ファンタジアランドのアイデア

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宅配料金の適正化と段ボールの高騰を少し抑える  アイデア広場 その416

2018-10-31 17:18:34 | 日記
 物流業界では、値上げが続きます。トラック運賃に続き、JR貨物は、運賃10%引き上るようです。東京~福岡間(約1200km)で荷物を運ぶ場合5トンコンテナで、1個当たり6万円かかっています。それが、10%引き上げると、6万6千円になることになります。運転手不足でトラック輸送から鉄道へ貨物シフトが広がると、強気の読みをしています。強気の読みを裏付けるように、宅配便の値上げは、続いているようです。人手不一足などを理由に、ヤマトが宅配便の基本運賃を引き上げて1年が経過しました。それでも、需要は衰えていません。
 目を中国に向けると、ここでも宅配料金の値上げが相次いでいます。宅配と密接な段ボールも、値上がりしているのです。王子製紙は、段ボール原紙と段ボール製品の価格を引き上げています。段ボールの値上げは1年ぶりで、古紙や重油など原価格の上昇を転嫁するのが狙いのようです。でも、需要が旺盛だからできる値上げという見方もできます。同業の製紙会社も、段ボールの値上げに追随するとみられています。
 そこで、宅配や段ボールの値上げの理由を探りながら、そこにビジネスチャンスがないものかと考えてみました。中国の1~8月の小包数は、約300億個と前年同期に比べ3割近く増たことになります。年間600億個にせまる宅配小荷物扱い量になります。日本の年間宅配小荷物扱い量が42億個ですから、10倍を上回る取扱量になります。これほどの需要がありながら、中国の価格競争は厳しく、宅配単価は5年前に比べ2割以上も下落したのです。宅配員は、基本給とは別に荷物を1件届けるたびに約1元(16円)を受け取ることができます。弁当など飲食出前サービスの配達員の収入は、1件あたり6~10元前後です。較差がありすぎるのです。飲食出前サービスの配達員は宅配便より高く、人材獲得競争で優位に立っています。さすがに、宅配員の確保が難しくなり、値上げをする宅配業者が増えているという実情なのです。
 もう一つの話題は、「独身の日」の存在です。独身の日は、宅配個数が10億個以上になりその売上げは、3兆円を越える中国最大の商戦といわれるものです。日本の年間40億個の4分の1に当たる宅配数が、短期間で行われるのです。ネット取引の最大商戦である独身の日(11月11日)が、控え配達員の確保と待遇改善を強いることになったわけです。昨年も「独身の日」の話題では、11月11日が近づくにつれて、ダンボールが足りなくなる話題をファンタジアランドから発信しました。ネット販売が急拡大する中国の宅配事業に、ダンボールの供給が追いつかない現状があります。2015年7月に1トン5万円程度だった原紙の価格が、2017年9月には8万円超えていました。中国では、この原紙の価格が1年で70%も値上がりしているのです。ダンボールの原紙を確保する動きはますます活発になります。日本の王子製紙などは、この流れに乗っているともいえます。段ボールの高騰は、段ボールの原料である古紙の価格が高騰していることにあります。
 余談ですが、世界の世論の潮流は、トレーサビリティとエコフレンドリーです。中国政府も、環境問題を正面から対処する姿勢を示しています。環境基準を厳格に守る指示を地方政府に通達しています。エコフレンドリーは、地球に有害な物質を使っていないかという点を問題にします。段ボール生産が、不十分な排水システムの中で行われ、環境汚染を起こしていないかを危惧するわけです。中国流のトレーサビリティは、宅配員の方がブラックな労働を強いられているかどうかになるのかもしれません。ブラックな労働を助長する流通業や環境汚染でつくった段ボールを使えば、消費者からそっぽをむかれる流れになるということです。
 人手不足という中で、コストを抑える仕組みと、段ボールの再利用などが話題になっています。東京と大阪の一部の個人利用者が、決められた場所に、商品を引き取りに来てもらう仕組みを構築する計画もあるようです。荷主側と利用者の両者がコストを抑える取り組みを始めたともいえます。もう一つは、段ボールの再利用でしょう。最近の段ボールに加えられる工夫には、目を見張るものがあります。粘着テープやダンボールの端材などのゴミも発生しないように工夫されているのです。これらの工夫ができるならば、ガムテープの工夫やガムテープを貼る部分の強化によって、何度でも使える段ボールを作ってほしいものです。地球の森林資源は、枯渇状態にあります。資源に優しい行動は、賞讃される風潮にあります。同じ段ボールを3度使えば、資源の3分の1は節約されるわけです。