被爆から四年近くたった一九四九年七月七日、広島市で住民投票があった▼各地と同様の復興ではなく、恒久平和を象徴する都市をつくるとうたう広島平和記念都市建設法への賛否を問うた。特定の自治体が対象の特別法のため、新憲法の規定に従い、住民の判断を仰いだという▼投票総数の九割が賛成。投票率65%は、日々食いつなぐことに精いっぱいの人が多かったことを思えば決して低くなかろう。成立した法のもとで国の援助は手厚くなり、原爆ドームを保存する平和記念公園などを整備。世界の人々が訪れるヒロシマになった▼ロシア軍が侵攻したウクライナ東・南部四州で行われた住民投票は、ロシアへの編入賛成が圧倒的多数だったと親ロ派が言っている。これを根拠にロシアは四州併合を強行するらしいが、平和には寄与しまい▼住民投票はロシア兵が戸別訪問し、銃で強要したとも伝えられる。ウクライナ軍は投票は茶番と併合を認めず、攻勢を緩めないらしいし、ロシアのプーチン大統領は領土防衛に「あらゆる武器」を使うと語っている。住民投票を経て、核使用の現実味が増した感さえある▼広島市は先の特別法が公布された四九年八月、原爆投下を決めたトルーマン米大統領あてに世界平和実現を願う署名を集め、翌月には十万余人分を送っている。七十年以上を経ても成就が遠い世界の姿に、気がめいる。