TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

2014年08月12日 | イラスト


湶(イズミ)

西一族
T.B.1979年生まれ
180cm・A型


南一族の村に住んでいた西一族。
「水辺ノ夢79」より登場。

以下、「79」以降の記載があるため反転します。



圭の兄。

南一族の村で
諜報員である両親と供に南一族の内情を探っていた。

祖母の容態悪化の連絡を受けて
西一族の村にに帰省。

他一族での生活が長いため、
西一族特有の東一族への偏見が無い。

祖母:規子(きこ)
父:??
母:??
弟:圭(けい)

「水辺ノ夢」92

2014年08月08日 | 物語「水辺ノ夢」

「まさか、お前も行くわけじゃないよな」

そう、声をかけられて、圭は振り返る。

そこに

「広司・・・」

広司は狩りの道具を抱えている。

「あ。・・・狩りが、あるんだっけ」

「その感じじゃ、狩りに行くわけじゃなさそうだな」
広司の言葉に、圭は目を細める。
「行くわけない」
圭は云う。
「病院に向かうところだ」

圭は、この場を去ろうとする。



「お前、兄が現れたんだって?」

広司の言葉に、圭は思わず立ち止まる。

「この前会ったけど」
広司が云う。
「ずいぶん、お前とは違う雰囲気だな」

「・・・だから、なんだよ」

圭は、小さく云う。

広司は構わず続ける。

「狩りは初参加だって? お前、付いてやらなくていいのか」

嫌味か、と、圭は思う。

けれども、圭は何も云わない。
振り返らない。

「今日の狩りは、お前みたいに足手まといにならないことを祈るよ」

圭は、歩き出す。

広司は、狩りの道具を抱えなおし、その様子を見る。

視線を背中に感じながら、圭は早足になる。

ふと
横を見ると、
狩りの道具を抱えた、ほかの西一族がいる。

圭と、目が合う。

圭は、すぐに視線をそらす。
走り出す。

何もかもが

いやだ、と。


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「水辺ノ夢」91

2014年08月05日 | 物語「水辺ノ夢」

杏子は朝食を並べる。
野菜中心の料理に
見よう見まねで作った西一族の料理が一品。

圭と杏子と、そして湶の3人分。

「いただきます」

湶が一緒に住み始めて数日。

夕食は湶が気を使い
別に食べる時はあるが
朝食は3人で揃って食べる。

「なんだ、こっちの料理はあまりって言ってたけど、
 上手に出来てるよ」

西一族の料理を食べながら
湶が言う。

「ありがとう。
 変じゃないなら良かったわ」

「圭がうまく教えたのかな」

なぁ、と湶は圭に言う。

「俺は、何もしてないよ」

圭は湶を見ずに答える。

素っ気ない態度は相変わらずで、
仲良く、と言うには程遠いが
同じテーブルについて
会話に答える様にはなっている。

圭自身も、受け入れるしか、ない
と諦めている部分がある。

「俺、今日は出かけてくるな」

湶が言う。

圭はふぅん、と言ったきりだったので
杏子がかわりに問いかける。

「病院、に?」

いいや、と湶は首を降る。

「狩りに参加しろって」

その言葉に杏子は思わず圭を見る。
湶が、狩りに。

圭は一瞬動きを止めるが
まるで聞かなかったように食事を続ける。

「初めての狩りだから
 どうなるか分からないけどな」

あんまり、自信無いんだ、と
湶は笑う。

圭はちらり、と湶を見る。
圭はこの兄の事をよく知らない。
自分と違って体に問題は無さそうだ。
でも狩りの腕前はどうなのだろう。

比べても、仕方ない、のに。

湶が出掛けた後
圭も食器を片付ける。

「圭、今日は家にいる??」

杏子の言葉に圭は振り向く。

「今日は、病院に」

祖母の所だ。

「……そう。分かった」

以前から定期的に行っている。
もともと予定していた事。だけど。
圭は、杏子を避けてしまったような気分になる。

いつも通り話しているはず、なのに
あれ以来どこか気まずい、と
圭は思う。



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「水辺ノ夢」90

2014年08月01日 | 物語「水辺ノ夢」

「早くから、悪いな」

湶の姿を見つけると、優は声をかける。

早朝。
村人が、やっと動き出すころ。

湶は、ひとりで現れる。

「昨日の今日で疲れているだろうが」
「構わないよ」
「すまない。これまでの話を聞きたくてな」

優は、辺りを見る。

「圭は?」
「まだ寝ていた」
「そうか。・・・まあ。気持ちの整理には時間がかかるだろう」

「圭には、十何年ぶりに会ったわけだけど」

湶が云う。

「圭は、今、何をして暮らしているんだ?」

「何、と云うか」

優は息を吐く。

「あの身体だからな。畑仕事やったり、・・・そんなもんだ」
「あまり、身体はよくないのか」

優は頷き、云う。

「狩りに出られないから、役立たず扱いだよ」

「役立たず・・・」

湶は、優の言葉を繰り返す。

「ここでは、男も女も、狩りが出来て当たり前だからな」
優が云う。
「湶。お前、狩りの訓練はしてきたのか?」
「一応」
湶は答える。
「南ではほとんど必要ないけれど、父さんがやっておけと云うから」
「やっておいたがいいさ」
「でも、実戦はあまり。てとこかな」

優が云う。

「お前は西一族だが、見慣れない顔だ」
「ああ」
「近いうちに狩りにでるんだな」
「狩りに?」
「狩りさえ出来れば、村人からも認められる」
「わかった」

優は、家の中に湶を招こうとする。



「広司じゃないか」

優は、片手を上げる。
「どうした、こんな朝早くに」
「・・・いや」
広司は、優を見る。

そして

湶を見る。

「誰だ?」

「ああ」
優が云う。
「近いうちにみんなに紹介するが、・・・圭の兄だ」
「圭の?」

広司は再度、湶を見る。

「へえ。家族がいたんだ」

「近いうちに、狩りに行くだろうから、頼むな」
「ああ」
広司が云う。

「よろしく」



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