ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

病院の待ち時間から理想の診療を考えた アイデア広場 その1398

2024-05-26 17:58:28 | 日記


 私事ですが、3ヶ月に1度ほど通院し、3ヶ月分のお薬をもらっています。3ヶ月に1回ですが、この時の待ち時間が、結構長く感じるのです。1時間から2時間の待ち時間の後に、2~3分で診療が終わるというものです。もう一つの出来事がありました。今年の3月の中旬ごろにコロナに罹りました。昨年に続く、2度目のコロナ感染でした。私の場合、この2度の治療をオンライン医療で行いました。スマホで、お医者さんとのやり取りをして、症状を確認し、その対症療法のお薬を処方していただきました。その後、薬局の方が自宅に薬を持ってきていただくというものでした。面白いことは、1度目より2度目の病状が、非常に軽く済んだことでした。病院に行ってから、1~2時間待たされるより、はるかに短時間で済み、なおかつ快適な療養生活を経験しましたわけです。そこで、今回は病院の待ち時間から日本の診療について考えてみました。
 待ち時間解消のヒントは、ドライバーの働き改革にありました。この働き改革では、荷物の積み下ろしが重視されています。トラック配送において、最大のムダのひとつが、集配先に着いても積み下ろしをすぐに始められないことなのです。物流センターでトラックが接車し、荷物積み降ろしに使用するスペースをバースといいます。ある調査によると、1回の運行で平均1時間45分も待ち時間があるのです。不便を感じるところには、ビジネスチャンスが生まれます。ある起業が、バースの待ち時間を減少させる予約サービスの仕組みを作りました。この予約サービスは、運送会社が入場希望の時間を予約すると場所が割り当てられるのです。入場希望の時間を予約すると場所が割り当てられ、運転手の携帯端末に伝達されます。入場車両の情報が可視化され、平均1時間前後に及んでいた待機時間は7分に減りました。この仕組みを、花王など180社以上が約250拠点で導入し、運送会社など4千社以上が利用しています。ドライバーの方に気持ちよく働いてもらう仕組みが、意外と簡単に作れるものです。バースの待ち時間を解決する仕組みを、病院の待ち時間に応用することも一つの選択肢になります。もちろん、オンライン医療も選択肢になります。
 人間は、欲張りな動物になります。不便があれば、それを克服し、さらに便利な仕組みを求めていきます。医療に関心を示すのは、先進国だけではないようです。サウスワールドの国々も、経済発展に伴い医療制度の充実を計りつつあります。その一つに、インドネシア大手財閥シナルマスグループがります。この財閥は、医療分野進出を図ろうとしています。1人当たりの年間医療費は、アメリカの9800ドル、日本の4200ドルと比べて、はるかに低い112ドルがインドネシアの年間医療費になります。インドネシアの人口1万人当たりの医師の数は、3.7人で、日本の24人や中国は17人より少なくなっています。病院に行っても、待たされる時間が長いのです。こんな状況が、改善されれば、医療環境の改善、国民の健康増進、そして医療がビジネスチャンスになります。スマホが普及し、生活のあらゆる分野で利用されるようになりました。医療現場でも、このツールを利用した医療サービスが現れました。スマホ経由で簡単に予約できるようにし、病院で長く待たされないで、診察を受けられる仕組みもできつつあります。スマホアプリ経由で、医師に病状を説明すると、適切な処置が講じられる仕組みになっています。2019年、ジャカルタの首都圏など500の病院と提携し、遠隔診療や病院の予約を可能にするものです。健康を重視する都市部の中間層を対象に、ビジネスを広げようとしています。将来は、医療診療の手数料や医薬品販売などでも稼ぐ予定ということです。
 良いお医者さんや良い病院で、診てもらいたいというニーズは、世界中の人々にあります。韓国には、医療機関のミシュランガイドと呼ばれているアプリがあります。各病院の設備、手術実績や執刀医のリスト、生存率の5段階評価表を知ることもできるのです。保険診療と保険外診療を合わせた混合診療もあります。ある特定の資格を満たした医者を選んで診療を受ける場合には、保険適用外となります。特定の資格を満たした医者を選んで診療を受ける場合には、追加費用は全額患者負担となるのです。面白いことは、不正請求をした病院のリストが保健福祉省のホームページに公開されています。病院の性格を知るうえで、参考になるというわけです。韓国の新型コロナウイルス対策は、優れた成果を上げています。良く調べてみると、PCR検査の量的優位だけではないことが分かります。韓国国民は、生まれたときから住民登録番号で管理されているのです。国民健康保険公団の個人疾病情報データベースは、住民登録番号と紐づけられています。これまでの特定検診データ、既往歴や現病歴、通院記録、受診内容、検査結果、投薬履歴、治療費の医療データが経年的に蓄積されていたのです。子どものときに受けた感染症や予防接種の記録もあり、母子手帳の必要性はないようです。病院別に注射剤や抗生物質の処方率の過多を示すリストもあります。薬局に出す処方箋もアプリで届くので、何を処方されたかスマホに記録が残っています。この特定検診データは、通院するごとに最新情報に更新されるという優れたシステムです。
