続いてPEN-FV #1120XXですが、こちらは各部のユニットが設計変更前の個体でして、ちょっと厄介なことになりそうです。トップカバーを開けるとレリーズボタンの押し板のネジが緩んでグラグラです。その他、裏蓋ラッチの飛越しなどが気になります。
全反射ミラーは腐植は少なくきれいに見えますが、反射率低下によりオーナーさんのご希望て交換することにします。
セルフタイマーユニットも変更前のもので、作動途中で止まります。
シャッターは低速で止まります。スローガバナーも変更前のタイプで、故障が多いです。これは油切れではなく低速1/8から1/4で切り替わる歯車(薄い)で➡のガンギ車を損傷しているのです。
こちらの画像でも分かりますでしょうか? 従来はユニット交換をしていましたが、良品ユニットの調達も困難になっていますのでガンギ車を交換することにします。
左が交換のためのガンギ車。
画像を撮り忘れたので別の個体です。組立は困難ですので、みなさんは分解されない方がよろしいです。
なんとガンギ車だけではなく、相手の歯車の歯も損傷しています。これは、シャッターダイヤルを1/8から1/4へ回す時に抵抗があっても強引に回してしまったためです。錆もありますが、これは作動には直接的な影響はありません。(多少はあります)こちらも交換することにします。
シャッターユニットに仮組をして作動を見ます。作動は良好ですので、これからすべて分解をして洗浄をします。
ハンマーの留めネジが緩んでいました。
コントロールレバーにガタがあるので点検してみると、フライホイールのダブルナットが緩んでいました。
完成したシャッターユニットにスローガバナーを取り付けます。
シャッター幕を取り付けてシャッターユニット完成です。
完成した前板と本体側を組み立てて作動を見ます。
しばらく巻上げも軽くシャッターの調子も良好で作動していましたが・・ミラーユニットがダメでした。チャージをすると①のギヤ(カム)が時計回りに回転して中央のスパナ状の部分が下に動き②のバネが←方向に動いてチャージを完了する構造ですが、ロック爪が外れてチャージが固定されない。この故障は改良前の使い込まれたユニットに多く発生します。原因は①のカムの摩耗によるリフト量減少、スパナ部分が開いて押し切らないなどの他に、軸のカシメ緩みなどが複合的に関連して発生します。要するに作りが弱いのです。
このユニットは殆どの部分(ネジ)は緩み止めのカシメ加工がされていて、本来は分解不可です。不良の場合はSSでは問題なく交換になっていたと思います。しかし、そんな新品部品はありませんので修理をすることになります。力が掛かる部分ですので、長い時間の間に緩み止めが緩んでいるものが多いです。増し締めと緩み止めの再カシメをしておきます。
この個体はレンズマウントの左側上に調整ワッシャーが入っていました。セルフタイマーも改良前のタイプで、改良前は調子の悪いものが多くあります。時計修理の知識があれば修理は出来ます。
やれやれ、#1120XXは1967年5月の製造ですが、FTで言うと20万代の初期の頃と同じですので、各部のユニットは改良前のものが使われていて、経時劣化もあって非常に故障や不安定な個体が多いのです。FVでも、先日の#1274XXなどになると1969年2月の製造となり、各部のユニットは改良後の仕様になりますから、入手の時はなるべくこの辺りの個体を選ばれた方がよろしいかもしれません。生産台数は少ないことが分かりますね。
世の中三連休だそうですね。今日は航空自衛隊入間基地の航空祭ですが、先日の百里基地と違って青空が広がっています。ブルーインパルスの展示飛行も空に映えるでしょうけど、例年より飛行展示が縮小されているようで、うちの上空には飛来していませんね。残念。と思ったら上空に飛行機の音が・・入間はアクセスも混雑するので行きませんけどね。で、駒数板を留める方法も変更になっているんですよ。この個体(右)は設計変更前のタイプで、スリ割付の異形ナットで留めていますが、変更後は普通のスリ割ネジになっています。ちょうど逆の設計になっているわけですが、なんで? 異形ナットなど使わずに標準化で問題ないじゃん。というところでは?
セルフタイマーの作動を確認しておきます。
ご希望によって接眼枠を中古のものと交換しておきました。この個体は色々な問題を抱えていましたね。前期型の個体としては珍しくはなく、巷ではジャンクとなっている個体でしょう。まさしく重修理というところでしょうか?