#30030XXの初期型ローライ35をメンテナンスします。基本的には作動していますので過去にメンテナンスを受けているようです。ただし、フィルムカウンターは25枚以降進みません。この頃は内面塗装は以後のリンクル塗装ではなく、通常の黒艶消し塗装です。
ケース入り個体でしたので全体的には小キズも少なく良いコンディションですが、ファインダー角の当たりだけ残念です。
ヘリコイドグリスは抜け気味です。入れ直すので問題ありませんが・・。レンズ゛前面の化粧リングは白化が始まっていますが、それほどひどくはありません。ケースに入っていたからでしょう。
スプール下の巻上げカムは金属製ですね。これによって巻き上げの感触が違うのです。
初期型にはファインダー部にL型のアルミ補強材が挟まれていますね。パーツリストには記載はないので初期の強度的な問題の対策部材なのかも知れません。
巻き戻しレバー軸の規制用バネの形状が以後と異なります。以後は右の2つのネジ頭に絡める留め方ですが、この個体は上部地板にネジ留めのシンプルな構造です。
上は以後の個体。圧板の部材とスプールの仕様が異なります。ローライ35のフィルム装填は少しやりずらいですが、個人的には初期のスプールの方が装填し易いと感じます。
樹脂ギヤは使われていませんので、グリスもホワイトグリスではなく通常のグリス系が使われています。
圧板の取付部が変形していますので修正をしておきます。無意識に圧板を開く方向に無理をさせると、テコの原理で簡単に曲がってしまいますからご注意ください。
やはりシャッターは分解を受けていました。左の作動リングの摺動面にモリブデンのようなものが塗布されています。作動リングの形状も初期型です。レンズの清掃をしておきます。
沈胴のフェルトの調整をして完成したシャッターユニットを取り付けます。
清掃した前玉のヘリコイドにグリスを塗布して取付け、ピント調整をしました。ピントリングをセットします。
初期型はフィルムカウンターの逆転を止める爪が弱いので、補強バネを追加して36枚まで正常に進みます。
ケース保管のため、底部のキズや腐食も無く、非常にきれいな状態です。
この頃の露出計はCdsが劣化しているものが多いですが、この個体の露出計は非常に元気に作動します。元々のコンデションが良い個体でした。付属品付きでカメラ市用と思いますので買ってください。