今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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里帰りのリペイントPEN-Wの巻

2023年10月05日 10時00分00秒 | ブログ

現オーナーさんが「トミーさん、この個体はオリジナルですか」と送られて来たPEN-W #1093XX 。きれいな塗りですけど、どこかで見たような・・実は過去に私がリペイントをした個体でした。塗膜のスレも全くないので使用せずに保管されていたのでしょうけど・・

 

過去の伝票を調べれば、いつどなたからのご依頼だったかは分かりますが意味はないのでしません。

 

 

しかし、その個体がうちのお客さんの手に渡るとはPENの世界は狭いです。使用せずに長期間置かれますと、このコパル#000番シャッターは不調になるのです。今回はオーナーさんから「使えるようにして」とのご依頼ですので、うちの子ですので責任をもってお世話しますね。

 

シャッターはすべて分解洗浄のうえ組み立てていきます。

 

 

ハウジングと合体して組み立て終了です。シャッター羽根の表面の粗面が鏡面に近くなっているのも張り付き易い原因の一つでしょう。

 

シャッターの調子は良好です。完成したシャッターを本体に搭載しました。

 

 

ここでストロボの発光テストをしておきます。

 

 

製作当時は焼付塗装と言えども塗装直後に塗膜にストレスを掛けたくない(傷の防止)ことからシボ革は両面テープ貼りとしていましたが、経年により外周の剥離と生地の縮みが発生していて再使用が不可と判断しました。そこで、別の個体からシボ革を調達して貼ってあります。

 

シボ革の材質は塩ビ? かと思いますが、塩ビは軟化剤が抜けると硬化(縮み)が発生するようです。OM-1の時代はすでに両面テープ貼りとなっていますので、純正と言えどもシボ革の剥離は発生していますね。私がカメラを製造していた頃はシボ革裏にグッドイヤーの糊が塗られていて(乾燥状態)それを筆につけたケトンで溶かしながら貼ったものです。この糊は強力で、貼って圧力をかけると簡単には剥がせないぐらい強力なものでした。現在の市販接着剤では到底得られない接着力でした。

これで完全な状態となりました。じつは私の手元には自分でリペイントをした個体は米谷さんにサインを頂いたオリーブFVしか無いのです。

 

それとコメント欄に書き込みを頂きました〇下さん。対応致しますのでメールでご連絡を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

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