浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

プフィッツナー「独逸の精神」

2009年03月16日 | 忘れられた作品作曲家
この1週間はあまりにも暇過ぎて、しばらく気を失ってゐた。雑然とした環境の中でプフィッツナーの大曲を聴く気分になったのは、少々哲学的な思考パターンになってゐるからかも知れない。

アイヒェンドルフの詩をもとに作曲されたカンタータ、「独逸の精神について」といふけったいなタイトルの付いた作品であるが、中身は叙情的でとても美しい響きに満ちてゐる。人類と自然についての想ひを歌い、生と死を考え、人の世のはかなさを感じさせる音楽は、人生の岐路に立たされた僕の心に深く染入ってくる。

フルトヴェングラーが崇高な作曲家として重要視してゐたことからも分かるやうに、プフィッツナーは調性を堅持し、独逸浪漫派の香りを濃厚に漂わせてゐて心地よい。管絃團と合唱によって生み出される分厚い響きは正に独逸的であり宗教的でもある。

新進気鋭の維納の指揮者、マルティン・ジークハルト指揮する維納交響樂團による楽友協会大ホールでのライブ録音で聴いてゐる。ソプラノの金切り声が玉に瑕だがこのホールの音響は素晴らしい。

盤は、1999年11月のライブ録音を独逸Arte NovaによりCD化したもの 74321 79422 2。


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