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今日の筆洗

2022年10月20日 | Weblog
日本にはトイレを意味する言い方がずいぶんある。便所、厠(かわや)に雪隠(せっちん)、はばかり、ご不浄…。さらに横文字のトイレ、レストルーム、W・C(ウオーター・クローゼット)などが加わる▼隠語の類いでいえば「レコーディング」(音入れ=おトイレ)というキザな言い方もあった。「西海岸」はご存じか。WEST COASTなので頭文字がW・Cになる。「横浜へ行く」は市外局番が〇四五なので…。説明はやめておく。数々の呼び方は直接的な言い方をそれこそはばかり、時代ごとに婉曲(えんきょく)表現や隠語が増えていった結果なのだろう▼「東司」と書いて「とうす」と読む。これもトイレのことだが、残念な事故である。京都の東福寺の国指定重要文化財の建物「東司」に乗用車が突っ込み、出入り口の扉や壁を壊してしまったそうだ▼室町前期の建築で現存する最古の便所という。別名は「百雪隠」。百人の僧がそろって用を足せるほど広いという意味で、なるほど、事故の写真を見れば車がすっぽり入るほど立派である▼京都古文化保存協会の男性職員がギアをバックに入れたままアクセルを踏んでしまったらしい。トイレといえど大切な財産。さぞや青ざめたことだろう▼修復可能と聞き、少しほっとするが、文化財の周囲ではよくよく気を付けたい。WARNING(警告)とCAUTION(注意)の「W・C」の二文字で。