今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ヤシカ・ラピードの巻

2020年08月29日 21時15分00秒 | ブログ

今週もいろいろやって忙しかったですよ。まぁ、外に出ても残暑が厳しいので大人しくカメラを直していた方が安全と言うことで・・で、ツアイスのボックステンゴールというボックスカメラだそうです。私は良く知りませんが、単玉の文字通り暗箱カメラということですね。蓋のロックが変形してセット出来ない状態でしたので修正をしました。

このようにロックされるわけです。

 

 

フィルム巻上も至ってシンプル。

 

 

バルブにしてレンズを清掃しておきます。

 

 

続いてはローライ35です。前回の修理が少し乱暴で、巻き戻しレバーのセットバネが変形して定位置になっていません。

 

ジャーマニーですが、巻上げギヤの裏側に円周状の溝が切ってありますね。油貯まりかと思いましたが、下の座より溝の方が直径が大きいので意味はないと・・何の目的だろう・・

 

このカメラはフィルムの切れっぱしが結構挟まっていますよ。

 

 

やっと本題です。どうしても撮影をしてみたいというご依頼でしたので。ヤシカ・ラピード。1961年発売としてはデザインは頑張ったようですが、カメラと言うより工業用の測定器風のダイカストボディーです。大きくて重いしね。ハーフカメラの機動性はないですね。チャージは革の取っ手を引っ張ります。シャッター音はするのにシャッタースピードが変わらないです。

このカメラの問題点は露出メーターのセレンがダウンしていることとレンズの後玉の曇りでしょう。クリーナーで清掃をしてもコーティングが劣化をしていてきれいになりません。コーティングを取り除いて軽く研磨をするしかないですね。

 

フィルム室は汚れと圧板の腐食がありますが清掃で問題ない程度です。

 

 

シャッターの状態を見るために特殊な設計のレンズや絞りを取り外して行きます。

 

 

作動を見ると、右側のスローガバナー(左側はセルフタイマー)が全く動いていません。

 

 

スローガバナーを取り出して点検をしますが、特にギヤの損傷などはありません。全体に軸受けが固着気味でアンクルとガンギ車まで動力が伝わらないようです。これは超音波洗浄をして注油で様子を見ます。

 

スローガバナーは調子を取り戻しました。その他シャッター羽根の清掃、セルフユニットの洗浄注油、カム板などに注油をして組み立てます。

 

シャッターマウント部のモルトを交換します。

 

 

露出メーターは光に対して僅かに針が振れますのでメーターは生きていてセレンがダウンしていますね。時間に余裕がある時でしたらセレンの移植改造で直して差し上げられるのですが、現在は余裕がありませんので露出計には手を付けません。ファインダーの清掃をしておきます。

昔の製品は本物のオーナメント(バッチ)が付いています。カメラが贅沢品だったのですね。

 

 

1961年(昭和36年)発売価格は11,800円とのことです。当時のサラリーマンの月給が2万円ほどだったようですからハーフカメラとは言えかなりの贅沢品だったんですね。ハーフカメラに対する考え方がオリンパスとはかなり異なっていておもしろいです。重量を計ってみるとフィルム入りで570gでした。当時のTVコマーシャルを見ると女性が軽々と操作をしていますが、かなり無理をして撮影をしたなぁとか思いますね。

 

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/