浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

イダ・ヘンデル シャコンヌ変出る

2010年09月27日 | 提琴弾き
モスクワのライブ録音と書いてあるが、会場ノイズは全く聞えず、何かおかしい。変な録音が出ると聞きたくなるものだが、大概は残念な気持ちになって終わる。

イダ・ヘンデルの様子もおかしい。露西亜のモスクワだからだらうか。ひょっとすると演奏会場に誰一人聞きに来ていなかったのかも知れない。それでも演奏会の録音だからライブ録音だ。

ヘンデルの気分が乗らないのは何故だらう。モスクワといふ土地がいけなかったのか。バッハのシャコンヌは盛り上がらぬ展開に聴いてゐる側の気分もめいる。しかし、淡々とそつなく演奏されているわけではなく、そつだらけで更に残念である。最後まで盛り上がらず、次のヘンデル(イダ・ヘンデルの曽祖父の友人の曾祖母の同時代人)作曲のアリアを聴いてほっとするのである。ほっとする理由は3つある。先ず、シャコンヌが終わったといふことを実感してほっとする。そして、洋琴の伴奏が加わることでほっとする。最後に、イダ・ヘンデルが気を失わずに弾いてゐることでほっとする。

気の乗らない仕事はすべきではない。熱のこもらぬ仕事をするくらいなら潔く辞めたらいい。周囲に迷惑なだけでなく、自分の時間ももったいない。もっと他の事で自分を生かせるかも知れないからである。最近、自分の仕事を振り返ってそう思っていたところに、ヘンデルの演奏を聴き、確信を得た。今日から2日間、仕事を辞めやうと思ふ。

盤は、国籍不明Ars MusicaによるCD MSTN002CCD。


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