浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ヨセフ・スークの交響曲

2011年04月24日 | 忘れられた作品作曲家
19世紀末から20世紀初頭にかけ、浪漫派音楽の中から民族色を色濃く出した作家が独墺の周辺国に現れ、これを後に一つの楽派として括るやうになった。其の中でも最も有名なドヴォルザークに師事したスークが1904年に作曲した交響曲をノイマンの指揮で聴いてゐる。

此の交響曲は、全楽章を通してはっきりとした調性を持ち、19世紀の音楽形式を堅持してゐる。第1・第2楽章では、ドヴォルザークの単純な展開と比べて、スークの作品の方が高尚な趣きを感じるところが多い。しかし、オーケストレーションや曲想など、至る所に師匠の影響を聴くことができる。

第3楽章のヴィヴァーチェの反復進行は上品さといふ点で師を凌いでゐる。また、團伊玖磨の歌曲「ぞうさん」の主題の後半部分を中間部に盗用してゐるのも面白い。第4楽章にはラフマニノフの第3洋琴協奏曲の第1主題が盗用されてゐて興味が尽きない。

全体的に非常に聴きやすい音楽であり、浪漫派時代の管絃樂作品がお好きな御仁にはお勧めできるレコヲドだ。

盤は、日本コロムビアのCD 33C37-7540。


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