浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ショパン直系のミハウォフスキによる驚愕のポロネーズ

2007年08月04日 | 洋琴弾き
【前々回と前回のあらすじ】
芋焼酎と音楽の旅7日間を楽しんだ僕は、バニーちゃんを連れて帰宅したが、その後、慢性脳不全が悪化し原稿が書けなくなった。唯一の救いはミハウォフスキのショパン演奏を存分に楽しむことができたことだった。子犬のワルツは、はしゃぎすぎて足が縺れどこかへ転がって行ってしまふ子犬の様子が瞼に浮かぶほどの名演奏であった。

子犬のワルツの演奏は、当時の流行であったパラフレーズの形をとってゐて、より難易度を高めたものではあるが、学生時代に図書館でこっそりデンスケにコピーしたコロムビア盤、ジュラブレフの演奏よりも平易な作品に聴こえるのはどうしてだらう。

今日は、子犬のワルツに続く名演奏として軍隊ポロネーズを取り上げたい。ここでは鍵盤を鷲掴みにでもしさうな豪快なタッチが聴ける。ポロネーズ独特の小節を跨ぐ際の装飾的なリズムがあっさりと素早く処理されてゐて驚かされる。もっとマルカート気味でリズムには粘りのある装飾かと思ってゐたが、意外なことにペダルを踏んだまま、豪快に突き進む和音の中にかき消されるやうな扱いになってゐる。しかし、蝋管への102年も前の録音でこれだけのスケール感まで味わえるのは、本当に有り難いことだ。

ミハウォフスキのポロネーズへのアプローチは意外なものであったが、プレリュードはもっと予想外に展開してゐて非常に面白い。【続く】

盤は、英國Appian P&Rによる蝋管の復刻CD APR5531。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。