浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

エミール・フォン・ザウアー シューマンの謝肉祭

2007年01月21日 | 洋琴弾き
ザウアーのシューマンと言へばメンゲルベルクとやった洋琴協奏曲の有名な録音がある。1940年といふと1862年生まれのザウアーは78歳の高齢である。ちょうどホロヴィッツが1970年代に復活コンサートをやったのと同じくらいの年齢だ。

1950年代の爆発的なエネルギーと強靭なタッチは20年の間に随分と変化してゐたが、それでもホロヴィッツはホロヴィッツ、偉大な芸術家にじかに触れる喜びを与えてくれた。

今日、聴いてゐるザウアーの「謝肉祭」はリーガルレコヲドの復刻LP盤で、録音年は1923年の機械吹き込み。詩情豊かにしかも豪快に弾きまくるザウアーの全盛期の演奏に触れることができ嬉しい限りだ。片面盤の時代にこの大曲は何枚組のセットだったのだらう。録音時間の制限からかいくつかの省略はあるが、大変貴重な遺産だと思ふ。

中音域が膨らみ、高域の繊細なタッチまでは聴き取りにくいが、そこはライブ録音で知ってゐるザウアーの音色を頭の中でミキシングして感じ取ればいいことだ。脳の活性化にも、その方がいいに決まってゐる。

ザウアーはコルトーよりも一世代昔の演奏家であるが、コルトーのやうなデフォルメはそれほど無いのが意外に感じる。部分的な細工よりも全体を聴いての満足感が大きい、そのやうな演奏を聴かせるタイプの人だ。
【Schumann Carnival OP.9 MP3】「SPレコードで探るレオ・スレザークの素敵な世界」より
盤は、米國のOPUS RecordsによるSP復刻LP盤 OPUS-78。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。