浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

シューベルトの知られざる名曲「ワルツ」D145をカペルの洋琴で

2008年06月28日 | 洋琴弾き
今日は会社の研修センターでお勉強の一日だったため、旅先からの投稿である。研修では僕が発表する場面がいくつかあって、なかなか為になったことだらう。こういった場面を利用して、頭だけで理解してゐるつもりになってゐる人たちに、本物の改革とはどういふものかを教えてあげることは良いことだと思ってゐる。

帰り際に所長さんのお部屋の前を通ったが、難しい顔をして書類に目を通しながらクチャクチャとガムを噛んでゐる。なんとも恥ずかしいものを見てしまった。「オープン」を心がけるのは良いが、研修を受けに来た社員にみっともない姿を見せてゐることすら気づかないのだらう。こういふ鈍感さを指して人は「田舎者」と言ふのだ。

ところで今回はパソコンとカペルのCDを鞄に忍ばせてきた。娘のところで研修内容をまとめてゐるふりをしながら聴いてゐると、5つ目のトラックに思わぬ美しい作品が入ってゐた。今宵は幸せが一つ増えて喜んでゐる。曲名はシューベルトのワルツ、D145-No2とNo6である。

No2はロ長調だが、シューベルト独特の「もの悲しい長調」で、僅か1分足らずの小品だが、もうこの1分だけでどれ程心が癒されたであらうか。続くNo6はロ短調でいい取り合わせだ。No2の中で同主調を行ったり来たりする流れにNo6がうまく乗っかってゐる(当然、No6もロ長調への転調を含んでゐる)。

カペルの音色はどちらかと言へば硬質で高域はキンキンとして、あまりシューベルトは期待してゐなかった(実際にD365のワルツはデリカシーの飛んだ「いま二つ」の演奏だ)が、D145の2曲についてはデリカシーに富んだ素晴らしい演奏だと思ふ。

盤は、米國BMGによるリマスタリングCD 09026-68994-2。
ウィリアム・カペル全集
カペル(ウイリアム)
BMGメディアジャパン

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