今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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オリンパス・トリップ35のメンテナンスの巻

2020年08月05日 13時20分00秒 | ブログ

きれいなトリップ35ブラックですけどね。EE精度(赤マーク)について安定しないということで来ていましたが、点検のところセレンは正常で針オサエなどの動きにも問題は無いようです。画像のようにメーター針が針オサエのギリギリにある場合、シャッターボタンを押すたびに赤マークが出たり出なかったりの動作をすることがありますが、これは機構上の問題で不良ではありません。シャッターボタンを連続で押すとメーター針がジャンプして違ったEE値になることがありますので、連続のボタン押しはメーカーでも禁止しています。

それではとレンズを点検すると・・PEN-EEもそうですが、この形式のシャッターは前から覗いたのではレンズのカビや汚れが見えにくいのです。Bバルブもありませんからね。後ろから光を入れるとかなり汚れているのが分かります。

 

この個体は過去に修理を受けていますが、ピントリングを触ってみると・・グラグラでイモネジが止まっていないことが判明しました。無限を確認するとかなり前ピンになっています。

 

前玉のヘリコイドグリスは殆ど無くなっていました。カビがありますね。

 

 

続いて2群目も。

 

 

最後も同じ様にカビがあります。清掃をしましたが、経験的にPENも同じ様にズイコーレンズのカビは清掃が出来ない場合が多いと思います。ローライ35のHFTコートなどは清掃で殆どカビを取り除くことができるのに、コーティングの種類の問題なのでしょうかね?

絞り羽根も洗浄して組み立てました。ファインダーのカビ汚れも清掃しておきます。

 

シューのターミナルを半田付けをしてトップカバーをセットします。

 

 

ボタンドメはPEN-FTと共通部品でしょうね。

 

 

この個体は長く放置をされていたと見えて裏蓋の内側(バネ、圧板)に多くのカビが付着していました。すべて清掃をして圧板は研磨をしてあります。

 

トリップ35は1968年5月の発売だそうで、当時の価格は¥14.800でした。PEN-EESをベースに製作されたフルサイズ小型EEカメラということで、EESの基礎設計を使い早く安く市場に供給をしようと企画された製品でしょうね。メカは定評がありますから故障が少なく、小旅行には持って来いのコンパクトとカメラとして人気がありました。少数派のブラックモデルはすごみがありますね。

 

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