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今日の筆洗

2022年10月19日 | Weblog
 「今日の日曜は一日この部屋にこもって暮らしてみようじゃないか」。四人家族の父親が奇妙なことを提案する。嫌がる子どもと妻をなだめ、部屋の中だけで過ごすことにする▼父親はおかしなことばかり言う。テレビも電話も使ってはだめ。誰かが訪ねてきても居留守を使う。挙げ句にこんな質問まで。十人乗りの「ノアの箱舟」があったとして家族の他にあと六人、誰を乗せたいかを紙に書いて▼藤子・F・不二雄さんの短編漫画「マイ・シェルター」にそんな場面があった。父親は実は核シェルター購入を検討中で仮のシェルター暮らしを試みていた。新聞の見出しに四十年近く前の漫画を連想し不安になる。見出しは「核シェルター整備 首相『検討進める』」▼北朝鮮が核・ミサイル開発を進める現状がある。かつては現実のものとは思えなかった核シェルターだが、首相が国会で検討を口にする時代が来たらしい▼北朝鮮の変則軌道ミサイルは迎撃が難しく、シェルター整備を頭に置くのは政府としては当然か。日本のシェルター普及率は低いとも聞く▼具体像が見えないが、整備には相当、時間がかかるだろう。ならばシェルター整備よりも北朝鮮に物騒なふるまいを改めさせる方法を探った方が早道のような…。備えは大切。が、シェルターが必要と危険をあおり、防衛費増につなげる腹の方をへそ曲がりはつい疑う。