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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」87

2021年11月09日 | 物語「続・夢幻章伝」
谷一族の洞窟を抜け
1日ぶり?に太陽の元に顔を出す3人
(2人と1匹)

「よし」
「ええ!!」

谷一族の入り口。
アヅチとマツバはラジオ体操第一、
そして、屈伸運動を行い気合を見せる。

「行くわよ、東一族の村!!」
「今からなら
 夕方には何とか辿り着けるな」
「民泊のオーナーから
 おにぎり弁当も貰ったし」
「ありがとう、本当にありがとう!!!」

「「東一族の村に今日中に、辿り着けば
  アマちゃんとかに頼み込んで
  宿泊先を、どうにかしてもらえる!!」」

お宿代をどうにか浮かす。

「…………え?」

へび呼はマジでと動きを止める。

「まさか徒歩で!!1日で!!
 谷から東に行こうとしているキコ!?」

1日というか
夕方に着くつもりでいるから半日と目論んでいる。

「馬車ならともかく徒歩で辿り着ける訳が無いキコ。
 無謀な計画にSNSが炎上するキコ!!」

結構離れているよ、それぞれの村。

甘いのはへび呼の方よ、とマツバが言う。

「『水辺』的には徒歩で1日とか無理だけど
 これ『夢幻』だからいける!!」
「同じ世界観なのにキコ!!?」
「同じ様で違うんだよ!!」
「そうよ!!みんな違ってみんないい!!のよ」
「金子みすゞキコ!!」

確かに『水辺ノ夢』では
金子みすゞとか絶対言わない。

「そもそも、原石を加工してアクセサリーにしなければ
 馬車代ぐらいはどうにか出来たのではキコ?」

有料オプションだったからね。

「だって、こういうのは思い出だもの」
「そうだぞ、
 後から後悔するぐらいなら
 思い切るってのもありだぞ」

じゃーん、と取り出した
アヅチのアクセサリーは
シルバーで出来た骸骨の目の部分に
自ら発掘した宝石の原石が埋め込まれている。

「ドラゴンと悩んだんだけど」

照れ照れ。

「いやぁ、アヅチのは
 後から後悔するパターンキコ」
「どうして中学2年生が目覚めてしまったのかしら?」

「俺の話はいいんだよ!!
 それより早く出発するぞ!!」

「「おーー!!」キコ!!」

そうしてアヅチ達が旅立つ頃
谷一族の民泊では
今日のお泊まりに向けて準備が始まっていた。

「料理の仕込みも、ベッドメイキングも完了」
「後は外回りを掃除すればひと段落ねパパ」
「さぁ、最後が肝心。
 お掃除は見えない部分も念入りに」

それはお客さまが立ち入らない
民泊の裏方の部分ですら。

「年末の大掃除だって
 年末にまとめてやろうと思うから大変なのであって
 今から少しずつ始めていれば………あら?」
「どうしたのパパ?」

民泊のオーナーはエアコンの室外機を
覗き込む。
正確には室外機と家の壁の間の僅かな隙間。

「これは!!!」

「ううう、挟まってしまったキコ」

これはコロイド!!!

「うぉおおお、同僚ぅおおおお!!
 ハラヘッタァア!!!」

「仲間を思う気持ちと空腹で
 野生化しているわ!!」

でやぁ!!と腕を突っ込み
ムリムリムリ、とそれを引っ張り出す
民泊オーナー。

「マイカ!!」
「はい!!これねパパ!!」

ザッ!!

洗濯ネットに入れられるコロイド。

「ふごーーーー!!
 ふごーーーーーーー!!」

「とりあえず、病院に連れて行く時の
 猫みたいな感じで落ち着かせたわ」
「どうしようパパ
 もうお客さん達旅立ってしまったわよ」

焦るマイカに安心しなさいと
民泊のオーナーはたおやかに微笑む。

「ならば託すのよ、そう、東一族にね。
 マイカ、今日のお客様は??」
「そうだったわ!!
 これでどうにかなりそうねパパ!!」

「ふごーーーー!!(威嚇)」

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