 日本のお医者さんや病院を見る一つの視点は、レセプトになります。日本のレセプトには、患者の情報や保険負担、公費負担の情報、傷病名、診療開始日の情報が記録、保険の点数、診療の結果といった情報が記録されています。レセプトには、1つ1つの診療や公費負担の情報が記録されてしいるわけです。近年、医療保険のレセプト(診療報酬明細書)のデータを研究者も利用できるようになりつつあります。この膨大なレセプトで、患者や医療機関の単位で分析することで、保険負担や診療の結果などの検証が可能になります。レセプトデータを使うことにより、医療費の窓口負担割合が与える影響を計測することもできるようになります。負担が増えても、病気になる人が減少すれば、結果として医療費の総額は減少します。一方、負担が増えたにも関わらず、病気が増えて、医療費が増えるということになれば、どこに問題があるのかいう原因追及も容易になります。
 極めて重要なレセプトには、含まれない情報があるのです。日本のレセプトには含まれない情報は、医師のID番号になります。どの医療機関の診療かはわかるが、どの医師の診療かを知るができないのです。先ほど、大病院で心臓弁の手術を受けた男性の事例を挙げました。レセプトからは、この病院の名前は分かります。でも、どの医師が行ったかはわからないということになります。医師のID番号ないために、診療がどのような結果を生んだかを知るデータがないのです。現状では、外科医の手術執刀数や成功確率をデータとして得ることができないのです。今レセプトでは、合併症を繰り返すような治療をする医師を見つけることができません。医師のID番号ないために、医師の治療が、どのように医療費に影響を与えているかを知るデータがないことになります。日本の現状では、治療と医師のデータが結びつかないという抜け道があります。
 米国では、レセプトに医師IDが含まれています。この結果、レセプトの分析から面白い事実が浮かび上がります。米国の研究では、同じ傷病の患者に対する診療や医療費が、個々の医師によって異なることが分かっています。同じ風邪でも、診療や医療費が違ってくるというわけです。内科入院に関しては、医療費のばらつきが病院間よりも同じ病院内の医師間の方が大きいという事例もあります。心臓病専門医の医療費の地城間格差は、その半分以上が、周囲の医師など環境要因の影響によることが分かっています。心臓病の専門家が多ければ多いほど、医療費は安くなっているのです。医師のIDがレセプトに含まれれば、各医師が提供する医療の質を知ることができるようです。レセプトに医師IDを含むことは、直接的に診療の質を改善することにもつながっています。医師のIDがレセプトに含まれれば、医療費に与える影響を知ることができるようです。医師のIDがレセプトに含まれれば、医療政策を改善する基礎データができるようです。医師のID番号とレセプトデータで、個々の医師がどのような質の診療を行ったか分かります。このようなデータが集積されれば、一生懸命に患者に寄り添う医師を知ることができます。
 最後になりますが、日本の街のデザインは若者向けで、店舗も若くて健康な人が利用することを前提に作られています。高齢者の人口が急激に増えているが、シニアが好むような飲食店は多くないのです。街のインフラのデザインは、一向に改善されていないのが実情です。お金をかけずに楽しめる場所があれば、高齢者の気晴らしの場にもなります。一方、待ち時間の多い病院は、数多くあります。この待ち時間が楽しい場になれば、ハッピーです。気分の落ち込んだ高齢者を多額の医療費と時間(待ち時間を含めて)をかけて治療することは、最善とは言えません。高齢者たけが集まるデイケアアセンターを、どんどん作ったりするのは次善の策になります。お金をかけずに楽しめる場所があれば、シニアの気晴らしの場にもなります。Age UKという非営利団体が高齢者のために活動する英国で最も大きな非営利団体になります。この活動で人気があるのは、ボランティアが高齢者に電話をかけたり、家を訪問するサービスになります。日本には、高齢者が集まる場(病院)が多数あります。次に、病院の待ち時間は退屈です。退屈な時間が、楽しくなればハッピーです。ハッピーにするボランティア活動(プログラム)が、病院の待ち時間の中で行われれば、気晴らしや楽しい時間になります。そして、病院に仲間がいれば、さらに良い時間と空間になります。多くの投資をすることもなく、仲間と一緒に過ごす場が提供され、楽しく過ごすプログラムがあれば、病院の待ち時間が楽しいものなるかもしれません。