浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

フリッツ・ブッシュのシューマン 

2010年07月18日 | 指揮者
1951年2月25日と26日に行はれたフリッツ・ブッシュのコンサートの模様を臨場感溢れる放送局録音の復刻で聴いた。何気なくかけたCD盤だったが、さすがにTharaが10周年を記念して製作・発売した盤だけあってとんでもない演奏が収められてゐた。

フリッツ・ブッシュと云へば、以前に取り上げたマルメ響とやったアルフェーンの狂詩曲が印象に残ってゐるくらいで、テンポ設定に関しては少し淡白な指揮者だと思ってゐた。しかし、今回手にしたCDに収められた演奏会の実況録音では、録音の生々しさも手伝って、ブッシュの激しい音楽表現に驚きの連続だ。

シューマンの交響曲第4番についてはフルトヴェングラーの録音があれば、あとは何も必要ないと信じてきたが、今日のこの演奏は何事だらうか!久しぶりに音楽を聴いて興奮した。じっと落ち着いて椅子に座って居られない。

終楽章へのブリッジには恐るべき気分の高揚と、ちょっと変わった表現も聴くことができる。フルトヴェングラーの時代の独逸の管絃團の音がする。指揮者や奏者たちといった直接的に音を生み出す人だけでなく、ホールの持つ特性や、はたまた放送局の録音技師の耳やそれを支持する聴き手側の趣味など、あらゆるものがかふいふ音の響きを生み出したのである。此れは一つの文化だ。

僕は、此の響きを聴いただけで心が満たされていく。

盤は、仏蘭西TharaによるCD TAH447。


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