浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

8 Great Symphonies ミュンシュの「宗教改革」

2009年12月01日 | 指揮者
小学校6年生の誕生日かクリスマスに親父が僕にプレゼントとしてくれたLP7枚組のアルバムが今日、聴いてゐる"8 Great Symphonies"である。震災後に一度手放したアルバムだったが、その後、神戸の中古レコヲド店で見つけて購入した。ひょっとすると自分が手放したものが戻ってきたのか、と期待したが解説のリーフレットは付いてゐなかった。

このアルバムで一番よく聴いたのはブラームスの1番と4番で、次いでフランクの交響曲がお気に入りだった。いずれもミュンシュの指揮によるものだった。毎日のやうに、それこそ盤が磨り減るくらいに聴き込んだものだ。

其の中で1曲だけあまり記憶に無い曲が「宗教改革」だ。A面の「伊太利亜」はよく聴いたがB面は殆ど聴いてゐなかったやうで、未だにメロディを聴いても初めて聴いたやうな新鮮さを感じる。持病のアルチュウハイマーが進んだせいかも知れない。しかし、チャイコフスキーの5番、6番「悲愴」、ベートーヴェンの「エロいか」を加えた「8つの偉大な交響曲」に「宗教改革」が加えられてゐること自体、当時から不思議な感覚を持ってゐたのも事実だ。

今聴いてみて、此の交響曲の素晴らしさをあらためて感じてゐる。第3楽章にはルターの有名な「神はわがやぐら」が鳴り響き、バッハに傾倒した作家らしく対位法を巧みに用いてゐる。元々メロディの美しい作家だから、其の展開が良ければ聴き応えの或る名作の仲間入りは可能なのだ。

ミュンシュの指揮ぶりはテンポを自在に動かし、盛り上げ方も堂々としたもので、とてもスタジオ録音とは思えない素晴らしい演奏だと思ふ。

盤は、米國RCA VictorのLP盤 LM-6902。


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