【業務連絡】PEN-FTのセルフタイマーについてメールを頂きました方。返信メールが戻って来てしまいます。
最近、中古カメラ店様からの限定修理以外にPEN-FTのオーバーホールご依頼が減っています。需要が無いのであればオリジナルで製作しているハーフミラーも作らなくても良いですかね? 丁度在庫が少なくなって次ロットは手配中ですが、年々製作コストも上昇していますので資金負担も多いので、今後は製作するかを検討しなくてはいけない時期に来ました。
で、オーバーホールご希望のPEN-FT #2764XXが来ました。27万台ですから一通りのユニット変更は終わっている頃の個体ですが、30万台以降の個体に比べて少し古いのでハーフミラーや露出計の信頼性などが落ちている頃です。付属の38mmはかなり曇っていますので清掃が必要です。
作動は特に問題はないと思いますが、フィルムカウンターの復帰が弱いですね。こういうところに製造の古さが出るのです。
中古店さんの管理シールですかね? 剥がしても良いのかな?? 接眼アイビースは両耳が無くなっている状態ですが、オーナーさんのご希望であえて交換はしません。
では、いつものようにボディーの洗浄からモルト貼り、スプール軸、スプロケット軸を取付けて行きます。27万台だと電池室からのリード線の硬化、腐食が目立つ頃ですのでリード線は新品に作り直します。
シャッターユニットを分解洗浄して点検しています。プーリーを留めるナットは緩み止め塗布のダブルナットですが、それでも緩んでいる個体があって、前面のコントロールレバーが緩んで変速できない状態となっているものもあります。
使用は少ないと思いましたが、意外にチャージギヤの軸に摩耗が進んでいました。もう少し摩耗すると2回巻き上げになりますね。潤滑が切れるとすぐに摩耗が始まります。
今回は再使用で。シャッターユニットと前板関係を完成させてドッキングします。
ファインダー本体のレンズの清掃とモルトの貼り替えを終えて組み立てます。
ハーフミラーの腐食は少ないように見えますが、光を透過してみると、かなりメッキが薄くなっていますので交換しました。
ほぼ組み立て終了。これから露出計の調整やピント調整をします。
洗浄したフィルムカウンター(ギヤ)は組立の最後で取り付けます。メーターとレバーカバーを接着します。その他、セルフタイマーのチャージレバーが巻き上げ最大から戻る傾向にありましたので洗浄注油をしてあります。
底部はこんな感じ。電池室の位置を調整して洗浄したアンダーカバーを取り付けます。
付属の38mmは後期型の製品で、それ以前の製品とは内部の設計が異なり部品の互換はありません。私的には分解しずらくなったレンズです。製造が新しい割には後群レンズの曇りが激しいです。
後群の前側のレンズが汚れていますね。幸い新しい?せいで、コーティングの剥離はありませんでした。
チャージギヤ軸に摩耗がありますが、他は良好な個体でした。チャージ軸はこのカメラの持病でして、普及品クラスの設計では材質も含めてきびしいところなんだろうと思います。ローライ35のように交換可能なギヤ側を敢えて強度を落として作り、本体側にダメージを与えないような設計だったら良かったとか思いますが、素人には分からない問題が有ってのことでしょう。最悪はギヤシャフト地板ごと交換することになりますね。