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今日の筆洗

2022年10月25日 | Weblog

秦の始皇帝の死後、実権を握った趙高が二世皇帝にある動物を献上した話は有名だろう。贈ったのはシカ。しかし趙高はウマでございますという▼驚いた皇帝は居並ぶ臣の顔を見るも趙高の権力を恐れ、皆、黙っているか、「ウマでございます」。「シカ」という人物もいたが、後日、趙高によって処刑された▼「ウマです」「シカなんて冗談ではありません」と言ってくれる忠実な人物を集めたようだ。中国の習近平総書記の三期目政権が発足した。最高指導部の政治局常務委員七人の顔触れを見れば、習氏に対する忠誠心が厚い側近が並ぶ。中には能力を疑問視される人物も▼習氏と距離のあるメンバーは軒並み、排除された。集団指導体制は改められ、習氏の個人独裁体制が完成したと言っていいだろう。中国の時計は毛沢東を絶対視した時代に戻るのか▼独裁の利点を強いて挙げれば、スピードだろう。議論の必要な民主主義よりはるかに早く政策を実行できる。習氏としては独裁体制で米国をにらみ「強国」への道を急ぎたいのだろう。問題は「シカ」。独裁者に異を唱えることや正しい情報を伝えることが難しくなる。それは間違った判断につながる危険がある▼無論、独裁は不満がたまりやすい。経済が好調なら人びとも目をつむるだろうが、万が一…。四期目もという予想が出ている。その「馬券」はまだ買いにくい。