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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」8

2015年02月03日 | 物語「夢幻章伝」


「俺はカニと言えばカニ味噌に醤油をかけて
 ほかほかご飯で食べるのが一番だと思っていた」

アヅチが言う。

「私は、純粋に、
 身を塩茹でしただけのあの味で楽しむのが
 シンプルイズベストで美味しいと思っていたわ」

マツバもそれに答えて返す。

それっきり2人は黙々と
黙々と箸を進める。

カニ食べる時って無言になるよね。

「「どっちも美味しいな(わね)!!!」」

食べ物の力偉大。

「あー、美味かったなぁ」
「ホント、南一族の村ではなかなか食べられない味ね」

2人は満足げである。

「そういえば、
 どうでもいいけどマツバガニってカニの名前あるよね、」

へび呼ロイドは言う。
確かにどうでもいい。
それにきっと、それとマツバの名前はあんまり関係ない。

「いや~、満足して貰って何よりだ」

海一族の青年は嬉しそうに言う。

「やっぱりウチの村の物を食べて貰って
 美味しいって言われると
 やりがいがあるよな~」

村に自信を持っているという感じだ。
うっ、俺も村自慢とかした方が良いのか?
アヅチは思いを馳せる。
豆が名産です、とか、豆が名産です、とか、豆が名産ですとか。
―――豆しかねぇ!!

「あ、そうそう名乗り遅れたな
 俺の名前はナギサだ、よろしくな」

海一族はアヅチ達に名乗る。
まだだったんかい。

「俺は、アヅチ」
「私はマツバ」
「おいら、へび呼ロイドー」

「そうか、3人(?)ともよろしくな。
 俺はこの海一族の浜辺で
 道の駅を手伝っているんだ」

「そう、私たちは
 各地を巡り、その土地の美味しい食べ物を食べる旅を
 まさに始めたばかりよ」

マツバがきりっとした顔で言う。

「違う、マツバ違う、
 おいら達の同僚!!
 同僚を助ける旅!!!」

「そうか両親の手伝いか、
 ―――道の駅?うん?」

アヅチははっと気がつく。
マツバも同時に何かに気付き、
《そうよ、つまりそういう事よ》《だよな》とアヅチと心の会話を交わす。

「へび呼ロイド!!」
「よろしく!!」

「えええ?何なにどしたの2人とも?」

2人にずずずっと前に差し出されたへび呼ロイドに
笑顔のまま、海一族のナギサが伝票を差し出す。

「じゃあ、
 カニ食べ放題90分コース、フリードリンク付き
 3名様。ご請求金額ごちらになります」



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