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今日の筆洗

2022年10月05日 | Weblog
ローズとカブレラの両選手が五十五本。バースが五十四本。落合が五十二本▼日本プロ野球のシーズン最多本塁打の記録を見るにつけ、王貞治選手の五十五本塁打(一九六四年)というのが野球の神さまがこしらえた、高い壁になっていたように思えてくる▼五十五本に近づき、並ぶことはできる。が、追い抜くことができない。最多本塁打はバレンティンの六十本(二〇一三年)だが、どういうわけか、それは別の話となり、五十五本を超えるかどうかが話題となる▼ヤクルトスワローズの村上が五十六号を打ち、王さんの記録をついに抜き去った。「村神様」も五十五本を超えることにプレッシャーを感じていたのか、足踏みが続いていた。九月十三日の五十五号以来、六十一打席ぶりの本塁打。大飛球が意地の悪い野球の神さまをねじ伏せた。シーズン最終戦の最終打席での達成とは、心憎い▼五十五本というのは偉業であると同時に日本人にとって「郷愁」の数字でもあるのだろう。だから気になる。右肩上がりの高度成長期の大記録はあの時代の前向きな空気や熱の象徴のように映っていた。縁起の良いゾロ目。ゴー、ゴーという勢いある語呂合わせも、あの時代に似合っていたか▼そして村上の五十六本が新たな時代の数字となり、令和の人びとを励ますのだろう。その数字は来年あたり、六十一になると、言っておこう。