ファンタジアランドのアイデア

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農業の人手不足を解消する仕組み アイデア広場 その1005

2021-09-24 17:57:11 | 日記


 欧州連合(EU)離脱で、イギリス農業は人手不足危機に見舞われています。この国の農業は、外国人労働者に大きく依存してきました。必要とされた季節労働者の大半は、まだイギリスへ自由に移動できるEU出身者が占めていたのです。その数は、7万人といわれています。そのイギリスは、2021年なるとEUからの人的移動が制限されるのです。このままでは、収穫要員が足りなくなることが確実視されています。イギリス在住者の農業労働者が十分に見つけられなければ、来年は作物が収穫されない状況にあります。ある有機野菜生産者は、来年の収穫期に向けた作付面積を400haから150 haにまで減らしました。またある企業は、季節労働者の受け入れがない限り、タマネギ生産の半分をアフリカのセネガルに移すと公言しています。
 イギリスはEUから離脱した現在、農業労働者に関する長期的な戦略を模索しているようです。新型コロウイルスを巡る状況とその影響により、失業が急激に増大する可能性が高いと見込まれています。この失業者の就業斡旋が、政府の課題になっています。その流れから、移動が困難になり農業に関心を持つ労働者を、積極的に採用する取り組みがなされました。国内での採用活動の結果、イギリス在住者が農業の収穫要員に占める割合は11%にまでなったのです。でも、果物生産者に雇われた国内の労働者の中で、6週間を超えて仕事を続けた方は28%に過ぎませんでした。農業に関心を持つ労働者の採用は費用がかさみ、イギリス在住者の就業は、その成果がまちまちだったということになりました。生産者の立場からは、農地に近い場所で人材を見つけるのが難しいという点が挙げられました。また、一般的にイギリス人は正規雇用を好み、厳しい肉体労働を避ける傾向があるようです。
 人手不足は、イギリスに限らない現象になりつつあります。欧州諸国は、出稼ぎ労働者を奪い合う状況となっているのです。ハンガリーは、移民を排除する国として知られていました。そのハンガリーでさえ、人口減で労働力が足りず、排除したはずの外国人の労働許可を緩和しているのです。一度は「反移民」を掲げた東欧ハンガリーにも、困惑が広がっています。以外に思われるかもしれませんが、労働者確保の困難が最も顕著なのは中国になりつつあります。複数の調査機関は、2030年前後に中国のGDPが米国を上回ると試算してきました。この試算のベースには、中国の生産年齢人口がありました。その人口の推移に、疑問が出てきたようです。来年にも人口が減り始め、2100年には現在の14.1億人から7.3億人に激滅すると予測されるようになりました。さらに現在の中国の人口統計が、1億人以上水増しされているという説まで出てきています。アメリカのウィスコンシン大学の専門家は、「米中の国内総生産(GDP)は逆転しない」とまで主張するようになってきました。
 人口の減少は、経済活動や農業生産に大きな影響を与えることが分かります。日本でも、それは他人ごとではないのです。北海道の十勝地方は、季節で農作業の繁閑の差が大きい地域です。高齢化などで人手不足が深刻になるなか、臨時労働力の確保が急務になっている状況があります。この北海道で、農家が1日単位でアルバイトを雇う専用マッチングァプリが広がっているのです。このバイトの対象者は、主に学生や専業主婦、副業が可能なサラリーマンになります。道内では、9月のタマネギの収穫、9~11月には特産のジャガイモや長芋、長ネギの収穫期を迎えます。農家が募集する仕事は、「ジヤガイモ収穫」「ネギ箱詰め」など機械を操作しない単純作業になります。人手不足や高齢化が常態化しているこの地方では、繁忙期に当たる収穫の強力な助っ人になっています。
