ファンタジアランドのアイデア

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銅の価格変動から見える国際情勢   スモールアイデアNO 203 

2018-10-25 16:25:13 | 日記
 銅はベースロードメタルと言われ、経済成長に不可欠な金属です。この金属は、電線から家電製品にいたるまであらゆるところに使われています。経済成長をするときには、家を建て道路を作りビルを建てます。その過程での全てで、銅が使われています。銅の価格は世界経済の回復から、穏やかに値上がりを続けてきたのです。資源国も、消費国も経済成長の恩恵を受けてきました。この順調な銅の消費に、異変が起きているのです。2017年夏から上昇基調が続いてきた銅の価格が、今年の6 月から下落基調に転じ8月に入って下げ足を速めたのです。世界景気に敏感な銅のロンドン金属取引所が、年初から2割近く下げています。米中貿易摩擦で、中国の需要減懸念が強まったことが原因のようです。
 そこで、銅の価格にまつわる事柄について、調べてみました。銅地金の3カ月先物は、2018年8月下旬時点で1トン6100ドル前後と3カ月前より1割安い水準になっています。中国の景気悪化懸念が強まり、銅の消費が落ちるとの観測が流れたようです。この観測が、原料となる銅地金の国際相場が急落したのが引き金になったとされます。一方、日本の首都圏では、東京五輪関連やホテル建築の工事が進み、都市再開発も盛況です。銅の消費も順調に消化しています。一般に、銅地金高の影響は、幅広い製品の国内価格に影響します。以前中国経済が高速で成長していた時期は、銅不足が深刻でした。嘘か本当分かりませんが、日本の太陽光発電所の銅線が、狙われたというお話もありました。銅が高くなると、銅の盗難が多発することは事実です。また、銅の値上がりが続くと、投機筋の資金が流入してきます。すると、銅の高騰が始まり、銅の盗難も起きるというサイクルがありました。
 それでは、銅の価格が安くなると、どうなるのでしょうか。中国はタンザン鉄道を建設し、ザンビア鉱山から銅を輸入しています。1999年に、ザンビアに進出した中国の企業があります。金属企業は、鉱山現場おける労務環境の悪さが指摘されていました。ザンビアの労働者から、評判が悪かったのです。一般に、銅鉱山の採掘は、年々労働環境が厳しくなっています。これはザンビアだけでなく、チリなどでも言われていることです。でも、銅の価格が高ければ、それなりの収入が鉱山労働者にもたらされます。価格が低くなると、収入は低くなり、労働はきついままということになってしまいます。
 余談ですが、中国の膨大な資源輸入は、アフリカ経済を潤しその成長を支えてきました。これは、ザンビアだけでなく、豊かな石油資源を持つナイジェリアやアンゴラについても同様のことです。でも、大量の資源を持ち出す割りには、見返りが少ないという不満がアフリカには存在していたのです。今回、中国における銅の消費量は減ります。アフリカを潤す資金が減少することを意味します。中国人労働者の流入によって、現地人の失業率の上昇という現象もありました。このような不満が、銅の輸出が減ることによって、現れるのかどうか見てみたいところです。不満が現れる場合は、報道が事実だったことことを意味します。でなければ、報道に偽りありということになります。もっとも、アフリカ関係の報道は少ないので、注意深く見ていないと見逃すかもしれません。