浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

怪物クナパーツブッシュのヴェルディ

2007年06月23日 | 指揮者
ハンス・クナパーツブッシュのヴェルディと聞くと大きな違和感を感じる方も多いと思ふが、アイーダ、マクベス、オテロ、レクイエムを演目に取り上げてゐることはあまり知られてゐない。特に、レクイエムは何度も取り上げてゐて、お気に入りだったやうである。残念ながら、レコヲドで聴くことができるのはアイーダの大行進曲だけのやうだ。

今日、聴いてゐるCDにはSP復刻による序曲等の小品が8曲収められてゐるが、その中に蹴球のサポーターの為に作曲された「アイーダの大行進曲」が含まれてゐる。クナパーツブッシュにはグリンカの「ルスランとリュドミュラ」「ピッチカート・ポルカ」での前科があるため、心構えをしてCDを挿入した。

トランペットのファンファーレに弦楽が加わり重厚な響きは流石に維納フィルハーモニーだ。伊太利亜の劇場管絃團の旋律ばかりがやたらと浮き立つ舞台小屋の音楽ではない。本物のフィルハーモニーの音楽だ。テンポ運びもいたって自然で、後半に向かって高揚させていく。

しかし、最後にサポーターの為の歌が高らかに歌い上げられる部分でアッチェレランドを止め、テンポを半分にまで落として音楽を大きく聴かせてゐる。何かやるとは思ってはゐたが、こうくるとは予想してゐなかった。また、やられた。が、今回は前科はつかない。なかなかの妙案だと思ったからだ。

盤は、墺太利Preiser RecordsによるSP復刻CD 90116。


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