 強力な助っ人に、自治体の職員がなるケースも出てきました。公務員は、地方公務員法で兼業が制限されています。でも、この制度が緩められて、農産物の収穫において働けるようする自治体が現れました。青森県弘前市は、市職員がリンゴ農家で収穫などのアルバイトをできるようにしたのです。もちろん、制限はあります。内容は、本業の勤務日のアルバイトは3時間以下とし、1週間で8時間以下のアルバイトとして、1カ月で30時間以下というものです。弘前市では、市内の農協と連携し、農家が求人情報を掲載できるアプリも導入しています。リンゴ栽培では、摘果や収穫期など短期間に多数の労働力が必要となります。蛇足ですが、弘前はリンゴだけでなく、メロンの収穫でも知られています。さらに、果物の北限が高緯度に移動してきているので、これからはいろいろな果物の栽培の可能性を秘めています。その意味でも、リンゴ農家に限らず、幅広い農家が求人できる労働力確保が求められているのです。今回の制度の緩和は、人手不足に直面する農家を支援するほか、公務員も副業という多様な働き方のモデルケースになるかもしれません。
 余談ですが、2013年4月にはワースト1位だった横浜市は、待機児童ゼロを実現しました。この待機児童ゼロの目標が達成できたのは、現状のミスマッチを改善したことでした。まず、市内の300カ所近くある幼稚園には、一時の預かり保育の充実を実現しています。次に、交通の便の関係で、一部の保育所ばかり希望者が集中する実情がありました。その場合、集中する保育所の近くの幼稚園などに支援を求めたのです。職員の方には、子どもを持つお父さんやお母さんのニーズを把握する仕事があります。そのニーズにあった保育園はどこかを調べ、入園させる仕事があります。ある意味で、仕事量が膨大になります。その仕事を、係りだけで消化することはできません。4月の忙しい横浜市役所でも、比較的余裕のなる部署がこの保育所の業務にかかったといいます。季節的に空き要員のある部署に、必要な人員を補充してもらう柔軟な仕組みを作り出したとも言えます。縦割りだけの業務だけでは、住民の皆さんのニーズを満たすことができないようです。素早く、住民のニーズをくみ取る手法が求められているということです。リンゴの産地である弘前であれば、人員を供給する仕組みを役所が作っても良いわけです。
 新しい地方の試みが、新局面を生み出しつつあります。テレワークが推奨され、それを実践する企業も増えています。全国8ブロック中で、東北がテレワークに適した環境に優ぐれている点で首位だったのです。自治体別では山形県と青森県、宮城県の4市が全国10位以内に入りました。デジタル変革戦略室を設置した山形県酒田市が、2022年度からは市内全域で光通信が可能になります。この酒田市は、市内の離島である飛島へ総延長31kmの光ファイバーケーブルを通す作業をしました。海岸近くのコワーキングスペースでテワークし、余暇に釣りの楽しみを提案しています。また、ここでも弘前市が出てきます。JR弘前駅近くで通信環境の整った個室を、無料で体験利用できるようにしたのです。テレワーカー誘致やワケーションの推進に力を入れ、地域の活性化に力を入れている姿が見え隠れします。
 これだけで終わると、楽しくありません。良い人材を地方は求めています。東京を離れる人が増えています。これらの状況を踏まえて、良い人材を、継続的に弘前市に来てもらう仕組みを考えてみました。東北6県の農業高校が、修学旅行や長期休業中に弘前で農作業の実習をしてもらうわけです。ある意味で、バイトの作業をしてもらう形式になるかもしれません。この実習を通して、高校生は作業の流れを把握します。次に、この東北の高校生はテレワーク通じて、農作業の実習を行うことになります。たとえば、福島の農産高校に居ながら、ドローンを遠隔装置で操り、リンゴ農家の授粉を行うことも可能になるかもしれません。5Gが実用化すれば、受粉や農薬散布なども、遠隔操作で行うことも夢ではないでしょう。もちろん、青森の農業高校の生徒さんが、他県の農作業の実習することもできます。お互いの農作業や経営を見て、自分の好きな農作業を選んでいくことも面白かもしれません。