは白いジュラコンのような材質が使われていますが、これでオリジナルなのかは分かりません。

 

キャリバーはCal 6156A 12型,25石の10振動です。基礎キャリバーは6106Aなので組立は容易です。では、二番車にS-4グリスを塗布してから筒カナを圧入します。

 

金色の足が秒針規正レバー。香箱は分解不可となっていますので、香箱真に注油をしておきます。

 

10振動なのでガンギ車、アンクル、アンクル受けがスペシャルです。アンクルの作動範囲が狭いですね。

 

日曜制レバーをセットします。僅かに注油。

 

 

分解前は極端な進み(250秒)方向で片振りが4.0程度となっていました。GS本来の調整ではありませんね。で、調整をして行きますが、片振りの調整が一杯です。過去に分解歴はありますが、非常にきれいな分解/組立でしたので部品が交換されている可能性は少ないと思いますが・・

自動巻き機構のマジックレバーやベアリングの状態を見れば消耗度合が分かりますが、比較的良い状態でした。グリスと注油をして組み立てます。

 

 回転錘にも腐食がありません。防水性は保られていた? GSは機械に固有のシリアル№が入っています。

 

裏蓋の彫刻文字は非常に浅いので軽く研磨しておきます。内側に過去の修理歴がメモされています。パッキンが合わなかったのか一部が飛び出していましたね。

 

忙しいので作業はここまで。後は歩度調整をして行きます。針がずいぶんと細いですね。クロノメーターなど高性能のイメージでしょうか?個人的には剣形の針が好きですね。

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