浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ゴロヴァノフによる音楽破壊(其の弐)/リスト「マゼッパ」

2008年06月30日 | 指揮者
ゴロヴァノフにかかればリストのやうなお下品な管絃樂作品もボロボロに壊されてしまってゐて痛快さすら感じる。不満の持って行き場のない方や、自分の音楽性といふものを根底から破壊したい方には、ゴロヴァノフの「マゼッパ」がお勧めだ。

ブラスバンドをやってゐて刺激的な金管楽器の全奏に痺れたりした経験のある方なら、更に喜ばれるかも知れない。或いは、商店街でチンドン屋に出くわしたときに、妙に物足りなさを感じた方なら、もっと喜ばれるかも知れない。レコヲドで聴いてこの凄まじさである。実演ではさぞかしだっただらうと想像はつく。

僕が子どもの頃、「2001年宇宙の旅」とかいふ映画を親父と妹の3人で大阪に観に行ったことがあったが、僕はそのときの大音響に驚き、恐怖のあまり会場から逃げ出したくなったのを今でもはっきりと覚えてゐる。実はそのとき一緒に居た妹は、僕よりもはるかに冷静だった。僕は兄としての尊厳を保つことが不可能なほど怯えてゐたのだ。そのやうな僕だから言ふが、この演奏を生で聴いた人はあまりの大音響に興奮して脱糞したのではないかと真剣に心配する。

まともに音楽を楽しみたい方には薦められない演奏であることだけは間違いない。僕の誤った考えを言はせてもらえば、今になってゴロヴァノフといふ指揮者の評価が高まってきた理由は、秋葉原での殺人狂事件の背景にあるものと共通項があるやうな気がする。

盤は、****によるCD ********。


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